- まえがき
- 第1章 なぜ,博物館なのか?
- 1 博物館に対するイメージと本書の役割
- 2 本書が問題提起する4つの改革
- (1) 展示物の写真を撮って,展示物の教材化を目指そう→授業改革
- (2) 博物館を見学させるための簡単なワークシートを作ろう→見学改革
- (3) 博物館展示の技術を教室展示や理科室展示に生かそう→展示改革
- (4) 博物館学芸員から指導を受けよう→研修改革
- 第2章 博物館の展示物を使って授業を盛り上げる
- 1 博物館展示物の写真を使った授業
- (1) 3年生「昆虫」の単元――「擬態」(他学年利用可)
- (2) 3年生「昆虫」の単元――虫が木を食べたあと1(他学年応用可)
- (3) 3年生「昆虫」の単元――虫が木を食べたあと2(他学年応用可)
- (4) 3年生「昆虫」の単元――羽の不思議に迫ろう(他学年応用可)
- (5) 6年生「大地のつくり」の単元――1つの岩石が証明するもの
- (6) 6年生「火山」の学習――博物館見学ガイドブックを自分で作る
- (7) 6年生「ヒトや動物の体」の単元――動物の歯に注目させる
- (8) 科学の論争に参加する(全学年応用可)
- (9) 海の生き物は,かくれんぼが上手(新江ノ島水族館)(全学年応用可)
- 2 写真を使った授業と実物を使った授業
- 3 実物の標本を使って授業をする
- 第3章 身近な博物館のワークシートを作ろう
- 1 教師が作る博物館ワークシートとは
- 2 作成の技法
- 3 生命の星・地球博物館見学シート
- 4 気楽に気軽にワークシートを活用しよう
- (1) 事前指導がなくても力を発揮するワークシート
- (2) 作成の技法
- 5 2年生でも立派に観察できる(新江ノ島水族館ワークシート)
- (1) 実りある見学にするために
- (2) ワークシートの特徴
- (3) ワークシートの効果
- 6 短時間で楽しい見学を!(箱根ビジターセンターワークシート)
- (1) 自由時間でも見学したくなるワークシート
- 7 1回の取材でワークシートを作る(上高地ビジターセンターワークシート)
- (1) 下見1回だけでワークシートが作れるか
- (2) どのような準備をするか
- (3) 見学をしながらワークシート作り
- 8 博物館見学を推奨するうえでの留意点
- 第4章 博物館の展示技術を教室展示,作品展示に生かす(理科室を博物館に)
- 1 理科室に入ると小鳥の声が聞こえる
- 2 ペーパークラフトの小鳥たち
- (1) 愛鳥週間に合わせて
- (2) ツバメがやってくる頃には
- 3 プランターヤゴ
- 4 昆虫ランド
- 5 特別展を開催する
- 6 立体的に展示する
- (1) アクアリウム
- (2) モビールを作る
- (3) 鳥かごを作る
- (4) 乗り物を展示する
- 7 砂の博物館
- 8 季節の花で彩りを
- (1) サクラ
- (2) バ ラ
- (3) テッセン
- (4) アジサイ
- (5) ハイビスカス
- (6) ヒマワリ
- (7) スイレン
- (8) コスモス
- (9) ポインセチア
- (10) ツバキ
- (11) 干支にちなんで
- (12) 行事に合わせて
- 9 授業の単元に関する展示
- (1) 4年生「電気で動くおもちゃ」
- (2) 5年生「天気と気温の変化」
- (3) 5年生「植物の発芽と成長」
- (4) 5年生「生命のたんじょう」
- (5) 5年生「もののとけかた」
- (6) 5年生「おもりのはたらき」
- (7) 6年生「動物のからだのはたらき」
- (8) 6年生「大地のつくりと変化」
- (9) 6年生「水溶液の性質とはたらき」
- (10) 6年生「電流のはたらき」
- 10 ペーパークラフト作成・展示年間計画案
- 第5章 博物館の指導をもとに授業,教材改革
- 1 高価な専門機器から脱却――簡単,熱中,そして,感激の岩石プレパラート
- (1) 顕微鏡で岩石を見たときの美しさを楽しませよう
- (2) やさしく子どもにもできる方法
- (3) 手 順
- (4) この授業の効果と教材としての価値
- (5) 検討課題
- 2 高価な標本からの脱却――手作り標本へ
- (1) 岩石の採取
- (2) フォーマットの配布と作成
- (3) 観察させる
- (4) 完成へ
- 3 学校の地層を保存し,標本化する,授業する
- (1) この作業のきっかけ
- (2) 作業手順
- (3) 授業での活用
- (4) この標本を子どもたちのモノにするために
- 第6章 博物館と教師,学校,どう関わっていくか
- 1 教師側のスタンスをどこに
- 2 神奈川県立博物館との出合い
- 3 私自身の博物館見学法
- 4 旅行に行ったらご当地博物館見学
- 5 展示の仕方も学べる
- 6 博物館主催の観察会や講座に参加する
- 7 標本の同定を依頼する
- 8 本物を見分けてもらう
- 9 手紙を出して質問する
- 10 化石を学校敷地から取り出そう
- あとがき
まえがき
私たちは,教師,子ども,そして保護者たちが持っている博物館に対するイメージを変えたい。本書の願いであると同時に,これは博物館側の願いでもある。
現在の博物館は,かなり工夫がなされて,楽しく学べる場が多くなってきた。
それでも,多くの人は,博物館は「退屈で難しい場所」というイメージを持っている。確かにまだまだそういう博物館はあるし,かつてはそういった印象は強かった。
もし,博物館で学芸員に質問をする,展示物を見てディスカッションする,展示物を使って教室で授業をする,見学に際して事前の授業をするとなると,敷居が高く,それは無理な話になるように感じる人もいるだろう。
本書では,古くからある博物館イメージからの脱却をねらいつつ,こうした敷居が高いとされる話を,身近な話題へ転換して,授業の手法,技術,展開として取り込む方法を紹介する。
授業の中での博物館展示物の使い方,博物館展示の技術を理科室に取り込む方法,博物館へ行ってみたくなる授業展開,博物館を見学する際のワークシートの作り方など,その具体例を紹介する。
私たちは,神奈川県の私立小学校で理科研究に携わるグループであり,おのずと地元,神奈川県立生命の星・地球博物館との関わりが多い。また,本書に登場するワークシートの例も神奈川県の施設が多くなる。
しかし,どの県のどの博物館においても役立つ普遍性の手法,技術を提案した。
特に,第3章で紹介するワークシート「作成の技法」は,ワークシート作りを支援する技術を集めたものである。どの県のどの博物館見学のワーク作りにもお役に立つはずである。こうしたワークの利用により,博物館が身近な存在となっていくに違いない。
博物館を有効に利用し,授業に生かし,子どもたちの興味を高め,力をつけさせるものとしたい。
/岡田 篤
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- 明治図書