- まえがき
- 第1章 国語の学習に必要な足腰を鍛える
- ○イントロダクション 「国語って楽しい」と言う子どもを授業で育てよう
- 子どもの音読を変える
- 授業のはじめの五分で音読を変える
- 教師のひと言で音読は変わる
- 教師のこだわりで音読はレベルアップする
- 話が聞ける子から、話したいと手を挙げる子へ
- 三つのポイントで話が聞ける子にする
- 子どもが手を挙げる指名術
- 聞き手がコミュニケーションを支える
- 書くことを面倒だと思わない子を育てる
- 国語の授業では書くことは当たり前だと思わせる
- 二種類の視写で子どもの書く力は伸びる
- 第2章 アクティブ・ラーニングをつくる単元計画
- ○イントロダクション 学びはすべてつながっている
- 言語活動の設定の仕方
- 教師のゴールイメージで子どもが動き出す
- 言語活動の設定は終末の活動から逆算する
- 子どもをやる気にさせる導入
- 子どもはもともとやる気に満ちている存在である
- 「選ぶ」ことで、子どもは学びの主体になる
- 考えのズレをはっきりさせることで問題意識が生まれる
- 単元づくりのポイント
- 「話すこと・聞くこと」の単元づくりのポイント
- 「書くこと」の単元づくりのポイント
- 「読むこと」の単元づくりのポイント
- 第3章 ゼロから学べる「話すこと・聞くこと」の授業づくり
- ○イントロダクション 話の聞ける子どもを育てよう
- 全員に話をさせる対話の活動
- 具体的なほめ言葉で話が聞ける子を育てる
- 対話の場面をつくることで話せる子どもを育てる
- 子どもの対話に教師が入ることでクラス全体の話し合いがまとまる
- グループでの話し合いが学び合いをつくる
- 個々の意見の把握が話し合いをスムースにする
- 全員が司会者を経験するグループ討論
- 転ばぬ先の杖を用意しすぎない
- こんなときどうする? 話し合いで困ること
- ノートへのメモに集中すると話し合いで手が挙がらない
- 教師に向かって話をする
- 人の話の途中で口出しをする
- いつも同じ人しか発言しない
- 第4章 ゼロから学べる「読むこと」の授業づくり
- ○イントロダクション 読むことの授業づくりは、常に書くことを意識しながら
- 「読むこと」の発問づくり
- 分類することで子どもの初発の感想を活かす
- 初発の感想を見合うとよりよい「めあて」がつくれる
- クラスの課題をもとに毎時間のめあてをつくる
- 毎時間のまとめが次の時間のめあてにつながっていく
- 教師が行う「一人教材研究」
- 本文の打ち直しで教材研究ができる
- サイドラインを引いてみることで授業がつくれる
- 授業を構想するメモづくり―説明的文章編
- 授業を構想するメモづくり―文学的文章編
- 「学習用語」で考えるとつけるべき言葉の力がはっきりする
- 読む目的がアクティブ・ラーニングをつくる
- 説明的文章の「三つの読む」
- 具体的事例を数えると内容が見えてくる
- 「仲間はずれ」を見つけると文章の書きぶりが分かる
- 「筆者はどんな人だろう」という問いから意図や主張をとらえる
- 文学的文章の「三つの読む」
- 「はじめと終わり」をつかむと話の大体が分かる
- 「いつ変わったか」を読むと物語の構造が読める
- 「なぜ」という問いで主題が読める
- 図書館を利用した読書活動
- 並行読書は目的意識が成功のカギ―文学的文章編
- 並行読書は目的意識が成功のカギ―説明的文章編
- 第5章 ゼロから学べる「書くこと」の授業づくり
- ○イントロダクション 書くことが確かな言葉の力を身につけさせる
- 書くことは質より量
- 数をこなすことで書く力は確実に伸びる
- シンプルな評価で作文力は伸びる
- 読み書きは表裏一体
- 読むことで学んだ「書きぶり」を使うと文章が書ける
- もとの文章をまねると説明文が書ける
- 登場人物が決まると物語が書ける
- 作品構造が決まると物語が書ける
- 10分で詩が書ける
- 第6章 ゼロから学べる伝統的な言語文化と国語の特質にふれる言語活動
- ○イントロダクション なぜ「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」がある?
- ペープサートで神話に親しむ
- かるた遊びをしながら俳句・短歌に親しむ
- 仲間分けするとことわざ・慣用句が身につく
- 空白をつくることで古文が分かる
- 漢字は足し算・引き算で覚える
- ゲームにすることで楽しく漢字の定着を図る
- 第7章 ゼロから学べる板書&ノート指導
- ○イントロダクション 教師の短冊とワークシートは、効果と意義をよく吟味して
- 板書が子どもの思考を促す
- 説明文の文章構成に合わせた板書で思考が深まる
- 物語の流れの特徴を活かすと板書が変わる
- 言葉集めの板書を活かすとマッピングができる
- ノートが子どもの学びをつくる
- 低学年のノートづくりは保護者と連携する
- 中学年のノートづくりは黒板を丸写しさせない
- 高学年のノートづくりはよい工夫を広げていく
- ノートづくりが子どもの学びをつくる
- あとがき
まえがき
一 授業が変わる
これからの授業は、教師が子どもに答えを与えるスタイルから、子どもが目的に応じて答えを導き、つくりだすスタイルへと転換していくことでしょう。
子どもに答えを与える授業は、従来の一斉授業の学習形態によって効率よく行われてきました。これはこれで一つの授業モデルとして意味あるものでした。
子どもが答えを導き、つくりだす授業では、一人ひとりが問題意識をもち、その解決に向かって試行錯誤を繰り返し、解決の糸口や方向性を子ども自らが求めていくスタイルになっていきます。教師が、「これはこうですよ」と一方的に解決の方法や答えを与えるだけではない、新しい授業像が求められているのです。子ども自身が、主体的能動的に学んでいくことのできる授業です。言い換えれば、教師は、教科の本質から逸れることなく、教科の枠を越えた、学び方を学ばせるための授業を、つくりだす必要があるのです。
二 言葉の力をつけること
子どもの学びは、思考も表現も、言葉が支えています。ですから、子どもの学びをつくる力をつけることは、言葉の力をつけることと切り離して考えることはできません。
言葉の力をつける上で、考えるべき視点には、次の二つがあります。
(一)学び手の自立を支える思考力・表現力
子どもが自ら課題や問題をとらえ、目的に向かって追究していく過程において、言葉の力は不可欠です。人は言葉を通して思考し、自らの考えを生み出していくものだからです。課題をとらえる、課題解決の方策を考える、課題解決の手順を見通す、解決のために様々な資料などにあたる、解決したものを成果として表現する、といった学びの全ての過程に、言葉は関わっています。言葉の力を高めることが、子どもの学びの質を向上させることにつながります。
(二)学び合いを支えるコミュニケーション力
目的に応じた学びをつくりだす中で、仲間との協働も欠かすことができません。これからは、仲間との学び合いが一層重視されることでしょう。学び合いの成立のためには、言葉を通して相手の考えやその意図を受け止め、それに対して自分の考えを表現していくコミュニケーションのための力が必要です。コミュニケーション力そのものが、言葉の力であると言うこともできるでしょう。よりよい学び合いは、子どもの言葉の力が高まることと密接につながっています。
三 学びを支える国語授業の役割
新しい学びを支える基礎となる言葉の力をつけていくのが国語科の授業です。国語の授業は、今まで以上に重視されるべきものなのです。前述した二つの言葉の力を育むために、国語の授業そのものの見直しが必要です。
(一)自立した言葉の学び手を育てる
一人ひとりに、質の高い言葉の力を身につけさせる必要があります。そのためにはまず、聞く・話す・読む・書くのそれぞれの言語活動における足腰を鍛えていく必要があります。それは例えば、次のような子どもを育てることです。
・人の話を最後までしっかりと聞ける。
・相手に向かって、しっかりした声で話ができる。
・ある程度長い文章も最後まで読み通せる。
・必要に応じて、面倒だと思わずに書ける。
こうした基盤の上に立って、よりよい聞き方、話し方、読み方、書き方を身につけさせます。一人ひとりの子どもに、実生活、実社会で生きて働く言葉の力が身についていくような授業が求められます。
(二)学び合いのできる子どもを育てる
実生活、実社会において、解決すべき課題や問題はそう単純なものではありません。課題や問題が多様化し、目的が複雑になればなるほど、仲間との協働が必要になります。国語科の授業においても、学び合いの場をどのように設定するかが大きな課題になります。
このような考え方に立って、本書「ゼロからシリーズ」の国語科編を作成しました。自立した学び手を育てるため、また学び合いのできる子どもを育てるために、国語授業の第一歩として、本書が役立てれば幸いです。本書を手がかりにして、子どもの姿に応じた素敵な学びの場を、教室で子ども達と一緒につくりあげていただければと願っています。
平成二十八年二月 筑波大学附属小学校 /青木 伸生
本当に理解しやすい内容でした。
コメント一覧へ