- まえがき
- 第一章 記憶の仕組みと「学び方」
- 一 「脳の記憶の仕組み」はこうなっている
- 1 脳の記憶の仕組みの基本型
- (1) 命にかかわる情報
- (2) くり返して入ってくる情報
- 二 「脳科学の知見」を生かした「学び方(勉強の仕方)」
- 三 「教え方」から「学び方」へ
- 四 記憶の仕組みの基本型と復習回数
- 第二章 「脳科学の知見」に基づく成績がアップする勉強法
- 勉強法1 「無気力」を取り「やる気」を起こさせる勉強法
- 1 心理のメカニズムと無気力の学習
- 2 無気力をなくす方法
- 3 勉強の仕方(学び方)を教え、成功体験をさせよ
- (1) 漢字の効果的な勉強の仕方
- (2) 漢字の教え方
- (3) 漢字の学び方へ
- 勉強法2 脳の性質利用勉強法
- 1 脳の性質と勉強法
- 〈その1〉
- 〈その2〉
- 〈その3〉
- 〈その4〉
- 勉強法3 効果的な五感活用勉強法
- 1 五感と勉強法
- 2 効果的な五感活用勉強法例
- 〈ステップ1〉
- 〈ステップ2〉
- 〈ステップ3〉
- 〈ステップ4〉
- 勉強法4 モデル活用勉強法
- 勉強法5 一度覚えたことを忘れないようにする勉強法
- 1 学期末現象のひみつ
- 2 一度覚えたことを忘れないようにする勉強法
- 勉強法6 図・文セット記憶勉強法
- 1 図・文セット記憶勉強法の有効性
- 2 図・文セット記憶勉強法の具体例
- 勉強法7 「強調の法則」を利用した勉強法
- 1 強調の法則を利用した勉強法とは
- 2 「強調の法則」を利用した勉強法
- (1) 部分強調して唱える方法
- (2) 部分強調して赤鉛筆で○を入れる方法
- (3) 部分強調して赤鉛筆で○を入れる方法応用例
- 勉強法8 「トップダウン処理+ボトムアップ処理」セット勉強法
- 勉強法9 興味・追究勉強法
- 勉強法10 友達利用勉強法
- 〈その1 友達と、交互に問題や質問を出し合うやり方〉
- 〈その2 メール・チャット利用法〉
- 勉強法11 意味理解勉強法
- 勉強法12 記憶に残りやすい勉強法
- 1 記憶に残りにくい勉強法と記憶に残りやすい勉強法
- 2 記憶に残りやすい勉強法の例
- (1) 一テーマ勉強法
- (2) 謎解き勉強法
- 勉強法13 夏休み・冬休みの効率的な勉強法
- 1 まず、無理のない具体的な「学習目標」を設定せよ
- 2 勉強の時間帯は、空腹時、食後二時間後、就寝前を外すな
- 3 室温は少し低めに、音は音で押さえよ
- (1) 部屋の温度
- (2) 音の環境
- 4 効率的な休息を入れよ
- 5 具体的な夏休みの勉強の仕方
- 勉強法14 脳科学の知見に基づいた「究極の勉強法」
- 1 勉強の大原則とその応用
- 2 脳科学の知見に基づいた究極の勉強法
- (1) まず、復習する教科を絞る
- (2) 月曜日の復習
- (3) 土曜日・日曜日の復習
- 勉強法15 分散学習継続勉強法
- 第三章 勉強法の定着のさせ方
- 一 学んだ勉強法は、学び方(勉強の仕方)シートで定着させよ
- 1 学び方(勉強の仕方)の定着のさせ方
- 2 学び方(勉強の仕方)シート例あれこれ
- 付録 脳科学の知見に基づく「勉強の原則」
- あとがき
まえがき
世の中、いろいろなものが科学・技術等の進歩によって日進月歩している。
パソコン・携帯電話などは、三ヶ月もたてば新しい機能が備わったものが出てくる時代である。
医学の世界でもしかりである。
早期胃ガンの手術も十数年前までは、腹を開き、メスでガン細胞を取り去る手術であったが、今では、口の中からファイバースコープのようなものを挿入して、胃の中のガン細胞を摘出している。
体の表面に傷がないために、外から見たら、手術したことは全く分からない状態である。
また、血圧は、血圧計で人が測っていたが、今では、機械に手を入れるだけで、自動的に血圧が測れるようになっている。
このように、教育以外の世界は、どんどん科学・技術の進歩で様変わりしつつある中で、教育界は、依然として旧態依然のやり方が横行している。
例えば、多くの教師の家庭学習といえば、「宿題」と称して「プリント」を配ったり、漢字ドリル・計算ドリルを課題として出したりするだけである。
私には分からない。
どうして、授業や家庭学習を通して一生の財産になる、「学び方=勉強の仕方(勉強法)」を教師が教えないのか。
これこそ、教師が子どもたちにすべき仕事ではないのか。
心ある教師は、「授業」で、「学び方=勉強法」を教える。
そして、復習の大切さを教え、家庭学習に「復習の仕方」を教える。
むやみに、ドリルやプリントをやらせたりはしない。
それも、子どもたちが納得するようにである。
幸い、ここ最近になって、「科学のものさし」となる脳科学が大きく発展してきた。
それによって、例えば、次のことが分かってきた。
「記憶の仕組み」はどうなっているのか。
「やる気の脳」はどこにあり、どうすれば動くのか。
「睡眠」は「記憶」とどう関係するのか。
本著は、これらの「脳科学の知見」に基づく「科学的な勉強法」を実践をくぐらして表した本である。
「子どもたちに科学的な勉強法」を教えたい方に献げる書として著した本である。
読者諸氏に少しでも役立つことになれば、望外の喜びである。
二〇〇五年八月 /柏木 英樹
これまでの脳科学の知見を日常の学習にどのように生かせばよいか、非常にわかりやすくまとめられたお薦めの本です。大変、読みやすく書かれています。
教師として、子どもたちにやる気をもたせて学習をさせるためには、どのようにすればよいか、実践に基づいた、指導法のエキスが凝縮された著書だと思います。
学習習慣をどのように付ければよいか、迷っている若い先生には、具体的なヒントが示されていますし、ベテランの先生には、脳科学の最新の成果から、これまでの指導のあり方の裏付けができると思います。
躾に関しては、10歳の壁とか、「つ」のつく年齢までに(九つ)などと、よく言われます。私は、学習の躾も、三年生くらいまでに付けてやらないと、自学自習する習慣はつかないように、思います。この本には、学習習慣を身に付けさせる方法がたくさん詰まっていると思います。
また、この本の親切なところは、付録として、脳科学の知見に基づく「勉強の原則」が、まとめられているところ、そして、引用文献・参考文献がしっかり示されているところです。
脳科学の本に関しては、示されている本に加えて、私は、次の2冊を、お薦めします。
『やる気を生む脳科学』大木幸介(講談社)
『幼児教育と脳』澤口俊之(文藝春愁)