- はじめに
- 第1章 新たな自分を創る子ども
- 第1節 子どもを見つめるなかで
- 1 子どもの世界
- 2 求める子どもの姿
- 第2節 「新たな自分を創る子ども」に迫るために
- 1 「くすのき学習」の創造
- 2 「くすのき学習」の特色
- 3 教科学習と「くすのき学習」
- 第2章 心の育ちを大切にする
- 〜くすのき学習〜
- 第1節 ともに創る単元を構想する
- 第2節 くすのき学習の構想と展開
- 1 第一次構想を立てる
- (1) 子どもをとらえ,願いをかける
- (2) 教材を模索し,選定する
- (3) 活動の道筋を予測する
- 2 子どもの思いや願いを醸成する
- (1) 意識をほりおこす
- (2) 教材と出会わせる
- (3) 思いや願いを確かめ合うかかわり合いを設定する
- 3 ともに歩む
- (1) 新たな出会いを求める
- (2) 活動を見直すことで,活動方針が明確になる
- (3) 思いや願いの高まりが活動を実現させる
- 第3節 人とかかわりながら,自らを高めていく子どもたち
- 「おいしさとやさしさ めしあがれ」(3年単元)
- 「見えてきたよ まわりの世界」(3・4年単元)
- 「いつか来る その日のために」(4年単元)
- 「支えたいな 命のリレー」(4年単元)
- 「バスの中で見た自分」(5年単元)
- 「情報はまかせて みんなの5の3編集局」(5年単元)
- 「知ってる? となりの友だちのこと」(6年単元)
- 「君にとどけたい しあわせの花」(6年単元)
- 第3章 豊かな学びを支える
- 〜教科学習〜
- 第1節 追究を見通した単元構想
- 1 子どもをとらえ,願いをかける
- 2 教材を模索し,選定する
- 3 追究を見通す
- 第2節 追究が始まるまで
- 1 子どもをとらえ,願いをかける
- (1) 先入観や決めつけの危険性
- (2) 子どもをどうとらえるか
- 2 教材を模索し,単元を構想する
- 【事例 3年体育科単元「パスをつないで ネットイン」】
- 3 問いをもたせる
- 【事例 2年国語科単元「めざせ ちびっこガイドさん」】
- (1) 子どもの意識をほりおこす
- (2) 教材との出会わせ方を工夫する
- (3) 問いを生む
- 第3節 追究を支える
- 1 ひとり調べを強める
- (1) ひとり調べの姿から子どもをとらえる
- 【事例 4年社会科単元「だれのためなの? 道路づくり」】
- (2) 朱記,対話で追究を自覚させる
- 1 問いがしっかりともてない子ども
- 【事例 1年音楽科単元「ぼくら どうぶつ音楽隊!」】
- 2 追究の勢いを失いかけた子ども
- 【事例 6年理科単元「土から見える 命の世界」】
- 3 安易に結論づけて満足しようとする子ども
- 【事例 6年社会科単元「龍馬と隆盛 人間の魅力」】
- (3) 友だちの追究に目を向けさせる
- 1 グループ化の動きを保障する
- 【事例 4年体育科単元「つくりあげよう わたしの連続技」】
- 2 追究の足跡を見合う場を設定する
- 【事例 4年図画工作科単元「上がれ! ぼくらの夢気球」】
- (4) 単元構想を修正する
- 【事例 2年生活科単元「おじいちゃんおばあちゃんと おともだち」】
- 2 かかわり合いのなかで
- (1) かかわり合いを構想する
- 【事例 4年算数科単元「かわるよ かわる ふしぎな箱」】
- (2) かかわり合いでの教師の出を工夫する
- 1 ゆさぶりをかける
- 【事例 3年国語科単元「めざせ! ニュースレポーター」】
- 2 つないでひろげる
- 【事例 2年算数科単元「ねらいは ばっちり」】
- 3 板書を生かす
- 【事例 4年社会科単元「明治からの糸づくりを守る人」】
- 4 終わり方を工夫する
- 【事例 6年家庭科単元「みんなでつくろう 快適空間」】
- 第4章 自分を創る姿を見守り続けて
- 第1節 自分の世界を拡げていく子ども
- 第2節 心豊かな育ちを願う
- 第3節 子どものもつ無限の可能性
- 愛知教育大学附属岡崎小学校の研究の特長
- 国立教育研究所教育方法研究室長 /奈須 正裕
- おわりに
- 研究同人
はじめに
今,「生きる力」や「総合的な学習」が注目されています。本校では大正期から「教育は生きる力を磨き,深めることであらねばならぬ」という「生活教育」の理念を掲げてきました。その理念のもとに,「問いつづける子ども」(1980年),「子どもとともに創る授業」(1984年),「生活を拓く授業」(1988年),「この子の輝く授業」(1992年),「未来を生きぬく子ども」(1996年),そして,今回の「新たな自分を創る子ども」(2000年)という主題を設定して教育・研究を進めてきました。
これらの主題には,子どもをとらえ続け,子どもとともに授業を創っていこうとする教師の願いが一貫して流れています。
21世紀が始まる2001年は,ちょうど本校創立100周年にあたります。わたしたちは,この100年の間に築かれた本校の伝統から多くを学びながらも,新しい21世紀を創りあげていくための生きる力をもった子どもの姿を求めてきました。
特に今回の研究から,新たに「くすのき学習」を立ちあげました。これは,本校の生活教育の伝統に根ざす日々の実践の積み重ねのなかから生まれてきた総合的な学習といえます。この学習では,子ども自身が生活を見つめるなかで意識される問題に,学級や多くの人たちとかかわりながら取り組んでいく活動そのものを大切にしています。そこでは,動物とのふれ合いから命の意味を考えたり,地雷で片足を失った人の生き方への感動から地雷撲滅の運動へと発展させたり,隣の養護学校の友だちと交流したりするなど,さまざまな活動が展開されています。そして,「くすのき学習」と「教科学習」とは,車の車輪のように子どもの成長を支えています。
本書は,そうした実践を日々迷いながら続けているわたしたちのささやかな報告書です。読者の皆様方のご批判・ご指導をいただいて,さらに前進させたいと願っています。
最後に,わたしたちの研究をご指導いただきました大学,教育委員会,研究所等の先生方に感謝し,お礼を申し上げます。
2000年7月 愛知教育大学附属岡崎小学校長 /藤江 充
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- 明治図書