- はじめに
- T “学ぶこと・教えること”の統合
- ――私たちが求めたもの――
- U 私たちの学校改革
- ――学校体制・教育課程・授業・生活支援の改革――
- (1) 学校づくりをこう進める
- ――「学ぶ広場・生きる広場」としての学校をめざして――
- 1 学校評議員制度の実施へ向けて
- 2 子ども・保護者とともにつくるカリキュラム
- 3 家庭・地域から学ぶためのシステムづくり
- 4 メディアを活用した学校づくり
- 5 幼稚園・中学校との共同研究
- ◆「記憶の中の原っぱ」
- (2) 教育課程づくりをこう進める
- ――「学びの履歴」としての教育課程をめざして――
- 1 「教科的総合学習」と「テーマ探究的総合学習」
- 2 価値の内面化を促すための道徳教育
- 3 個と集団がともに育つ特別活動
- 4 動的で創造的な年間カリキュラムづくり
- 5 通信簿の改善――成績通知表から学習記録簿へ――
- ◆ 「ちょうどいい温度」
- (3) 学習づくりをこう進める
- ――〈かかわり合う力〉を育てる単元・授業の創造をめざして――
- 事例ア 1年「6ねんせいとぶんつうしよう」(国語・交流)
- 事例イ 4年「くらしとごみについて研究しよう」## (環境・社会・国語)
- 事例ウ 4年「角の大きさを調べよう」(算数)
- 事例エ 4年「電池で動くおもちゃをつくろう」(理科)
- 事例オ 2年「生きものランドをつくろう」(生活・環境)
- 事例カ 5年「冬を表そう〜冬CDをつくろう〜」## (音楽・国語・図画工作・情報活用)
- 事例キ 1年「いいものみっけ」(図画工作・国語)
- 事例ク 5年「家族の一員としてV」(家庭)
- 事例ケ 1年「にんじゃあそびをしよう」(体育)
- 事例コ 5年「おいしいお米を作ろうTU〜キャンプでおいしいご飯を食べよう〜」(社会・環境)
- 事例サ 3・4年「外国の人と交流しよう」(交流)
- 事例シ 6年「ともに生きよう」(交流)
- 事例ス 6年「私たちはどう生きるか」(自分の生き方・国語)
- 事例セ 5年 「キャンプへ行こう## (自然の学校)」 ## (集団活動・国語・家庭)
- 事例ソ 6年「子どものホームページをつくろう」(情報活用)
- ◆「きらきら生きる」
- (4) 生活支援づくりをこう進める
- ――子どもの心を見つめ育てる生活支援をめざして――
- 1 異学年の子どもと出会いふれあうファミリー活動
- 2 子どもの心を共同で探る「コミュニケーション・フォーラム」
- 3 子ども自身がつくる生活目標
- 4 子どもが見せる生活世界Α――朝の校門――
- 5 子どもが見せる生活世界Β――保健室――
- ◆「ファミリー清掃 いつの間にか…」
- V 私たちの提言
- ――学ぶこと・教えること,そして,生きること――
- 【研究指導委員より】
- 【研究を通して,今思うこと(研究同人)】
- 【研究同人名簿】
はじめに
現代は,学校の受難の時代である。21世紀を目前にして,関係方面で精力的に教育改革・学校改革が進められている。しかしその一方で,学校への不信感は依然として根深い。たとえば,不登校,学級崩壊,いじめなどの青少年をめぐる深刻な問題が発生しているが,こうした現象は,いまの学校のあり方に対する子どもからの異議申し立てのあらわれであろう。
なぜいま,これほどに学校不信が根深いのだろうか。もちろん,その原因は複雑多岐にわたっている。だが,いまの学校が本当の「学び」の場になっていないことが大きな原因であることはまちがいないだろう。人間は学ぶ存在である。「生きること」は,とりもなおさず「学ぶこと」である。そして,もし学ぶことが人間の生まれながらの欲求であるとすれば,学ぶことは,人間にとって大きな「喜び」であるはずである。だが,いまの学校は,はたして,好奇心が最も旺盛な子どもの時代に,学ぶ喜びと楽しみを本当に味わわせているだろうか。
この疑問こそ,私たちの研究と実践の原点である。「子どもたちに人間本来の学びを保障し,学ぶ喜びを身をもって経験させること」──これが,私たちの願いであり,私たちがめざしていることである。いま,いわゆる第三の教育改革の一環として学校改革が進められているが,どんなに制度を変えても,子どもたちの学ぶ意欲に応え,学ぶ喜びを経験させる場とならなければ,本当の学校改革にはならないであろう。
本書『学ぶこと・教えることの統合をめざして』は,平成5年度以来の2期8年にわたる,「自己をひらき,ともに生きる子どもの育成」をテーマとする理論・実践研究の成果をまとめたものである。この本には,子どもたちに本物の学びを保障し,学校を真の「学びの場」として改革しようという私たちの熱い願いと意気込みが込められている。不十分な点,未熟な点も少なくないが,私たちはこれからも,よりよい学校を創造するため努力していく決意である。忌憚のないご批判とご助言をいただければ幸いです。
最後になりましたが,本書の出版にあたり,明治図書出版の樋口雅子氏にご高配をいただきました。厚くお礼申し上げます。
愛媛大学教育学部附属小学校 校長 /山口 充
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- 明治図書