- はじめに
- 序 私たちの教育研究の課題と展望
- ―〈新たな世界〉に出会う授業づくり― 静岡大学教育学部教授 /山崎 準二
- 1 「学校知」と「苦役的学習観」の学校状況下で
- 2 「いじめ」と「学級崩壊」の学校状況下で
- 3 〈新たな世界〉との出会いを通した〈自分探し〉の授業づくりを
- 4 授業づくりの2つの根底的課題
- 生徒が教科の本質や魅力に出会う授業
- 1 教師が「学ぶこと」を問い直すことから始まる
- 2 生徒に「新たな世界」との出会いを
- 3 授業をどうつくるか
- どうですか こんな授業
- 1 国語科/「ことばの受信」型学習からの脱却を
- 1 『走れメロス』が読めて何になるの?
- 2 「ことばの発信型」学習の重視を
- 3 国語がおもしろい! ことばってすばらしい!
- 2 社会科/「ああ,なるほど…社会科を勉強するってこういうことか」と言わせてみたい
- 1 「断片的な知識暗記型」学習観からの転換をめざして
- 2 歴史を勉強するってこういうことかなあ
- 3 こんな授業に取り組んでみました
- 3 数学科/数学の魅力は,そのプロセスにある
- 1 「筋が通った理由がわかるからすごい!」
- 2 プロセスにある魅力に気づくために,授業をどうつくるか
- 4 理科/理科を学ぶ喜びとは?
- 1 理科の本質や魅力を学ばせたい!
- 2 こんな授業づくりをしてみませんか!
- 5 音楽科/“感性の教科”として
- 1 音楽科のめざすもの
- 2 「豊かなイメージ」の発露としての「表現」
- 3 広げたい音楽観・世界観
- 4 感性を育てるということ
- 6 美術科/今こそ,美術教育を
- 1 時代は進んでいる
- 2 美術科を学ぶって何だろう
- 3 美術の魅力に出会う授業づくり
- 7 保健体育科/生徒の関心・意欲を高めるための試みと実践
- 1 運動する楽しさをわかってほしい
- 2 保健体育科の魅力や本質に迫るための授業づくり
- 3 関心・意欲・態度を評価する
- 8 技術・家庭科/製作や実習から生活や社会が見えてくる
- 1 新しい発想で授業をしよう
- 2 そのために,こんな工夫をしています
- 3 本物の「楽しさ」と私たちの感性
- 9 英語科/コミュニケーションの「楽しさ」を体感する授業
- 1 授業を受けてびっくりした!
- 2 コミュニケーションとその
- 3 「くさび単元」でコミュニケーションの楽しさを
- 4 How to design「くさび単元」
- あとがき
- CD-ROMについて
- 研究同人
はじめに
今日,私たちは社会環境の大きな変動に直面しております。経済のグローバル化にともなう市場経済原理の展開や我が国における少子・高齢化によって,職業構造,雇用制度,社会福祉制度が様変わりしつつあります。こうした時代状況の中で,中学生がいかに主体的に学ぶ態度を身に付けていくかは,学校教育の重要な課題のひとつであると考えます。
本校では昭和34年から現在に至るまで,実に40余年という長い歳月をかけて,「主体性を高める授業過程」を研究テーマに掲げ,「主体性ある人間」の育成をめざして研究を推進してまいりました。その間の研究成果は,教育研究発表会及び以下のような7冊の単行本の形で世に問うてきました。
○第一書『中学生の思考過程』(1963年8月初版発行)
○第二書『中学校における授業の組織化』(1965年3月初版発行)
○第三書『矛盾の克服をめざす授業』(1967年10月初版発行)
○第四書『主体性の追究』(1970年11月初版発行)
○第五書『自ら求め わかりあう授業』(1982年2月初版発行)
○第六書『わかり方の追究』(1988年9月初版発行)
○第七書『生徒の「思い」が育つ授業』(1993年9月初版発行)
第八書としての本書は,こうした研究成果を継承するとともに,第七書を刊行して以来5年間,教官一同総力をあげて取り組んできた成果であります。
本校の授業実践や校内研修に参加してみて,また生徒一人ひとりが意欲的に授業や学校行事などの学校生活を過ごし,未来に向かって歩んでいる輝かしい姿から,長年取り組んできた本校の研究成果を感知せざるをえません。
本書が未来における学校教育への良き糧になれば幸いです。
1999年 春陽
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- 明治図書