- T 教育方法思想の継承と授業研究へのアプローチ
- 1 教授学の成立と展開
- [1] 教育方法学と教育実践
- [2] 近代教授学と現代教授学
- [3] 一般教授学と教科教育学
- [4] 教授原理
- [5] 陶冶と訓育の統一
- [6] 教育と生活の結合
- [7] 教育と科学の結合
- [8] 子どもの発見
- [9] 直観教授
- [10] 五段階教授法
- [11] 「子どもから」の教育学
- [12] 生活綴方と教育方法
- [13] 集団主義教育
- [14] 経験主義の教育
- [15] 戦後新教育
- [16] 教育の現代化
- [17] 教育の人間化
- [18] 教育課程の自主編成
- [19] 授業研究運動
- [20] 認識過程と集団過程
- [21] わかる授業(わかりあう授業)
- [22] 楽しい授業
- [23] 芸術としての教育
- [24] 希望としての教育
- 2 授業研究のパラダイムと教師の成長
- [1] 授業研究と研究授業
- [2] 量的研究法と質的研究法
- [3] 解釈学的方法
- [4] アクション・リサーチ
- [5] 現象学的アプローチ
- [6] 工学的アプローチ
- [7] 構成主義的アプローチ
- [8] 臨床的アプローチ
- [9] 人間学的アプローチ
- [10] 正統的周辺参加論
- [11] 相互主体性
- [12] 授業のメタファー
- [13] 「辞書」と「テレコ」の間
- [14] 授業記録
- [15] 実践記録
- [16] 談話分析
- [17] 反省的教授
- [18] 教師教育
- [19] 教師の徳と教育技術
- [20] 教育実習
- [21] 授業公開と校内研修
- [22] サークルと自主研修
- [23] 民間教育研究運動
- [24] 教師のライフサイクル
- U 子どもの捉え直しと居場所づくり
- 1 発達を捉え直す
- [1] 主人公としての子ども
- [2] 否定のなかに肯定をみる
- [3] いじめ
- [4] 不登校・登校拒否
- [5] 非行・問題行動
- [6] 人格の構造と発達
- [7] アイデンティティ
- [8] 個性と障害
- [9] 発見としての個性
- [10] 子どものよさと可能性
- [11] 無限の可能性
- [12] 全面発達
- [13] 発達段階
- [14] 最近接発達領域
- [15] 発達の原動力
- [16] 発達疎外
- [17] 自立と依存
- [18] 共生と教育
- [19] 特別なニーズ教育
- [20] 学習障害と授業
- [21] インテグレーション(統合教育)
- [22] ノーマライゼーション
- [23] インクルージョン
- [24] しつけと身辺自立
- [25] 保育
- [26] 自由保育と集団保育
- [27] 幼小連関
- 2 居場所としての学校づくり
- [1] 居場所
- [2] 出会い
- [3] 交わり
- [4] 学級
- [5] 学級集団づくり
- [6] 学級びらき
- [7] 学級の歴史づくり
- [8] 学級通信
- [9] 第一次集団と基礎集団
- [10] リーダー(班長)
- [11] 集団の教育力
- [12] ガイダンス
- [13] 生活指導・生徒指導
- [14] 指導と管理
- [15] 規律ときまり
- [16] 自治と共同
- [17] 自治的集団
- [18] 自治と参加
- [19] 係活動と当番活動
- [20] 朝の会・終わりの会
- [21] 学級活動・ホームルーム活動
- [22] 学校行事
- [23] カウンセリング
- [24] ケアと癒し
- [25] 保健室・養護教諭
- V 授業とコミュニケーションの成立基盤
- 1 表情と身体で向かい合う
- [1] コミュニケーション教授学
- [2] まなざしの共有
- [3] 身体をそなえた主体
- [4] 非言語的コミュニケーション
- [5] 教育の演出と教師の演技
- [6] 語りかけ
- [7] 「きく」ということ
- [8] 「向かい合う」ということ
- [9] 授業対話
- [10] レトリック(説得の技術)
- [11] 応答し合う関係の質的発展
- [12] 教育的関係
- [13] 受容と共感
- [14] 要求と尊敬の弁証法
- [15] 赤ペン・評語
- [16] 日記指導
- [17] 教科通信
- 2 学習の主人公を育てる
- [1] 学習主体
- [2] 学習意欲
- [3] 自発性と自主性
- [4] 授業びらき
- [5] 学習集団(づくり)
- [6] 班
- [7] 平行的教育作用
- [8] 学習規律
- [9] 出席から参加へ
- [10] 学びと参加
- [11] 全員発言(運動)
- [12] 発言形式
- [13] ストップ発言
- [14] 接続語のある授業
- [15] 「つまずき」を生かす授業
- [16] ねうちの競い合い(班競争)
- [17] 自己評価と相互評価
- [18] 指導的評価活動
- [19] 学習権の自覚と保障
- [20] 意見表明権
- [21] 家庭学習と宿題
- [22] 生活習慣・学習習慣
- W 教材の開発と指導案づくり
- 1 「見えない」教育内容から「見える」教材・教具へ
- [1] 教材
- [2] 教具
- [3] 単元
- [4] 教材解釈
- [5] 学習課題(課題づくり)
- [6] 学習指導要領
- [7] 教科書と副読本
- [8] 地域教材
- [9] 投げ入れ教材
- [10] 授業書と仮説実験授業
- [11] 興味
- [12] 関心・意欲・態度
- [13] 教科内容の系統性と順次性
- [14] 一般から特殊へ
- [15] 視点
- [16] 子どもの教材解釈(力)
- [17] 対立・分化の予想
- [18] わかりやすさの教授原理
- [19] 統一と分化の原理
- 2 授業のプロセスを構想する
- [1] 授業
- [2] 授業の弁証法
- [3] 教授=学習過程
- [4] 習得過程
- [5] 授業の構造
- [6] 集団思考
- [7] 学習行為の特性(認識・練習・表現)
- [8] 認識と感情と行動
- [9] 指導案づくり
- [10] ドラマとしての授業
- [11] 導入とヤマ場
- [12] 展開のある授業
- [13] 発問
- [14] 助言
- [15] 説明
- [16] 指示
- [17] 板書
- [18] 机間巡視(指導)
- [19] プレゼンテーション
- [20] オープンエンド
- [21] 答えからはじまる授業
- X 学習活動の展開と教師のタクト
- 1 学習形態の転換と学習方法
- [1] 学習
- [2] 学習形態
- [3] 一斉指導
- [4] 学習の個別化
- [5] 学習の共同化
- [6] 学習のスキル
- [7] 学び方学習
- [8] 主体的学習
- [9] バズ学習
- [10] 問題解決学習
- [11] 系統学習
- [12] 発見学習
- [13] 体験的学習
- [14] 授業のプロジェクト化
- [15] わたりの授業(複式授業)
- [16] 討論とディベート
- [17] 班話し合い
- [18] 音読・朗読・表現読み
- [19] 授業のゲーム化
- [20] 動作化・劇化
- [21] ごっこ学習
- 2 展開のタクトと授業の評価
- [1] 教育的タクト
- [2] 指さし
- [3] ゆさぶり
- [4] 教育的イロニー
- [5] 授業における「異化」
- [6] 概念くだき
- [7] 指導と支援
- [8] 伝達と注入
- [9] うなずきの論理
- [10] 媒介的指導
- [11] 個人差・落差
- [12] 既知と未知
- [13] 到達度評価と形成的評価
- [14] 観点別評価
- [15] 事前テスト・事後テスト
- [16] 評価言
- [17] 班指名・班評価
- [18] 指導と評価の一体化(フィードバック)
- [19] 指導要録と通知表
- Y 学びと学習環境の広がり
- 1 学力を問い直す
- [1] 学力
- [2] 学校知
- [3] 基礎学力
- [4] 学力保障
- [5] 学習効果の転移
- [6] 観の形成
- [7] 確信(信念)形成
- [8] 思考力の形成
- [9] 表現力の形成
- [10] 判断力の形成
- [11] 生活的概念と科学的概念
- [12] イメージ
- [13] 虚構(性)
- [14] 物語(性)
- [15] 創造性
- [16] 動機づけ
- [17] 暗記と記憶
- [18] 習熟と練習
- [19] 内化と外化
- [20] リテラシー
- [21] 新学力観
- [22] 問いと答えとの間
- [23] 遊びと学び
- 2 教室のメディア
- [1] 学習環境
- [2] マイクロティーチング
- [3] 授業シミュレーション
- [4] サイバネティクスと教育
- [5] 情報教育
- [6] 視聴覚教育
- [7] 教育メディア
- [8] 情報機器と教育技術
- [9] コンピュータ利用授業
- [10] CAI
- [11] マルチメディアとインターネット
- [12] 図書館の利用・データベースの活用
- [13] 視聴覚教材の活用
- [14] 学級文庫と学級文化
- [15] 学習ノート
- Z 教育課程の創造と学校の再生
- 1 カリキュラム開発の視座
- [1] 教育課程とカリキュラム
- [2] ヒドゥン・カリキュラム
- [3] 基礎・基本
- [4] 生きる力
- [5] 教育内容の精選・厳選
- [6] 教科
- [7] 特別活動
- [8] 合科的指導と総合的な学習
- [9] 螺旋形カリキュラム
- [10] 教科カリキュラムと経験カリキュラム
- [11] クロスカリキュラム
- [12] 生活科
- [13] 総合学習
- [14] ジェンダーと教育
- [15] 性教育
- [16] 平和教育
- [17] 環境教育
- [18] 国際理解教育
- [19] 人権・同和教育
- [20] 福祉とボランティア
- [21] 学校週五日制
- 2 学校改革の争点
- [1] 学校教育の構造
- [2] 学級教授
- [3] 習熟度別編成
- [4] フリー・スクール
- [5] 学校スリム化論
- [6] ダブル・スクール現象
- [7] 家庭・地域の教育力
- [8] 学校づくりと学校選択
- [9] 子どもの権利条約
- [10] 大学の授業改革
- [11] 単位制高校
- [12] 教科選択制(選択学習)
- [13] 総合学科
- [14] 中高一貫教育
- [15] 義務教育
- [16] 生涯学習と学校の役割
- [17] 自己教育力・自己学習力
- [18] ティーム・ティーチング
- [19] スクールカウンセラー
- [20] 教科担任制と学級担任制
- [21] 授業と道徳教育
- [22] 進路指導(保障)
- 事項索引名
刊行
今日,我が国は,人類がこれまでに体験したことのない新しい時代に向かい転換期にさしかかっている。人々の要求は,多様化,個性化,高度化し,科学技術,経済,情報,交通,通信などの国際化は産業構造や社会構造に大きなインパクトを与え,教育のあり方に大きな変化をもたらしている。
家庭や地域社会の現状を見るとき,家族の結びつきや地域社会の連帯意識は弱くなっている。社会体験や自然体験,生活体験が著しく不足し,充実した生活が送れず,ストレスを持っている子供がかなりいる。このため,子供たちにゆとりや心の豊かさを持たせ,多様な価値や,他人を思いやる心を育てたい。さらには自己表現を豊かにしたり,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え判断し,行動して,よりよく問題を解決していく資質や能力を育てることが一層重視されなければならない。しかし,これらの理念と現実とはあまりにもかけはなれている。
いまや教育者は,歴史と現実,世界の動向と我が国の現状,教育理論と実践,国の学習指導の基準と学校や地域の具体的実践等々,多くの葛藤の中から今日の教育状況を切り開き解決の道を見つけなければならない。
このような今日の教育をめぐる状況を捉え,教育研究の水準の向上と理論的なフレームワーク,教育の実践的な課題と解決方法,新しい学習指導要領に基づく実践の基礎を具体的に明らかにし,世紀の教育研究と実践の進展のために,さらには混迷する教育の問題解決の一助たらんとして,本書を企画し,編集した次第である。
本書は,それぞれの学問領域の第一人者に基礎用語の選定をいただき,執筆に当たっては優れた研究者,教育者等からご協力を賜った。編集や執筆の多大な努力と労苦に感謝を申し上げたい。さらに,明治図書の江部満,樋口雅子両氏ほかに格別のお世話になった。心から謝意を表したい。
プロデュース・編集代表 /武村 重和
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- 明治図書