- まえがき
- 1章 福祉・ボランティアのすすめ
- 2章 中学校福祉・ボランティアファックス教材集
- §1 福祉・ボランティアの基礎・基本ファックス教材
- 1 自分史をふりかえる
- 2 仲間探し
- 3 必要なもの,人権
- 4 困っている人を助けよう
- 5 クリップ君と友達に
- 6 他己紹介
- 7 名刺づくり
- 8 いろいろな花を咲かせよう
- 9 自分の人間関係について考える
- 10 役割について考える
- 11 未来の図を描こう
- §2 福祉・ボランティアの入門ファックス教材
- 1 ボランティア入門
- 2 ボランティアはだれのために
- 3 ボランティアにはどんな活動があるのだろう
- 4 ボランティア活動の情報を集めよう
- 5 これも立派なボランティア
- 6 こんなにある学校のボランティア
- 7 ボランティア・マップをつくろう
- 8 人にやさしい町をめざして
- 9 お年寄りの知恵と知識に学ぼう
- §3 福祉・ボランティアの実践ファックス教材
- 1 活動記録をつけよう
- 2 今回の活動を振り返ってみよう
- 3 ボランティアのための事前学習
- 4 まちで障害のある人に出会ったら
- 5 登下校時のボランティア
- 6 土・日のボランティア
- 7 イベントのボランティア
- 8 呼びかけのポスター・チラシをつくろう
- 9 高齢社会に向けて考える
- 10 お年寄りの施設と交流しよう
- 11 高齢者介護の心得を学ぶ
- 12 車イス介助の仕方を身につけよう
- 13 車イスにやさしい町とやさしくない町
- 14 手話の基礎を学ぶ
- 15 点字読み・点字書き
- 16 視覚障害者のバリアフリーグッズ
- 17 視覚障害者にとっての町の中
- 18 シルバーシートについて考える
- 19 シミュレーション・災害援助
- 20 国際社会に生きる私たちができること
まえがき
国際理解教育,環境教育,情報教育,福祉・ボランティア教育,防災教育,エイズ教育等々,今日では◯◯教育なるものが,今日的要請ということで学校教育に押し寄せている。しかし,学校においては,「趣旨はわかるが…,必要性はわかるが…云々」といったかたちで受け止められやすく,そうした要請への理解は示すものの,一部の学校を除いて,なかなか本格的に実践に取り組むまでには至っていない。それには様々な原因が考えられよう。
例えば,これまでの経験から,そうした◯◯教育は,喉元過ぎれば…の一過性の教育的課題になりやすいという面もあろう。また,横断的,総合的な広がりをもっていることがかえって災いし,どの教科も,他教科に期待したり押し付け合ったりして,消極的にしか取り組まないということもあろう。しかし,中学校において◯◯教育への真剣な取り組みがあまりみられない最大の原因は,何といっても高校入試にあるといえよう。受験指導でスケジュールがいっぱいの上に◯◯教育の内容はほとんど入試問題の出題対象にならないからである。
しかし,一方で,このことは今日の学校教育が社会の変化に的確に対応できていないことを意味している。なぜならば,◯◯教育は時代を反映する内容が多く,それが各教科等で十分指導されていないから要請として出てきているのである。もし各教科等が“不易と流行”を考慮して的確に対応していたら,そうした要請など出てこないと考えられるからである。今日の学校教育は,受験指導の名の下に旧態依然とした知識偏重の教育に陥っている結果,現実の社会とのずれが大きく広がってきているといえよう。◯◯教育が学校に押し寄せているのはその証しである。
眼前にいる生徒は21世紀の社会に生きることになる。そのことを考慮すると,“生きる力”をキーワードにした学校教育を推進する必要がある。当面の課題として受験指導も必要だが,21世紀に生きる生徒にとってはそれだけが重要な課題のわけではない。それだけに,◯◯教育のかたちで要請されていることを直視してこれまでの学校教育を見直し,授業改善を図ることが必要である。そうした点を考慮すると,“総合的な学習の時間”の設置の意味深さが理解できる。
本書は,以上のような点を考慮し,◯◯教育を各教科等で具体化することを支援する観点から,また,“総合的な学習の時間”を具体化する手掛かりを提供する観点から,英知を結集して編集したものである。本書には,それぞれのテーマに応じて,生徒が主役になり,主体的に取り組むことができる作業的,体験的な学習を促す教材が満載されている。本書を手掛かりに,各教科等で,また,“総合的な学習の時間”の具体化の検討で,◯◯教育を推進していっていただけたら幸いである。
末筆ながら,ご多忙の中をご執筆いただいた先生方,及び本書の出版にご尽力をいただいた明治図書の安藤征宏氏に,深甚の謝意を申し上げます。
平成10年5月 編者 /澁澤 文隆
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