- はじめに
- 1章 小学校英語へのアプローチ
- 1 小学校英語の「問題点」
- 2 小学校英語の「課題」
- 2章 小学校英語でつけたい「英語力」
- ―音声・語彙・表現・会話はこう教えよう―
- 1 小学校英語活動で求められている「英語力」
- 2 「音声・語彙」の指導―ポイントはここだ
- (1) 「音の違い」を知らせる指導
- 活動例 「英語と日本語の音の違いをとらえよう」
- (2) 「語彙」の指導
- (3) 「日本語で教えること」の良し悪し
- (4) 英語と日本語の併用で指導する場合
- 3 「表現・会話」の指導―ポイントはここだ
- (1) 「表現」の指導
- 活動例 「I like〜を使ってみよう」
- (2) アクティビティの中での会話の練習
- 4 『英語ノート』で紹介される表現
- 3章 小学校英語「達人」授業スキル 準備編
- ―レッスンプランの作成と効果的なアクティビティ―
- 1 レッスンプランの作成
- (1) 「語彙と表現の定着」を目的としたアクティビティ
- (2) 「タスクベース」のアクティビティの考え方
- (3) 英語活動のレッスンプラン―作成のポイント
- 2 「歌・チャンツ」の指導―ポイントはここだ
- (1) 英語指導で歌を使う意味
- (2) 「歌」の指導
- (3) 「チャンツ」の効果
- 3 効果的なアクティビティ「身近なもので子どもを引きつける」
- (1) 「アクティビティ」とは
- (2) 効果的なアクティビティ
- (3) アクティビティの種類
- ゲーム例@ Let’s touch something blue.
- ゲーム例A Fish Race.
- ゲーム例B Guess what you have.
- インタビュー 活動例 表からはじめるインタビュー
- 4 「自己表現とプレゼンテーション」の指導―ポイントはここだ
- 発表につながるアクティビティと発表の具体例
- アクティビティ例 自己紹介をしよう
- 4章 小学校英語「達人」授業スキル 実践編
- ―すぐ使えるレッスンプラン& 活動例―
- 1 英語ノート Book1 Lesson1
- 第1時限 英語活動でのルールの説明〜何で英語やるの?
- 第2時限 英語で挨拶してみよう〜世界の挨拶を真似してみよう
- 第3時限 「世界の国旗とあいさつを知ろう」「ネームカードを作ろう」
- 2 英語ノート Book1 Lesson8 79
- 第1時限 1週間の時間割を完成させよう
- 第2時限 曜日と科目の質問に答えよう
- 第3時限 どの科目が好き? 教えている先生は誰?
- 第4時限 「自分の好きな科目」プレゼンテーション
- 3 英語ノート Book2 Lesson4 86
- 第1時限 スポーツについて話してみよう
- 第2時限 何ができる?
- 第3・4時限 Show and Tell(プレゼンテーション)
- 4 英語ノート Book2 Lesson9 95
- 第1時限 職業について答えよう
- 第2時限 仕事の内容を説明しよう
- 第3・4時限 プレゼンテーション
- 5章 明日から授業で困らない! 「英語授業力」向上セルフトレーニング
- 1 「素晴らしい音」を出すための音声トレーニング
- (1) 「音のトレーニング」―おさえておきたい5つのポイント
- (2) 効果を生む段階的な発声トレーニング
- (3) 「シャドーイング」で更なるレベルアップを
- 2 ティーチャートーク(クラスルームイングリッシュ)入門
- 3 補助教材&教具が英語活動を変える!
- 4 ALTとのティームティーチング
- 6章 学校とはどう違う? 学習塾の英語指導法
- 1 小学校英語活動に対応した指導
- 2 小学生への「文字」と「文法」の指導
- (1) 「文字」の指導―読むために必要な“フォニックスルール”
- (2) 「文法」の指導―英語は“語順が命”
- (3) 「記述方法」の指導―おさえたい4つのポイント
- 3 中学生への「文法」の指導
- (1) 読む力と書く力の育成
- (2) 完全インプットの指導プロセス
- 4 中学生への発展指導
- (1) 教科書の「枠」を超える
- (2) 「読解力」と「語彙力」を高める指導
- おわりに
はじめに
「現在,全世界で約3,000から8,000の言語が話されていると言われている。もしそうではなく,全世界の人々がみな同じ一つの言語を使用しているとしたら,我々の社会や生活はどのようになっていたと思うか。空所を50〜60語の英語で埋める形で答えよ。答えが複数の文になっても構わない。」
If there were only one language in the world,
この問題は2010年度東京大学前期日程の入学試験問題の一部です。受験生には言語が文化を反映し,人々の意識も反映するためのコミュニケーション手段であることを踏まえての解答が望まれると想像されます。注目すべきはこれが現代社会や歴史の問題ではなく,英語の問題であるところです。東京大学の英作文問題は,2008年度からそれまでの翻訳型の英作文問題から変わり,自分の意見を指定された文字数で記述する問題へ移行しているのです。
これは,英語が私たちの意見を発信するためのものであり,相手の意見を受信するコミュニケーションツールであることを前提とした出題です。その力を受験生が保有しているか否かを判別するための尺度として使われていると考えられます。
2002年に文部科学省が公表した『英語が使える日本人構想』のもと,現在の英語指導では,英語を使える日本人を学校教育で育成することが最大の懸案となっています。もはや国際社会での地位を確保するために英語が必要不可欠な道具となっていることは誰しも否定ができません。
自動翻訳機の精度が増すことを期待するよりも,自分の口で自分の意志を伝え,自分の耳で相手の話を聞き取ることが,何よりもヒューマンコミュニケーションには大切でしょう。
また,国際化の動きは,大人の世界だけの話ではありません。小学生でも中学生でも,音楽やスポーツなどの活動を通して世界の舞台で活躍できる環境は整っています。もはや私たちは世界を一つの環境として考えて活動をしていく状況にあります。
そのような環境で,英語が使えない,理解できない,というだけの理由で苦しんだり,自分の夢をあきらめたりすることがないようにするには,英語という言語を恐れない状況に身をおくことが大切です。
私は,浪人生の冬に生まれて初めて外国人(北欧3国の新聞記者)と話をしなければいけない局面に立たされました。そのときにハローという挨拶を口から発するまでに,どれほどの緊張と時間をかけたことでしょうか。ハローが正しいのか,ヘローが正しいのかと悩みながら,金髪で青い瞳で,香水まで身にまとった男性達へ挨拶をするたけで,真冬の札幌で汗だくになった記憶があります。それが私の英語への第一歩(学校でそれは叶えられていなかったわけです)だったのです。
それから数十年,もっと早くからスタートをしていれば,臆することなく,外国の人々と笑顔で挨拶を交わし,彼らが日常のスピードで話す英語にも耳が慣れていたのではと想像されます。
私の経験は,遅ればせであっても私を成長させてくれましたが,これからの人々にはもっと良い環境を早い時期に提供できればと思っていました。
また,英語は技能教育です。自転車に乗るように,楽器を演奏するように,一定の基本を体で覚えることができれば一生使うことができる自分の資産です。体が柔らかく敏捷なうちに基本を体得しておくことはとっても重要なことです。もちろんある程度の努力で楽しく乗り越えられる学習方法があれば,これに越したことはありません。
この本は,英語の学習環境を提供する立場として,児童が知的好奇心をくすぐらされながら,意欲を持って英語学習に臨めるような資源の提供という目的で書いたものです。ぜひ,参考資料のように必要なときに参照してお使いいただければ幸いです。
/浅井 正美
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- 明治図書
- 活動やゲーム例が、手順だけでなく教師と子どもの具体的なやりとりを入れた形で解説されているので、とても参考になりました。2011/3/11マジックe