- はじめに
- 第1章 授業で学級経営,はじめよう!
- 01 授業 × 学級経営
- 02 授業 de 学級経営
- 03 授業 de 学級経営のメリット
- 04 授業 de 学級経営の成果
- 05 学校生活にも生きる授業
- 第2章 授業で学級経営を行うための基本的な考え方
- 01 学校生活のほとんどが授業!
- 02 授業は教師と子どもがつながる時間になる
- 03 授業は子ども同士がつながる時間になる
- 04 授業は目標に向かってまとまる時間になる
- 05 授業は子ども同士の助け合う文化をつくる
- 06 授業ルールが学校生活を豊かにする
- 07 授業でルールやきまりが身につく
- 08 「授業が楽しい!」→「学校が楽しい!」につながる
- 第3章 授業で学級経営を行うための具体的な方法
- 学ぶ大切さを子どもと共有する
- 01 学ぶよさを語る
- 02 学校で学ぶよさを伝える
- 03 誰のための学びかを共有する
- 04 教師自身の体験を話す
- 05 教師と子どもで授業をつくる
- 子どもに授業の受け方を教える
- 01 授業の受け方を教える
- 02 子どもの気持ちを前向きにする
- 03 使う言葉を前向きにする
- 04 時間を守る
- 05 話の聞き方を教える
- 06 発表の仕方を教える
- 07 勝手に発言しないきまりをつくる
- 08 指名されたら返事をできるようにする
- 09 授業中,静かにする習慣をつける
- 10 身の回りの整理整頓をする
- 学級経営につながる授業テクニックを使う
- 01 教師が授業を楽しがる
- 02 【指示・観察・評価】を繰り返す
- 03 伝わる【指示】の出し方をする
- 04 子どもの行動を【観察】する
- 05 【評価】で子どもを成長させる
- 06 子どもに言ってもらう
- 07 ポイントを復唱する
- 08 子どもの考えを引き出す発問をする
- 09 意図的指名を工夫する
- 10 挙手指名を充実させる
- 11 発言を学級全体に広げる
- 第4章 授業で人間関係を築く具体的な方法
- 教師と子どもの人間関係を築く
- 01 子どもの名前は敬称をつけて呼ぶ
- 02 丁寧な言葉と親しみやすい言葉を使う
- 03 子どもの話を聞く
- 04 子どもの意見を認める
- 05 子どもの間違いをフォローする
- 06 机間指導で子どもをほめる
- 07 子どもを発表に挑戦させる
- 08 子どもの発表を労う
- 09 子どもの発言を板書する
- 子ども同士の人間関係を築く
- 01 授業中に使う言葉を子どもに教える
- 02 みんなで拍手をする
- 03 「お願いします」「ありがとうございました」と言い合う
- 04 ペア対話をさまざまな組み合わせで行う
- 05 グループ学習の場を工夫する
- 06 グループ学習で気持ちを寄り添わせる
- 07 発表では話し手より聞き手を育てる
- 08 伝わりやすい発表の仕方を教える
- 09 活動後に友達のよかったところを伝え合う
- 10 振り返りを充実させる
- 第5章 教科の授業での具体例
- 国語
- 01 音読指導で声を出す
- 02 型に沿って考えを書く
- 算数
- 01 答え合わせで間違い・失敗に向き合う
- 02 ミニ先生で人の役に立つ経験をする
- 理科
- 01 予想で間違える体験をする
- 02 役割分担・協力をして実験を行う
- 社会
- 01 インプットとアウトプットを小刻みに行う
- 02 チームで協力して資料をまとめる
- 道徳
- 01 読み物資料から自分の実生活を振り返る
- 02 友達の考えを聞き,意見を交流する
はじめに
「授業と学級づくりどちらが大切だと思いますか?」
このような質問をされた時,みなさんはなんと答えるでしょうか。私は,少しずるいかもしれませんが,「両方」と答えます。
授業も学級づくりも大切だとわかっていても,毎日6時間全ての授業を充実させることも,学級づくりにたっぷり時間を割くことも,現実にはなかなか難しいですよね。忙しい日々の中で,「授業も学級づくりも中途半端になってしまっているかも」と感じることもあるかもしれません。
私が授業も学級づくりもなかなか成果のあげられなかった若手の頃,あるベテランの先生の授業を見る機会がありました。その授業が優れた学習指導であったことはもちろん,授業を通して教師も子どもも含め,学級が1つになっていく様子が伝わってきました。
先生は笑顔で子どもたちの前に立ち,興味を引くように素材を提示し,ユーモアあふれる話し方で子どもと教師で一緒にめあてをつくりました。子どもが自分で課題を解決する場面では,机間指導を通して,一人一人のよいところを見つけ,たくさんほめていました。グループ学習では,グループで仲良く力を合わせて活動をできるように,話し合いの仕方のルールがしっかりと決められていました。
その時,私は,ある大切なことに気づかされました。それは,
「授業をしながら学級づくりをすることができるんだ!」
ということです。
本書では,私がこれまで学び,試行錯誤を重ねてきた「学級づくりにつながる授業の方法」を,図解を用いてわかりやすくまとめています。
学級づくりをしながら授業をすることで,今までの授業でより成果をあげられるようになることはもちろん,日常の学級生活でも子どもたちの落ち着きや協調性が高まり,学級として成長することができます。
例えば,授業中に身につけた「人の話をしっかり聞く力」や「グループで意見を交換する力」は,休み時間の遊びや係活動,委員会の仕事など,様々な場面で発揮されます。それによって,学級全体の雰囲気がより明るく,居心地のよいものへと変わっていきます。
さらに,授業を通じて子どもたちが「できるようになった」「認められた」という経験を積み重ねることで,自己肯定感が高まり,前向きに取り組む姿勢が育まれます。こうした変化が学級の一体感を生み,結果として学級経営がスムーズに進むようになるのです。
本書では,そうした「授業と学級づくりの好循環」をつくるための具体的な手法やポイントを,具体例を交えながら紹介していきます。
本書にまとめられている方法が,少しでもみなさんのお役に立つことができれば幸いです。
それでは,ともに学んでいきましょう。
著者 /橋 朋彦
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- 明治図書