- まえがき
- T 一年生・自立への道すじ
- 一 学校へ行きたくない
- 〜まずは学校へ足を向かせる〜
- 1 雷がこわい
- 2 お母さん、そばにいて
- 二 学校に行きたがらないときどうする?
- 1 登校してはじめて身につく
- 2 迎えに行く
- 3 送っていく
- 4 あそぶ
- 5 はなす
- 6 母親とはなす
- 三 変えられてきた子どもたち
- 1 親子関係
- (1) 「優しい」と「甘やかし」/ (2) 「自由・自主性」と「わがまま」
- 2 母子分離不安
- 3 家族とのかかわり
- 4 昔の子ども、今の子ども
- (1) 体/ (2) 心/ (3) 頭
- 5 テレビゲームと人間関係
- 四 友だちづくりを上手に
- 1 自分を表現する
- 2 友だちを知る
- 3 自分を語り、友だちを聞く
- 4 学校は集団の場・小さな社会
- 5 友だちづくりの上手な子に
- 五 学習・集団への仲間入り
- 1 受身から自発へ
- 2 自分で決める
- 3 へたでいい へたがいいからスタート
- 4 「ぼくはできない」から「ぼくもできるよ」へ
- U 授業の中で学びとる
- 〜身につけさせたい学習技能〜
- 一 身につけさせたい学習技能
- 1 国語科に関して
- 2 算数科に関して
- 3 感覚に関して
- 二 言語能力
- 1 聞 く
- (1) 読みきかせ/ (2) 友だちの話・教師の話/ (3) 担任以外の話・音/ (4) 聞くは、いうことをきくこと
- 2 話 す
- (1) 朝のスピーチ/ (2) 「中休みのこと」スピーチ/ (3) 発表・話し合い、意見交換
- 3 読 む
- (1) ひらがなを読む/ (2) 音読を毎日する/ (3) 学校図書館へ通う/ (4) 10分間読書/ (5) 音読のしかた あれこれ
- 4 書 く
- (1) 文字を書く/ (2) ことばを書く/ (3) 文を書く・文章を書く
- 三 数的思考力
- 1 数字を書く
- 2 数のしくみ
- 3 計算力
- (1) たしざん/ (2) ひきざん/ (3) 10は、いくつといくつ/ (4) 数の合成・分解/ (5) 百マス計算/ (6) 論理性を学ぶ/ (7) 筆算を教える
- 四 感覚をみがく
- 1 思考力
- (1) 問題づくり/ (2) 問題解決/ (3) 調べ学習
- 2 感 性
- (1) 感想を言い合う/ (2) 自分だったらどうする?/ (3) いろんな感じ方があるよ/ (4) 泣いた子がいたときがチャンス/ (5) けんかも学習/ (6) さあ、みんなで考えよう
- 五 表現力
- 1 音声表現
- 2 体で表現する
- (1) タイコのリズムで/ (2) ピアノの曲想で/ (3) 動作化/ (4) おはなしマットづくり/ (5) なわとび/ (6) 鉄棒/ (7) アスレチック
- 3 色・形で表現する
- (1) 学校環境/ (2) アトリエ/ (3) 陶 芸/ (4) まかせること、教えること
- 4 音・リズムで表現する
- 5 発表会
- V 生活から学ぶ
- 〜学校生活・家庭生活〜
- 一 学校生活
- 1 朝のリズム
- (1) 起床は定刻に/ (2) 登校−朝のしたく−/ (3) 朝の会
- 2 中休みは天国
- (1) あそび/ (2) 中休みが終ったら
- 3 給食は意欲の源
- (1) 食欲はすべての意欲のはじまり/ (2) 給食の効用/ (3) 給食準備/ (4) 食事をする/ (5) あとかたづけ /
- 4 清掃活動
- (1) ほうきの使い方/ (2) ぞうきんの使い方/ (3) チリとりの使い方 / (4) ぞうきんがけ/ (5) 机のはこび方/ (6) 掃除のねらい
- 5 学校生活のしめくくり 〜帰りの会〜
- (1) 司 会
- 二 家庭生活
- 〜下校後も大切 〜
- 1 おうち生活毎日さん
- 2 おうち学習毎日くん
- 3 学校と家庭をつなぐ
- W 定着をはかる
- 一 教えること ひき出すこと
- 1 教えること
- 2 ひき出すこと
- (1) 教えない/ (2) やってみたい気にさせる/ (3) やればできると思わせる/ (4) 選択させる/ (5) 見通しをもたせる/ (6) 待 つ/ (7) 習熟する/ (8) いやになるまで、あきるまでさせる/ (9) 次のステップへ
- 二 変革を促す
- 1 子どもを変える
- (1) 子どもはかしこい/ (2) 子どもは強い/ (3) 子どもはやさしい/ (4) 子どもはしなやかだ
- 2 集団を変える
- (1) 教師対子ども集団/ (2) 集団の文化づくり/ (3) 集団の思考は深い/ (4) 選択権をもたせる/ (5) 集団エネルギーを燃やす
- 三 教師のねがい
- 1 これだけは教えたい
- (1) 真実を見ぬく目/ (2) 情報の処理能力/ (3) 批判に強い子/ (4) 主体性のある子/ (5) 自律、自立、自活、自分で決める
- 2 夢をたくして
- (1) 健康で生きぬいてほしい/ (2) たくましい人間関係をつくる
- 解説 /有田 和正
まえがき
二十五年の教職歴の中で、一年生を五回担任した。この五回、百八十余人の子どもたちは、それぞれに個性があり楽しかった。クラスの雰囲気も五つ、それぞれに違っていた。
この著書に紹介した子ども達は、その百八十余人のうちの誰かであることは確かだ。しかし、名前は、すべて仮名である。また、一人の子どもを描きながら、二人、三人のイメージを重ねている場合もある。逆に、二人、三人として別名で登場しているが、実は、一人の場合もある。そのあたりは、少々アレンジして描いたことをお断りしておきたい。
だが、教室の内外で起こったさまざまなでき事は、真実である。
日々の生活の中で、トラブルも、ドラマも、事件も、大小を問わず、常に起きている。それは、子ども達が生きているからだ。
子ども達は、生きている証(あかし)を、きっちり表現している。それを、まわりの教師や、両親、大人たちが、どうとらえるかが問題なのだ。
どうとらえ、
どう対処し、
どう理解し、
どう育てていくか
永年の経験と、勘が、それらの問題を解決してくれる−と思ったら、大きなまちがいだ。最近そのことを強く感じている。
世の中が変わって、大ベテランといわれる先生たちが、学級の荒れを苦に辞めていく例が増えている。40代、50代の先生たちの学級が荒れて、授業が成立しないということもきく。
学級が荒れて収拾がつかなくなって管理職になったという人の話もきく。
すばらしい実践家の学級も、例外ではなくなっているらしい。ましてや新任の学級も………。
なぜなのか?
子どもが変わってきているのである。親も変化してきている。一昔前までの教室と、現代の教室は、すっかり様変わりした。
良きにつけ、あしきにつけ、子どもは大きく変わっている。しかし、子どもの本質が、自然に変わってきたのではないことは確かだ。
いろいろな要素で変えられてきたのである。
社会の変化に対応できる子ども像が求められ始めた。しかし、私は、そうではないと思う。どんなに社会が変化しようと、変わってはいけないものがあるのではないか−と考えはじめている。
どんなに世の中が変わっても、変わってはいけないものを、教えていくのが教育であると思っている。
それは何か?
1 真実を見ぬく目
だまされないで、自分で判断する力
2 平和を推進するエネルギー
トラブルを起こさない能力、起こしても、解消できる能力
3 人間として生きる力
人と人とのつながりをとり結べる力。一人で、自分勝手に生きるのではなく、他人と関わり、手を結んで生きる力
この力を公教育、義務教育の中で培うことができたら、それでいいと思う。
舌たらずで、意を十分書き尽くせなかったけれど、少しでも、その一端を、読みとっていただけると幸いだ。
この本を出版するにあたり、多くの子ども達、保護者、仲間の教師達に、また、出版に携わって下さった方々に、心から感謝する。
一九九七年七月一日 /石岡 房子
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- 明治図書