- まえがき
- 1章 環境教育のすすめ・本書活用の手引
- 2章 中学校教育環境ファックス教材集
- §1 身近な環境を認識するファックス教材
- 1 見て、聞いて身の回りの環境を調べよう
- 2 学区域内で気に入っているところ(場所)
- 3 地域の環境をチェックしよう
- 4 4つのコーナー
- 5 現在の地域がもっとよくなる方法を考えよう
- 6 水に流していいのかな
- §2 身近な環境・エネルギーを科学するファックス資料
- 1 流しに捨てた水のゆくえ
- 2 土ってなんだ?!
- 3 よい土を作って、大きな花を咲かせよう
- 4 落ち葉とダンゴムシ
- 5 自然界のつながり――君の吸った酸素はどこから――
- 6 自販機ウォッチング
- 7 捨てたもの・いらなくなったものの最後
- 8 日本人は生活の中でどれくらいの水を使うのだろうか
- §3 環境問題を認識するファックス教材
- 1 江戸時代のごみ・現代のごみ・近未来のごみ
- 2 人間がつくり出した物質
- 3 プラスチック容器は必要か
- 4 環境税は必要か
- 5 今、可能な徹底した省エネ生活VS近未来の究極の省エネ生活
- 6 夢の発電――こんな発電あったらいいな――
- 7 環境と仕事
- 8 一週間の新聞記事から環境問題を見つけよう
- 9 学校の過去と未来――木のある時・ない時――
- 10 森林に囲まれた村をどうするか
- §4 省エネ・省資源・リサイクルのファックス教材
- 1 教室の中のリサイクル
- 2 学校でできる省エネ
- 3 家電製品ワット数ベスト10
- 4 教室や身近にある再生できる紙、できない紙
- 5 どんな省エネ・リサイクルのアイデア商品に投資するか
- 6 ジャガバターを作って食べよう
- §5 地球環境問題を考えるファックス教材
- 1 環境問題認識――あなたが関心を持っているのは――
- 2 宇宙人のみなさまへ“○○地球へご招待”
- 3 人口爆発がエネルギー・環境に及ぼす影響
- 4 熱帯林を有効に利用する方法
- 5 身近な石油節減・20%減らすプラン
- 6 環境憲章――地球市民として――
- 7 未来のエネルギーを考える
- §6 その他の環境教育のファックス資料
- 1 環境のために国際協力している組織を知ろう
- 2 私の環境誓約書・環境保護への表彰状
まえがき
国際理解教育,環境教育,情報教育,福祉・ボランティア教育,防災教育,エイズ教育等々,今日では〇〇教育なるものが,今日的要請ということで学校教育に押し寄せている。しかし,学校においては,「趣旨はわかるが…,必要性はわかるが…云々」といったかたちで受け止められやすく,そうした要請への理解は示すものの,一部の学校を除いて,なかなか本格的に実践に取り組むまでには至っていない。それには様々な原因が考えられよう。
例えば,これまでの経験から,そうした〇〇教育は,喉元過ぎれば…の一過性の教育的課題になりやすいという面もあろう。また,横断的,総合的な広がりをもっていることがかえって災いし,どの教科も,他教科に期待したり押し付け合ったりして,消極的にしか取り組まないということもあろう。しかし,中学校において〇〇教育への真剣な取り組みがあまり見られない最大の原因は,何といっても高校入試にあるといえよう。受験指導でスケジュールがいっぱいの上に〇〇教育の内容はほとんど入試問題の出題対象にならないからである。
しかし,一方で,このことは今日の学校教育が社会の変化に的確に対応できていないことを意味している。なぜならば,〇〇教育は時代を反映する内容が多く,それが各教科等で十分指導されていないから要請として出てきているのである。もし各教科等が“不易と流行”を考慮して的確に対応していたら,そうした要請など出てこないと考えるからである。今日の学校教育は,受験指導の名の下に旧態依然とした知識偏重の教育に陥っている結果,現実の社会とのずれが大きく広がってきているといえよう。〇〇教育が学校に押し寄せているのはその証しである。
眼前にいる生徒は21世紀の社会に生きることになる。そのことを考慮すると,“生きる力”をキーワードにした学校教育を推進する必要がある。当面の課題として受験指導も必要だが,21世紀に生きる生徒にとってはそれだけが重要な課題のわけではない。それだけに,〇〇教育のかたちで要請されていることを直視してこれまでの学校教育を見直し,授業改善を図ることが必要である。そうした点を考慮すると,“総合的な学習の時間”の設置の意味深さが理解できる。
本書は,以上のような点を考慮し,〇〇教育を各教科等で具体化することを支援する観点から,また,“総合的な学習の時間”を具体化する手掛かりを提供する観点から,英知を結集して編集したものである。本書には,それぞれのテーマに応じて,生徒が主役になり,主体的に取り組むことができる作業的,体験的な学習を促す教材が満載されている。本書を手掛かりに,各教科等で,また,“総合的な学習の時間”の具体化の検討で,〇〇教育を推進していっていただけたら幸いである。
末筆ながら,ご多忙の中をご執筆いただいた先生方,及び本書の出版にご尽力をいただいた明治図書の安藤征宏氏に,深甚の謝意を申し上げます。
平成10年5月 編者 /澁澤 文隆
-
- 明治図書