自己をひらく
「個別最適な学び」「協働的な学び」を育む学校文化と授業

自己をひらく「個別最適な学び」「協働的な学び」を育む学校文化と授業

近日刊行予定

子どもが主体的に追究し続ける伝統のある教育実践を徹底紹介

子どもの自己調整能力を高める朝活動、くらしの時間、授業、自主活動、自立を促す日課運行、宿泊学習、インクルーシブ教育から、「個別最適な学び」「協働的な学び」を育む授業実践、教員研修や教育実習まで、堀川小学校の教育文化を形成する最新実践のすべてを収録。


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ISBN:
978-4-18-233730-7
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 232頁
状態:
近日刊行
出荷:
2024年5月27日

目次

もくじの詳細表示

はしがき
第1章 堀川の子どもに流れる学校文化
第1節 自分の思いをもつ子ども
1 自分なりの見方・考え方を大切に学びを進める子ども
―第1学年 生活科「わたしのあさがお」―
2 願いに向かって活動を広げていく子ども
―第1学年 生活科「がっこうさんぽ」から朝活動へ―
第2節 他との違いに学び合う子ども
1 互いの考えをぶつけ合う中で,自分の取組のよさを実感していく子ども
―第4学年 算数科「身の回りの広さを表す」―
2 仲間と考えを聞き合う中で,自分らしさを確かめていく子ども
―第2学年 朝活動でくらしをつくっていくこと―
第3節 自分の力で切り拓く子ども
1 目敏く敷地の空きスペースを見付け,環境にはたらきかける子ども
―第4学年 総合的な学習の時間「南門づくり」―
2 なりたい自分に向かって努力を重ね,自分に自信と誇りをもつ子ども
―第6学年 図画工作科「ポスター―最高学年として―」―
第2章 学校文化をつくり出す教育課程
第1節 子どもが自ら考え,学びを進める教育課程
1 朝活動:身の回りの環境に心をはたらかせ,自らの手で整える子ども
@ 活動の意味を見直し,意欲を高めていく子ども
A 重ねた取組に高まりを実感し,活動を楽しんでいった子ども
2 くらしの時間:対象を豊かに感ずる心の背景を聞き合う子ども
@ くらしの時間に込めた願い
A 実際のくらしの時間―第5学年 くらしの時間―
3 授業:自己をみつめ見直し,追究を深める子ども
@ 堀川における「授業」
A 実際の授業―第6学年 社会科「国民と選挙権」―
B 授業のはたらき
4 自主活動:自主的によりよいくらしをつくる子ども
@ くらしの中の目当てがそれぞれの「自主活動」をつくる
A 仲間と切磋琢磨しながら自分を高めようとしていく子ども
第2節 子どもの自立を促す堀川のくらし
1 子どもと教師でつくる日課運行
@ つなぎの時間を意識し,時間を自分で判断する子ども
2 子どもの手で活動をつくり出す宿泊学習
@ 宿泊学習のくらしを自分たちで考え,準備する
A 厳しい環境の中での自己決定が生む挑戦と手応え
3 堀川にみるインクルーシブ教育
@ インクルーシブ教育の目的
A 子どもにとっての効果的な「交流及び共同学習」
B 仲間と共に学び合う文化がつくる学校全体としてのインクルーシブ教育
第3章 自己をひらく授業―堀川における「個別最適な学び」と「協働的な学び」
第1節 自己をひらく授業(理論編)
1 子ども一人ひとりにとっての必然の把握
@ 一人ひとりの子どもを捉える
A 事実を基にくらし全般で子どもを捉える
B 子ども一人ひとりの「その子らしさ」を捉える
2 教材がはたらく,子ども一人ひとりにとっての抵抗や矛盾等
@ 教材の中核と子ども一人ひとりにおける自分の問題
A 教材の中核を発掘,分析し,追究予測を描く
B 子どもの学びと教材のはたらきの実際
3 ひとり学習における子どもの歩みを促す指導・支援,それらを裏付ける丁寧な分析
@ 提示によるその子らしい捉え方や意味付け方を大切にする
A その子の歩みにおいて必然的に生まれる「停滞」「葛藤」「挫折」等を乗り越えようとする姿を捉え,寄り添う
B 子どもの振り返り「自己評価」を生かした創意ある指導と支援の実際
4 子ども一人ひとりに生きてはたらく集団過程
@ それぞれの子どもの「ひとり学習」の充実と自己理解の深まり
A 子どもの思いの背景を感じ取る
B 一人ひとりに生きてはたらく集団過程の実際
第2節 自己をひらく授業(実践編)
1 子ども一人ひとりにとっての必然の把握
―第2学年 算数科「かずがあらわすこと」―
@ 子どもにはたらく教材研究
A 自ら課題を見出し,抵抗や矛盾を乗り越え,問題解決に取り組む
B 問題解決を通して,改めて単元の意味をみつめ直す
C 子どもの人間性を育み,自己の生き方をみつめる教材発掘,開発を目指して
―第6学年 社会科・総合的な学習の時間「戦後77年の今を生きる」―
@ 願う子どもの姿と単元の構想
A 単元における子どもの歩みの実際
B 子どもの歩みの必然を描く
C 子どもの必然を描き,子ども理解に立つ教師であるために
2 教材がはたらく,子ども一人ひとりにとっての抵抗や矛盾等
―第1学年 国語科「いきものクイズをつくろう」―
@ 国語科で身に付けたい「相手意識」と単元の構想
A クイズを通した関わりの中で,願う自分の姿に気付き始める
B 相手を楽しませながら,自分の言語表現を豊かなものにしていく
―第6学年 体育科「からだで表現―未来―」―
@ 表現運動の材性と永山さんの歩み出し
A 表現運動に取り組む中で,仲間の姿をきっかけに自分をみつめる
B 教材を通して明らかになった抵抗・葛藤を乗り越えようとしていく
3 ひとり学習における子どもの歩みを促す指導・支援,それらを裏付ける丁寧な分析
―第6学年 総合的な学習の時間「市電が走る富山市」―
@ 自分なりの着眼点から対象と関わり,事実と考えを整理する
A 出合った事実から生まれる気付きを検証していく
B 仲間の考えや新たな事実に揺さぶられ,その子なりの問題が表れてくる
C 自分らしさを発揮しながら,自らの願いの実現に向け,力強く歩み出す
4 子ども一人ひとりに生きてはたらく集団過程
―第4学年 国語科「雪渡り」―
@ 学習材との出合いから感じたことを聞き合い,自らの歩み出しを探る
A 仲間の読みを聞くことを契機に,教材との関わりを深めていこうとする
B 自分の問いをもち,作品への自分なりの意味付けを見出そうとする
C 「雪渡り」とくらしがつなぐ仲間の問いかけで,自分の問題を自覚する
D 立場の違いを明らかにしながら,相互理解を深めていく
E 仲間との関わり合いから,自らの学習の意味付けを確かにしていく
第4章 自立した子どもを育む教師
第1節 高め合う教師集団
1 研修による自己研鑽
@ 個人研究の場
A 部会研究の場
B 個人研修の実際
C 中間研究部会の実際
D 個人研修につながる中間研究
2 先輩に学ぶ堀川の教育理念と子ども理解の在り方
@ 堀川の先輩たち
3 教育実習からの学び
@ 教育実習の歴史
A 教育実習の意義
B 教育実習の実際
C 教育実習で学んだこと
第2節 座談会
「一人ひとりの子どもが生きる学校へ―堀川の教育とこれからの学校―」
特別寄稿
1 自作のストーリーを主人公として生きる子どもたち
藤井 千春(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
2 子どもの本音をとらえる
奈須 正裕(上智大学総合人間科学部教授)
あとがき

はしがき

 近年,教育現場でも,ChatGPT に代表される生成 AI の活用の在り方が議論されています。また,2045年と予測されている,いわゆるシンギュラリティが早まるのではないかという議論もあります。シンギュラリティについては,賛否両論がありますが,子どもたちが,AI を活用してくらしを豊かにする時代,予測困難で変化の激しい時代を生きていくことは間違いありません。


 そのような中,人間らしさを大切にし,主体的,創造的に未来を切り拓く力を育む教育が求められています。次代を生きる子どもの well-being のためには,日々の授業や学校生活を子どもの側から問い直し,充実,発展させていかなくてはならないと考えています。

 また,中央教育審議会が,2021年1月に「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜(答申)」を公表して以来,各学校では,「個別最適な学び」を実現すべく,指導の個別化,学習の個性化を目指した授業実践が積極的に行われています。


 本校では,実践主標「個が育つ教育経営」を掲げ,長年,一人ひとりの子どもの育ちを大事にした教育を進めてきました。授業においては,教材と出合った一人ひとりの個性的な追究を大切にし,その充実をいかに支援すればよいかに重点を置いています。

 多様性と包摂性が大切にされた学校で,日々,子どもは個性的にくらしづくりを進めています。また対話を重視した特色ある教育課程(朝活動,くらしの時間,授業,自主活動)を通して,多様な個性を尊重し合い,認め合い,高め合う集団が形成されています。



 そこには,「自主創造―くらしをみつめ 追究する子ども―」の教育目標のもと,自らのくらしづくり,学校づくりを進める子どもと,それを支える教師の営みが,学校文化として脈々と受け継がれているのです。そして,子ども理解を中心に据え,授業研究を通した同僚性を基盤に,互いに高め合いながら,子どものための学校づくりを進める教師の協働といった文化も連綿と続いているのです。


 本書は,重松鷹泰先生のご指導を受けた『授業の研究』(1959年)から数え,第14番目の書となります。研究主題を「自己をひらく授業」とし,一人ひとりの子どもの自己への気付きや理解を促し,生き方を深めていく授業の在り方を求めて研究を進めてまいりました。子どもの姿を通して,本校における「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実や,子どもや教師に流れる学校文化の一端を感じていただければ幸いです。


 まだまだ実践は拙いものであり,読者の皆様からの厳しいご批判と温かいご指導を切にお願いします。

 最後になりましたが,今回,長年ご指導賜っております早稲田大学教授 藤井千春先生,上智大学教授 奈須正裕先生に特別寄稿をいただき,堀川小学校の子ども,教育について論じていただきました。厚く御礼申し上げます。


  令和6年3月   富山市立堀川小学校長 /荒田 修一

著者紹介

富山市立堀川小学校(とやましりつほりかわしょうがっこう)著書を検索»


※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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