- はじめに
- 第一章 理論編「言葉による見方・考え方」を鍛える物語の授業づくり
- 第1節 物語の授業で「言葉による見方・考え方」をどのように鍛えるか
- 第2節 系統性を意識した物語の読みー九つの観点
- 1 人物(登場人物)を読む
- 2 場と時を読む
- 3 場面分け
- 4 構造を読む
- 5 形象を読む
- 6 表現技法を読むー比喩、擬人法、倒置法、反復法(繰り返し)、象徴
- 7 語り手(話者)と視点
- コラム1 言葉の意味を楽しく覚える
- 8 主題(テーマ)・あらすじを読む
- コラム2 音読を効果的に生かす
- 9 吟味・評価
- コラム3 物語で意見文を書く―「読み」から「書き」への展開
- 第二章 実践編「言葉による見方・考え方」を鍛える物語の教材研究と授業づくり
- 第1節 小学校 低学年
- 1 おおきなかぶ
- 2 たぬきの糸車
- 3 きつねのおきゃくさま
- 4 わたしはおねえさん
- 5 かさこじぞう
- 第2節 小学校 中学年
- 1 サーカスのライオン
- 2 モチモチの木
- 3 白いぼうし
- 4 一つの花
- 5 ごんぎつね
- 第3節 小学校 高学年
- 1 注文の多い料理店
- 2 大造じいさんとガン
- 3 風切るつばさ
- 4 やまなし
- 5 海の命
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
説明的文章は論理的に読むが、物語はそうではないと思われているかもしれない。しかし、それは違う。物語の読みも論理的なのだ。そして、論理的に読むことを重ねることで、感性も豊かに育まれていく。本書は、物語の読み方の基礎・基本となることを九つの観点からわかりやすく述べている。小学1年から6年にかけて九つの観点を系統的に教え、それを子どもたち自身が使えるようにしていく。そのことが新学習指導要領の「言葉による見方・考え方」を働かせることにつながる。
物語の授業が系統性を持つことで、子どもたちは何を学んでいるかに意識的になり、論理的な読み方が身についていく。作品ごとに違う読み方をしていたのでは、子どもたちは常に教師の指示待ちとなり、読みの力はついていかない。作品が多様なのだから読み方も多様で、という考え方は一見正論のように見える。しかし、それでは子どもたちの中に読む力が蓄積されてはいかない。大事なことは、子どもたちが物語を成り立たせている基本的な要素に自覚的になることである。
本書は二章から構成されている。第一章は、理論編であり、「言葉による見方・考え方」を鍛えるための読み方指導について、九つの観点を説明する。具体的な作品に即して、低・中・高学年の系統性をふまえて述べている。第二章は、実践編である。小学1年から6年までの十五作品(平成27年度版教科書教材)について、作品の成り立ち・語句・人物の読み・場面分け・構造よみ・形象よみ・あらすじ・主題・吟味よみ、そして発問アイデアを示している。「深い学び」を生み出すための、丁寧で深い教材研究を示している。
「言葉による見方・考え方」を子どもたちが身につけていくためには、子どもたちが物語の学習としてのつながりが意識できるように指導していくことが大切である。本書は、その道筋を示したものである。
二〇一九年三月 /加藤 郁夫
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- 明治図書
- 素晴らしい書籍で分かりやすいです。2020/10/330代・小学校管理職