子どもが創る総合学習2001年の扉を開く新たな自分を創造する子どもの育成

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自己の姿を見つめ直し,必要な価値観を見いだすことのできる子供を育てるために、9教科と総合学習の新たな教育課程を具体的に示した。


復刊時予価: 3,124円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-215618-8
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 240頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

国語科 こころをゆさぶり ことばを生かす
国語科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
国語科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 1年単元「自然との語らい」/ 3年単元「日本語を考える」
社会科 人・自然・文化の共生を問う
社会科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
社会科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 3年単元「規制緩和と消費者保護」/ 3年単元「核家族と高齢化社会」
数学科 数学的な表現力を高める
数学科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
数学科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 1年単元「モビールの数理を探ろう(関数T)」/ 3年単元「キャッチ・ザ・モンキー(関数V)」
理 科 自然に学び 自然としての人間を考える
理科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
理科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 1年単元「Mysterious Sound (音)」/ 2年単元「ミニ地球「バイオスフィア2D」を作ろう(自然と人間)」/ 3年単元「My Energy (運動とエネルギー)」
音楽科 音楽をいつくしむ心をはぐくむ
音楽科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
音楽科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 拓男の学びを追って(修学旅行、プランドゥ学習とかかわって)/ 2年単元「時間の美U(和太鼓)」/ 3年単元「時間の美V(ミュージカル)」
美術科 感性を磨き豊かな創造力を育む
美術科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
美術科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 2年単元「夢を語ろうU われらの守り像(立体共同制作)」/ 3年単元「わたしの化身(木彫レリーフ)」/ 保健体育科 生活への関心を高め、生涯スポーツ社会を担う力を培う
保健体育科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
保健体育科で育てたい資質を培う手だて
資質の高まりをみる手だて
授業の実際 1年単元「タンブリング」/ 1年単元「決めろ スマッシュ!(球技選択T 卓球orバドミントン)」/ 技術・家庭科 心と技で 生活を創る
技術・家庭科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
技術・家庭科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 1年単元「わたしのミラクル、わたしのウッディーサービス(木材加工)」/ 2年単元「家康の食生活に学ぶ、みそを使った岡崎駅弁を作ろう(食物)」
英語科 こころ弾むコミュニケーション
英語科のめざすもの
教科カリキュラムの構想
英語科で育てたい資質を培う手だて
授業の実際 1年単元「PEOPLE AROUND ME(身のまわりの人々)」/ 3年単元「LIVING WITH FOREIGNERS(日本文化を紹介しよう)」

はじめに

 臓器移植法が成立、発効しながらも、思ったほどにドナーが増えず、移植を待ちながら苦しみ、病気と闘っている人がいます。そんな人たちの存在を知った本校3年生のグループは、修学旅行の追究テーマを、「臓器移植から日本を見つめる」と設定しました。まず、子どもたちは事前に日本と諸外国の脳死判定の基準、ドナーと移植を受ける患者(レシピエント)の思い、日本における移植が容易に進まない事情、原因について、関係機関への訪問活動を通して調べ上げ、修学旅行の本番には厚生省の臓器移植対策室を訪れて調査を行いました。そして彼らは、『社会全体で臓器移植について考え、心からドナーになりたいという人が今以上に増える日本、そんな日が早く訪れる必要がある。』と夢の日本における臓器移植のあるべき姿について考えをまとめました。そして、彼らのこの活動は厚生省すら動かしました。産経新聞(H10.5.15)は、『この動きを契機に、臓器移植についての理解を深めるために、厚生省は学校教育の現場で啓蒙活動に乗り出そうとしている』と報じています。

 このような活動はこのグループに限らず、「輝け!!われらの夢の日本 〜50年後に思いを馳せて〜」のテーマのもと、29の班が追究テーマを掲げて取り組んできました。50年後、それは自分たちが60歳を越え、第一線を退いた頃となります。その頃の日本のあるべき姿を思い描くということは、自分たちが日本をどうつくっていくのか、自分がどう生きていくのかという指針を得ることに他なりません。また、これらの成果は、未来宣言書として各官公庁、研究機関等に対して提言されました。

 こうした三年生の活動の中には、本校が平成7年度より課題として掲げ、実践し、研究を重ねてきた成果の一端が示されているのではないかと思います。即ち、この間、私たちは「ソルビングアプローチ(SA)」という自主的で、行動的で、価値的な学習を保障するための手だてを、すべての学習過程の中に意図的に講じてきました。「SA日常性を重視した学習」「SA創り出す学習」「SA練り合う学習」「SA振り返る学習」そしてプランドゥ学習で講じる「SA生活に還元する学習」が、この修学旅行における追究活動の中で、一定の具現化を見せているように思われ、たいへん心強く思っています。

 時代がどのように変わろうとも、教育という仕事の根底を流れる真実は、“目の前の子どもから目をそらしてはあり得ない”ということではないでしょうか。これは、本校の研究図書の一節で、私たちが大切にしている子ども観、教師観を如実に表したものであります。

 このような立場に立ったとき、昨今の中学生をめぐる諸事件の頻発は、間近に迫った21世紀への不安と、現在の経済、財政事情とが相まって、われわれのみならず、多くの人々の心を痛めています。これは、戦後の政治、経済、財政、社会のあらゆる見直しが迫られ、改革が必至の課題として論議されるおり、教育も決して無縁なものではないことをあらわしています。少子化、高齢化、国際化、情報化が急ピッチで進行する今の状況下で、21世紀を担う子どもを育成する新たな教育課程の開発が求められているのです。

 私たちが、研究テーマを『2001年の扉を開く−新たな自分を創造する子どもの育成−』と掲げたのも、以上のような問題意識に基づくものでした。

 この4年の間、多数の共同研究者や助言者、シンポジストの方々の御協力と御指導、御助言をいただきつつ、研究委員会、研究全体会における議論、検討を重ねてまいりました。ここに一つの区切りとして総括を行い、その成果を公表して、多方面の御叱正、御教示を仰ぐことにより、更なる研究の深化、発展を図ろうと考えております。多くの方々の厳しい御批判をいただければ、幸いです。


  2001年を目前にして…   愛知教育大学附属岡崎中学校長 /目黒 克彦

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