- はじめに
- 序章 1・2年生とともに道徳授業をつくる
- はじめの一歩の道徳授業
- 1・2年生の特性をつかむ
- @ 正直
- A 機を見て敏
- B 具体から本質を見抜く鋭さ
- C 調子に乗りやすい
- 授業を楽しくする
- @「確かに」が多い
- A 手応えがある
- B 多様な考えを受け入れてもらえる安心感がある
- 子どもたちに委ねる
- @ 手を尽くして待つ
- A「やればできる。無理と思ったら何もできない」
- Column
- 1章 10のポイントを意識した1・2年生の道徳授業
- ポイント1 1・2年生の「特性」を見極める
- ポイント2 盛り上げる
- ポイント3 教師も楽しむ
- ポイント4 発問を工夫する
- ポイント5 達成感を味わわせる
- ポイント6 板書に参加させる
- ポイント7 子ども同士をからませる
- ポイント8 外部評価をする
- ポイント9 家庭と連携する
- ポイント10 低学年の行動力を生かす
- Column
- 2章 1・2年生を道徳好きにする3つのこと
- 1年生を道徳好きにする3つのこと
- @ 楽しさを演出する
- A「気がついたら考えていた」という展開にする
- B 調子に乗らせる
- 2年生を道徳好きにする3つのこと
- @ 1年生での学びを実感させる
- A お兄さん・お姉さんを実感させる
- B してもらう側からする側へ 立場を変えて考えさせる
- Column
- 3章 1・2年生の授業と子どもの反応
- 1年生・1学期
- 1年生・2学期
- 1年生・3学期
- 2年生・1学期
- 2年生・2学期
- 2年生・3学期
- Column
- 4章 押さえておきたい授業の技
- 技1 数値化
- 技2 比較・選別
- 技3 板書の視覚化
- @ 板書の視覚化・構造化
- A 黒板の駆使
- B 板書に子どもたちが参加する
- 技4 道徳ノートの活用
- @ 道徳ノートを宝物に
- A 思考ツールの活用
- Column
- 5章 考え抜く発問のポイント
- 本質的な発問
- 発問と問い返し
- みえないものをみせる発問
- 「察」の発問
- 知情意の流れを意識した発問
- 発問の順序性
- @「あなたはどう考えるか」を聞いてくれる発問
- A 散々考えた末,たどり着く達成感がある発問
- B 自分(たち)で見つけたという喜びがある発問
- C 人間性を土台に据えた発問
- D 授業前には考えもしなかった気づきを得ることができる発問
- E「それいいなあ」「そうしよう」を導き出すことができる発問
- F 心が温かくなる発問
- Column
- 6章 道徳教育と学級づくり
- カトちゃんの学級づくり
- エピソード1 劇づくりは学級づくり―2年生―
- @ ゴールを共有する
- A 子どもたちに任せる
- B 教師は手を抜かず,「暗躍」する
- C 子どもたちを「いい気」にさせる(その気にさせる)
- D 子どもたちを活動の主体者にさせる
- エピソード2 道徳×国語・授業コラボ
- 礼儀の授業 2年生 「小さなできごと」
- @ 教材について
- A 内容項目と授業構想
- B 本時の発問
- C 授業の実際
- D 板書構想
- E 子どもたちの道徳ノート
- Column
- 終章 未来へつなげる
- 低学年にとっての学び
- 3年生(中学年)への橋渡し
- @ 日常生活への発展
- A「学級力」
- おわりに
はじめに
道徳授業に限らないかもしれませんが,子どもたちに何かできないことがあると,自ら言い聞かせるように,「低学年だから……」というような言い方をすることがないでしょうか。
でも,「低学年だからできない」「まだ無理」と考えるか,「低学年だって」「低学年だからこそ」と考えるかで,結果は大きく変わってくるような気がします。
私の勤務する筑波大学附属小学校は,幸いなことに1年生から6年生までの担任を持ち上がりで行うチャンスがあります。途中でクラス替えはあるものの,基本3年間は同じ学級の担任をするのです。ですから,これまでも1年生で受け持った子どもたちを,クラス替えがなく3年生まで持ち上がることができました。もちろん,毎年担任を替える学校があることも承知しておりますし,どちらにも一長一短があることでしょう。どちらのシステムがよいかということは言えません。けれど,子どもたちの成長を同じクラスで3年間見続けることができるからこそ,見えてくるものがあることも確かでしょう。
その3年間の中でも,特に初めの1,2年で何を大事にするかということは,その後の人生の中でも大きなウエイトを占めるような気がします。
本書は,私の経験をもとに,そのような「初めての2年間」つまり低学年時代を中心にまとめました。そして,その2年間があったからこその,次の1年間,つまり3年生での飛躍をも含めてかかせていただきました。
道徳の学習を中心にかきましたが,他教科・他領域における道徳教育と言われるように,すべての教育活動の中において土台となりうるものです。さらには,学級づくりや家庭生活,日常生活,ひいては小学校卒業後の生き方にまで及ぶものだと思っています。
本書を通して,この貴重な2年間をどのように過ごすことが,子どもたちにとって宝物の時間とすることができるのか,読者の皆様が目の前の子どもたちを思い浮かべながら想像し,ご自身なりの教師像を創造していただけることを願っております。
(写真省略)
授業に取り入れていきたいです。