- まえがき
- 序章 作文指導の基本的な構え
- 1 書くことで思考のエンジンがスタート
- 2 「まとめ」は「なか」の共通項
- 3 三つの型&四段落構成の力
- 一章 説明的作文の書き方
- 1 説明的作文の基本型
- 2 モデルを示す
- 3 「はじめ」は同じでもいい
- 4 「なか」は二つ書く
- 5 「なか」の一文目は短く
- 6 「なか」に書くモノ
- 7 一つのことでも「なか」を二つにする
- 8 「まとめ」はやはり必要である
- 9 「まとめ」は「なか」を読んで「今思ったこと」を書く
- 10 タイトルはまとめの言葉を使って
- 11 一年生の最初の作文も観点型で
- 12 時系列型も四段落で筆記
- 13 できるようになって、うれしいこと
- 14 四段落説明的作文の活用
- 15 読書感想文も四段落で
- 16 説明的作文から論説文へと
- 二章 物語風作文の書き方
- 1 物語風作文とは
- 2 物語風作文の書き方
- 3 日常のささいなことを物語風作文に
- 4 行事作文は物語風に
- 5 物語風作文で作文好きな子に
- 6 思い出作文は物語風作文で
- 7 物語風作文の表現技法の意識化で
- 8 物語風作文の筆記で育つ文学の読解力
- 三章 小論文風作文の書き方
- 1 小論文風作文とは
- 2 小論文風作文の書き方
- 3 小論文風作文の活用
- 四章 作文指導の実際
- 1 作文指導十六の基本ステップ
- 2 「私の宝物」を説明的に書かせる
- 3 「忘れられないあのとき」を物語風に書かせる
- 4 「心に残る言葉」は低学年でも書ける
- 5 指導の場づくり
- 6 赤ペンの入れ方・作文の評価
- 7 おすすめ作文テーマ一覧
- 付録
- 1 スラスラ作文シート
- 2 特製二〇〇字原稿用紙Aタイプ
- 3 特製三〇〇字原稿用紙Aタイプ
- 4 特製四〇〇字原稿用紙Aタイプ
- 5 特製四〇〇字原稿用紙Bタイプ
- 6 特製作文用紙二五行罫線タイプ
- あとがき
まえがき
本書で紹介した作文は、全部で五十八点。二〇〇六年から二〇一六年の十年間に生まれた作文である。私には、どれも宝物である。子どもが知覚したものや行動を通して、その子の心情が鮮やかに浮かび上がる作品がある。作文を書く中で、まさに思考が生まれたその瞬間が分かる作品がある。鋭い論の展開にうなってしまう作品もある。それらの作品を読むたびに、その当時の子どもの顔が浮かんでくる。作品のおかげで、何度も、その子達に出会うことができる。教師冥利につきると言える。これらの作文を、ぜひ、モデル作文として、子ども達に紹介してやってほしい。
付録につけた特製原稿用紙も、ぜひ、参考にしてほしい。立命館小学校で担任をしていたときは、特製Aタイプ、つまり両面印刷の用紙を教室に常に置いておいた。子ども達は、日記用に、この用紙を好きなだけ持ち帰っていた。私の指示は、用紙の型の中に、暗黙のうちに、用意されていた。そして、子どもの文章を見ながら、少しずつ改訂していった。その最終形を、本書で紹介している。
作文モデルと、作文の型や書き方が分かる特製作文用紙は、間違いなく力を発揮する。ただし、それでも、書けない子が出るおそれがある。「作文は苦手」と決め込んでいる子もいる。そんな子達のために、作成したのが、四章で紹介した「ヒント・カード」である。ここまでするかというほど、書き方を提示している。「書けない子ゼロ」をめざしたら、こんなカードが生まれた。おかげさまで、これを見た先生方は、たいそう喜ばれる。こんなものが欲しかったのだと。
本書では、作文の三つの型と、子どもの作文を紹介する。型も作文のモデルもすぐに活用できるようにまとめていく。クラス全員が必ず書けるように願って作成した「作文ヒント・カード」も紹介したい。ひとことで言えば「一生もの」の作文指導の型と技の公開である。
なお、実際の指導の展開方法を早くまとめて知りたい方は、四章の「作文指導の実際」からお読みいただいた方がよいかもしれない。
一冊の本をまとめる作業は、大概は過去の実践をまとめることになるので、明日の授業で精一杯の私には、いつもつらい仕事になりがちである。が、今回は、不思議に、今、リアルタイムで指導していることのすべてを、そのまま一冊に盛り込んだ感がある。
本書が、現場の作文指導に少しでもお役に立つことができれば、望外の喜びである。
二〇一六年 七月 /岩下 修
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