- まえがき /甲本 卓司
- T 出会いの三日間で一年間が決まる!
- 一 黄金の三日間これだけはおさえたいポイント
- ―名前を呼んで褒めよう― /小野 隆行
- 二 六年生の心構え
- ―六年生よ。学校全体の範を示せ!― /甲本 卓司
- 三 高学年を納得させるポイント
- ―自分自身で約束させ、周りの力を使う― /小野 隆行
- 四 春休みの準備チェックリスト
- ―春休み、新年度の準備を計画的に進めよう― /大恵 信昭
- 五 学級開きの事務処理を早く終わらせる仕事術
- ―春休みの過ごし方が一年を決める― /大恵 信昭
- 六 五年担任の一年間を見通した仕事
- ―宿泊研修の準備は、見通しを持って行おう― /大前 暁政
- 七 六年担任の一年間を見通した仕事
- ―修学旅行の準備は早め早めに取りかかろう― /杉本 友徳
- 八 黄金の三日間:第一日目の指導タイムスケジュール
- ―初日は所信表明。そして、子どもを褒めよう― /三宅 孝明
- 九 黄金の三日間:第二日目の指導タイムスケジュール
- ―学級を組織しよう― /三宅 孝明
- 一〇 黄金の三日間:第三日目の指導タイムスケジュール
- ―授業で教師の威厳と権威を確立しよう― /三宅 孝明
- 一一 出会いを楽しくするゲームメニュー
- ―出会いのゲームで、教師が主導権を握ろう― /熊谷 博樹
- U 安定した学級づくりに欠かせない指導のポイント
- 一 夢を語り夢を持たせる
- ―教師自身が夢を持ち努力する― /甲本 卓司
- 二 いじめを教室からなくすにははじめが肝心
- ―いじめをなくせるのは教師だけである― /杉本 友徳
- 三 アドバルーンにはこう対応する
- ―アドバルーンは、全員の前で指摘し直させる― /大前 暁政
- 四 アドバルーンにはこう対応する
- ―シャーペン・消しゴム等の文房具編― /大前 暁政
- 五 アドバルーンにはこう対応する
- ―赤鉛筆編― /大前 暁政
- 六 アドバルーンにはこう対応する
- ―交換日記編― /大前 暁政
- 七 やんちゃな子に絶対負けないケンカ術
- ―ケンカ術の原則をふまえ冷静に戦う― /杉本 友徳
- 八 ADHDの子がクラスにいたら
- ―ADHDの特性を理解し、褒める場面を意図的につくる― /小野 隆行
- 九 ASの子がクラスにいたら
- ―安心できる学級づくりをしよう― /熊谷 博樹
- 一〇 LD・その他の障害の子がクラスにいたら
- ―「視覚・聴覚」両方の情報入力を確保する― /小野 隆行
- V 一年間を安定させる学級のシステムづくり
- 一 学級を組織する
- ―統率者としての自覚を持て― /甲本 卓司
- 二 みんなで支える一人一役当番システム
- ―担任不在でも一週間動くシステムをつくる― /三宅 孝明
- 三 遊ぶ子がいなくなる掃除当番の決め方・やらせ方
- ―細分化してやり方を示し、チェックして褒める― /杉本 友徳
- 四 給食当番の決め方とどの子も満足する給食指導
- ―おかわりの順番にもすべて意味がある― /杉本 友徳
- 五 日直当番にはこんな仕事をさせる
- ―混乱しないシステムをつくることが重要である― /小野 隆行
- 六 クラスの当番を滞らせないチェックシステム
- ―誰ができていて誰ができていないかを明確にする― /小野 隆行
- 七 創意工夫のある係活動でクラスを盛り上げる
- ―係と当番を分けて、やりたい活動をさせる― /熊谷 博樹
- 八 シンプルだから毎日続く:朝の会・帰りの会の進め方
- ―短時間で終わるように必要最小限のことを行う― /三宅 孝明
- 九 力をつける朝自習のおすすめメニュー
- ―子どもから質問が出ない課題を与える― /三宅 孝明
- 一〇 ダイナミックな活動で、学級の文化を高める
- ―五色百人一首で学級の文化を高める― /大恵 信昭
- 一一 子どもが落ち着いて過ごす雨の日の遊び方おすすめメニュー /大恵 信昭
- 一二 どの子も楽しんでやってくるおすすめ宿題メニュー
- ―自分から調べたいと思わせる宿題を出す― /大前 暁政
- W 知的な授業がクラスを支える 授業開き全教科
- 一 五年:国語の授業開き
- ―授業開きで子どもを熱中させる向山実践― /杉本 友徳
- 二 五年:社会の授業開き
- ―平成五円玉を作ろう― /大恵 信昭
- 三 五年:算数の授業開き
- ―ノートの使い方を一時に一事で指導する― /三宅 孝明
- 四 五年:理科の授業開き
- ―磁石の授業で、「条件を統一する」技能を意識させる― /大前 暁政
- 五 六年:国語の授業開き
- ―教室が爆笑の渦になる向山実践― /杉本 友徳
- 六 六年:社会の授業開き
- ―地図帳ゲームで楽しく開始する― /大恵 信昭
- 七 六年:算数の授業開き
- ―知的な「」の授業で逆転現象を起こす― /三宅 孝明
- 八 六年:理科の授業開き
- ―ジャガイモを使って討論を仕組む― /大前 暁政
- 九 高学年:図工の授業開き
- ―道具の使い方から指導し、色塗りをていねいにさせる― /熊谷 博樹
- 一〇 高学年:音楽の授業開き
- ―隙を与えずに、次々に活動させて褒める― /甲本 卓司
- 一一 高学年:家庭科の授業開き
- ―裁縫道具と家庭科ノートを準備する― /甲本 卓司
- 一二 高学年:体育の授業開き /三宅 孝明
- 一三 高学年:道徳の授業開き
- ―「いじめのないクラスに」というメッセージを伝える― /小野 隆行
- 一四 高学年:英会話の授業開き
- ―TOSS英会話で、英語は楽しいと思わせる― /杉本 友徳
- X コピーしてスグに使える 黄金の三日間FAX資料集
- 一 五年:四年生の漢字復習テスト /熊谷 博樹
- 二 五年:四年生の算数復習テスト /大前 暁政
- 三 六年:五年生の漢字復習テスト /熊谷 博樹
- 四 六年:五年生の算数復習テスト /大前 暁政
- 五 給食当番表 /熊谷 博樹
- 六 掃除当番表 /熊谷 博樹
- あとがき /甲本 卓司
まえがき
学級崩壊をしたクラスを翌年担任することがある。
そのとき、学級崩壊の原因をつかんでおく必要がある。何が、作用しなかったのか。
その中で、特別支援を要する子どもたちへの対応が悪く、学級崩壊になるケースが少なからずある。
そういった場合には、十二分な用意が必要となる。
前担任にその子の様子を聞く。
指導要録をさかのぼって読んでおく。
そして、関連の本を何冊も読んでおく。
また、専門医の話を聞いておくことも大切だ。
向山洋一氏は、そういった子どもを担任した際に、氏の決意を次のように書いている。
「彼の神経は鋭敏で、ナイーブであった。ごまかしのない教育を持続せねばならなかった。ぼく自身の弱さ、甘さ、嘘、ごまかしを、射続けられるかどうかが鍵であると思った。弱い自分自身を変革するために、自分の弱さをあばき射続ける決意をこめて、学級通信を『スナイパー(射撃手)』と名づけた。」 (『教師修業十年』五六頁)
できないことをできるようにさせるのは、そう簡単なことではない。
その子が、何年も心に抱いている自分のできない部分を変革させるのだ。
「先生が、絶対できるようにしてやる」
と宣言をする。が、子どもの心のどこかには、「うそだ」という小さな小さな影がある。
そこを変えていくには、たった一つの方法しかない。
その子の、できないことをできるようにすることだ。
何でもいい。その子が、腹の底から「できた」と思えた瞬間からその子は、変化をしていく。
そこには、教師の「執念」が必要となる。
向山氏が、自分の弱さをあばき射続ける決意を込めて担任をしている。
我々も、その子を本当に変化させたいと思うならば、勉強をし、万策尽きるまで手を打つことである。
その中でも「黄金の三日間」は、大切である。この三日間で、変化をきたす仕込みを次々に打たねばならない。
その一つが、「褒める」ことである。
褒めて、褒めて、褒める。
これが、出会いの極意だ。
向山氏は、出会いの日、ジーパンをはいて教室に行く。
服装が、同じでも褒めようと決意をして教室に向かう。
服装など、その子を褒めることができるならばなんでもないことだ。
それほど子どもに寄り添った出会いを大切にしているのだ。
本書は、高学年で注意すべき「黄金の三日間」を紹介している。今年もすばらしい学級をつくられることをお祈りする。教師は、すばらしい仕事である。
二〇〇六年八月一日 盛夏
TOSS岡山サークルMAK代表 /甲本 卓司
-
- 明治図書