中学校・使える学級経営のマニュアル1
学級を崩壊させない指導の法則

中学校・使える学級経営のマニュアル1学級を崩壊させない指導の法則

好評2刷

学級の荒れを予防する教師の心構え、いじめへの対処法等事例満載

中学生との関係チェックポイント@生徒と教師の一線を崩さない。A約束を守る。B報告・連絡・相談をする。C生徒の話を聞く・エピソードを語る。DKOK−きれいでおしゃれ、かっこいいーを意識する。この5つを意識するとー必ず上手くいく事例を紹介


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ISBN:
978-4-18-224117-8
ジャンル:
学級経営
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 176頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年12月12日

もくじ

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まえがき
第1章 担任が統率者である 毅然とした態度と優しさのバランス
1.《生徒からの信頼》を教師が勝ち取る努力をしているか /染谷 幸二
2.「向山型指導法に支えられた翔和学園の実践」をくり返し読む /川神 正輝
3.人任せにするのではなく,自分が何をするのか /櫛引 丈志
4.教えるべきことをきっちり教え,ほめるべきをほめればよい /長谷川 博之
第2章 真のリーダーが出現する 「自由立候補ジャンケン制」を中学に導入する
1.やる気を引き出す「語り」とともに /松原 大介
2.立候補させ,スピーチさせ,活躍させる /野口 敦広
3.いじめや差別の温床をなくす 自由立候補ジャンケン制 /鈴木 勝浩
4.リーダーは上に立つものではない,下で支えるものだ /風林 裕太
第3章 座席を征する担任は学級を統率する
1.教室を居心地のいい場にするために座席を管理する /染谷 幸二
2.席替えは学級担任がコントロールする /山本 真吾
3.中学1年生 情報収集は中学入学前から行う /山本 雅博
第4章 学級経営のリスクマネジメント “荒れる”前に予防する
1.教師の心構え次第で“荒れ”は予防できる /寺田 加奈子
2.安心感を学級経営の根幹にすえる /山下 修
3.システムづくりと賞賛で「荒れ」を予防する /星 由紀枝
第5章 これだけは譲れない! 学級担任としてのこだわり
1.下駄箱と教室を常に整える〜靴・鞄・椅子を定位置へ /伊藤 和子
2.全員参加を目指す よさこいSAMURAI指導 /坂本 育朗
3.机を合わせることの価値を生徒に伝える /冨士谷 晃正
4.全員参加・全員本気・全員成長を追い求めるそれがはじめの一歩 /長谷川 博之
第6章 いじめ発見! まずはここから解決を図る
1.いじめが起きたなら3つのステップで指導する /櫛引 丈志
2.24時間以内に3つのことを行い,最後まで見守る /垣内 秀明
3.校内に発見・対処のシステムを打ち立てることが先決である /長谷川 博之
第7章 効果的な学級経営1 副担任との良好な関係のつくり方
1.日常の中で副担任の信頼を得る /志田 智明
2.担任だけではない 教師全員で生徒を見るのだ /吉田 る実
3.3つの「共に」を大切にする /横山 宏樹
第8章 効果的な学級経営2 学年団との連携を図るための秘訣
1.連携を図るために大切にしていること /風林 裕太
2.笑顔で,そして進んで動こう /鈴木 勝浩
第9章 危機管理 ちょっと気になる生徒との接し方
1.一点突破で指導する /新谷 竜治
2.学年主任として,生徒が知らない《担任の思い》を伝える /染谷 幸二
3.特別支援は「記録」と「複数」で臨む /倉 豊彦
4.笑顔で声をかけ続ける /野口 敦広
5.気になるところは目をつぶり,よさを見つける /星 由紀枝
第10章 リセット! 点検・修正 長期休業後の学級経営のツボ
1.長期休業前と同じように過ごさせる /三並 郁恵
2.新しく始まる学期を笑顔で過ごすための戦略 /垣内 秀明
3.シルバーの1日 休み明け初日に全力を注ぐ /佐藤 泰弘
第11章 心のバイブル 精神的支柱となる向山語録
1.安心してゆっくり休みなさい /渡邊 佳織
2.教育の仕事は,手品のようにはいかない /坂本 佳朗
3.子どもの成長は教師の成長に規定される /山口 俊一
第12章 学級経営に疲れた時,困った時の乗り切り方
1.続ける・会う・読む・休むの4つで乗り切る /志田 智明
2.人に会う,学び続けるとクラスが変わる /小山 典子
第13章 マイナスをプラスに! 保護者からの苦情に誠実に対応する
1.苦情から「生徒の成長」を阻む問題を探る /野口 敦広
2.子どもへの接し方を見直すことができた /上野 一幸
3.保護者の苦情は,天気予報の注意報・警報だ /新谷 竜治
あとがき

■まえがき■

 中学3年生の学級担任に復帰した。中学1年生の時に担任していた学級なので出戻りである。不思議な気分であるが,やはり嬉しい。

 始業式の日,宿題として1分間スピーチを出した。これは,最初に学級を持って以来,ずっと続けている。向山洋一氏の追試である。ただし,原実践は30秒スピーチである。中学3年生ということで1分間にした。スピーチのテーマは『1年間の抱負・目標』である。

 始業式の日,「原稿を書くこと」「ぴったり1分間になること」「暗記してくること」を伝えた。

 これだけでは面白くない。そこで,私がモデルを示すことにした。原稿用紙1枚をゆっくり読み上げれば,だいたい1分間である。それが分かっていれば,数秒の誤差でスピーチができる。しかし,今回はピッタリ1分間で終わらせたい。それには,裏技がある。

 スピーチの前に,「先生が見本を見せます。ぴったり1分で終わらせるので,時計を持っている人は計りなさい」と伝えた。当然,生徒は時計に注目する。ここがポイントである。

 スピーチを始めた。学級担任に復帰して喜んだこと,修学旅行が楽しみなこと,卒業式で感動の涙を流したいことなどを淡々と話した。この場合,内容はどうでもいい。私は,時計を持った生徒に注目した。1分が近づいてくると,計っている生徒の体の動きが大きくなった。5秒前になったのだろう,まわりの生徒にカウントダウンを始めた。こうした動きは計算済みである。その生徒の体が大きく動いた瞬間,スピーチをやめた。


 「すげ〜,1分ジャスト!」


 私は「これが理想の1分間スピーチです」と笑顔で言った。何のことない,時間を計った生徒が1分を教えてくれたのである。もちろん,彼と打ち合わせをしたわけではない。中学教師を長くやっていれば,生徒がどんな行動を取るかはお見通しである。


 前日のパフォーマンスの効果であろう。全員が原稿を用意し,練習してきた。この日,全員のスピーチをビデオに撮った。1年間の目標を発表する生徒の表情は,実に初々しい。しかも,緊張感いっぱいで臨むので,終わった瞬間,達成感いっぱいのいい表情になる。それを記録に残したいと思った。

 スピーチ終了後,録画したビデオを見せることにした。当然,「え〜!」という声があがった。そこで,次のようにビデオを視聴する目的を語った。


  学級のみんなの前で1年間の目標を語るというのは,勇気が必要なことです。自分の言葉に責任を持たなければならないからです。だから,みなさんは原稿を書き,練習をして臨みました。

  こうした緊張した場面では,誰もがいい表情をします。でも,そのいい表情を自分で見ることはできません。これから学校をリードするみなさんにとって必要なことは,自信を持って生活することです。その自信は,表情に表れます。スピーチで見せた表情が,普段の生活でできれば,きっと後輩から信頼される先輩になることでしょう。まずは,自分のいい表情を覚えてください。そのために,ビデオを見るのです。


 和やかな雰囲気の中でビデオを見ることができた。自分のいい表情を自覚する。中学校の学級経営の基本だと考えている。

 本書は,TOSS中学で学ぶ教師が,日々の学級経営から学び取った実践が綴られている。中学教師は,成長期にある中学生を相手にしている。人生で最もエネルギーに満ちた中学生と一緒に過ごせることは幸せなことである。本書が《笑顔があふれる学級》をつくるきっかけになれば幸いである。


  TOSS中学   /染谷 幸二

著者紹介

染谷 幸二(そめや こうじ)著書を検索»

1966年1月生まれ

TOSSオホーツク中学代表 中学向山型社会事務局

北海道別海町立中西別中学校勤務

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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