必ず成功する学級経営 365日の学級システム 中学2年

必ず成功する学級経営 365日の学級システム 中学2年

インタビュー掲載中

中学2年365日の学級づくり・活動づくり成功のポイント

中学2年の365日の学級づくりから行事、通知表までの活動について、@教師が前面に出る「さきがけ指導」A後ろに引いて成長をうながす「しんがり指導」B励まし促進する「アクセル指導」C正しい行動を求める「ブレーキ指導」の4視点からまとめた学級経営バイブル。


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ISBN:
978-4-18-292219-0
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年12月4日

CONTENTS

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 中学校学級経営の構成要素
「さきがけ」「しんがり」「アクセル」「ブレーキ」の4視点
1 学級経営の難しさ
2 学級経営の矛盾
3 生徒たちの多様化
4 「さきがけ」と「しんがり」
5 「アクセル」と「ブレーキ」
6 マトリクス・チャート
7 本書の構成
8 再び,学級経営の難しさ
第2章 必ず成功する学級経営 365日の学級システム 中学2年
1 学級開き
さきがけ(4) しんがり(2) アクセル(3) ブレーキ4
1 学級開きの目標
2 学級開きの手立て
3月にできること:新学級への情報収集
始業式までにすること:新学級への準備
始業式にすること:新しい1年への気持ちづくり
入学式で行うこと:何のための式なのかを伝える
学級開きで心がけること:前の学級を忘れさせられるか
3 学級開き指導の極意
2 学級組織
さきがけ(3) しんがり(3) アクセル(3) ブレーキ(3)
1 学級組織づくりの目標
2 学級を自治的に機能させるための手立て
学級組織づくりの前に
学級組織づくり後
3 学級組織の意義
3 当番活動
さきがけ(4) しんがり(2) アクセル(3) ブレーキ(3)
1 当番活動の目標
2 当番活動を指導するための手立て
清掃編
給食編
3 当番活動を指導することの意義
4 朝の会・帰りの会(短学活)
さきがけ(3) しんがり(3) アクセル(4) ブレーキ(3)
1 短学活の目標
2 短学活指導で必要な手立て
雰囲気づくり
一体感の継続
成長を実感させる
3 短学活指導の意義
5 学習指導
さきがけ(4) しんがり(3) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 学習指導の目標
2 学習指導の手立て
3 学習指導の意義
6 教室環境
さきがけ(4) しんがり(2) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 教室環境の目標
2 教室環境の手立て
生徒理解系
潤い系
3 教室環境の意義
7 旅行的行事
さきがけ(4) しんがり(3) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 旅行的行事の目標
2 旅行的行事実施の手立て
3 旅行的行事の意義
8 体育的行事
さきがけ(3) しんがり(3) アクセル(3) ブレーキ(3)
1 体育的行事の目標
2 体育的行事の手立て
事前指導
体育祭当日
事後指導
3 体育的行事の意義
9 通知表
さきがけ(2) しんがり(4) アクセル(5) ブレーキ(2)
1 通知表の目標
2 通知表作成の手立て
1学期:長所発見,肯定的評価
2学期:1学期からの成長点
学年末:さらなる成長点
3 通知表の意義
10 学校祭・文化祭(展示)
さきがけ(3) しんがり(4) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 展示の目標
2 展示の手立て
3 展示の意義
11 合唱コンクール
さきがけ(2) しんがり(4) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 合唱コンクールの目標
2 合唱コンクール指導の手立て
3 合唱コンクール指導の意義
12 最後の学級活動
さきがけ(3) しんがり(3) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 最後の学級活動の目標
2 最後の学級活動の手立て
3学期:最後の学級活動
3 最後の学級活動の意義
13 期末懇談会
さきがけ(4) しんがり(2) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 期末懇談会の目標
2 期末懇談会の手立て
3 期末懇談会の意義
14 学級通信
さきがけ(4) しんがり(3) アクセル(4) ブレーキ(2)
1 学級通信の目標
2 学級通信発行の手立て
3 学級通信の意義
15 キャリア教育
さきがけ(3) しんがり(5) アクセル(5) ブレーキ(3)
1 キャリア教育の目標
2 キャリア教育の手立て
3 キャリア教育を指導することの意義
あとがき

まえがき

 学級経営が年々難しくなっています。

 従来の学校教育の在り方に比して,個に対応することが強く求められるようになったからだと認識しています。特別支援教育の理念や学力向上が求められる風潮と相俟(あい ま)って,従来とは比べものにならないくらい「結果」が求められるようになりました。しかもその「結果」は,かつてのように「いまはこんな感じだけど,この子もいつかわかってくれるさ」と余裕をもって接し,何年か後に「あのとき先生の言ってたことがわかりました」と返ってくるというような,〈長期的な結果〉ではありません。いまこの指導事案で結果を出さなければならない,三日後までに報告すると約束したその期日までに結果を出さなければならない,できるだけ早く結果を出さなければならない,今学期中に結果を出さなければならない,今年度中に結果を出さなければ次年度が不安になる,常にそんな焦りを伴う〈短期的な結果〉です。加えて,その「結果」は,生徒自身はもとより,保護者や管理職も納得するような結果でなければ「結果」の名に値しない,そんな雰囲気さえあります。三十人以上の「個」に対して,果たしてそんなことが可能なのだろうか。そんな疑問さえ湧いてきます。

 教師としてのやり甲斐を抱くことが年々難しい時代になってきています。

 従来の教師の在り方に比して,教師個々の裁量が著しく狭くなっているからだと認識しています。常に一つ一つの指導事案に〈短期的な結果〉が求められ,しかも学校はかつてと比べて〈譲れない一線〉をも強く意識するようになりました。保護者のクレームやマスコミの突き上げは回避したいけれど,学校教育の軸を揺るがすことはできない。サービス業的に接しなければならない場面はあるけれど,健全な市民,健全な社会人,健全な国民を育てるという理念のもと,譲れない一線だけはてこでも譲らない。そうした姿勢です。結果,前線にいる一人ひとりの教員の裁量に任せるなんてことはしていられない。逐一報告を求め,逐一指示を出す。管理職は一般教諭に,教委は校長に,文科省は各地教委に,すべてが同じ構造で動いています。その結果,だれもが背後から矢を構えられながら前線で闘わなければならない,ちょっと譲ればうまくいくのに……という事案であっても譲るわけにはいかない,言葉を尽くして生徒や保護者を説得しなければならない,ほんとうは生徒や保護者の側につきたいような事案であってもその素振りを見せるわけにはいかない,そんな事例も散見されるようになりました。「個のための教育」と「学校・地域行政・国家のための教育」,その矛盾を前線で働く教師自身が身に沁みて感じざるを得ない,年々そんな時代に近づきつつあるのを感じます。多くの教員が口には出さないまでも「管理職に報告して,指示されたとおりに動けば良いんでしょ」,そんなふうに開き直りたくなるのもわからないではありません。

 重度の特別な支援を要する(と思われる)子,情緒的に安定しない問題傾向生徒,強烈なクレーマー保護者,そうした少数の「個」に対応しているうちに,学級集団が安定を欠き,学級運営がままならなくなるという学級担任も少なからず見られるようになりました。こうした事例が「個に対応すること」があまりにも声高に主張された結果として,どこまでも個に寄り添いたいとの良心的な教師のメンタリティと相俟って学級運営が滞り,学級担任として最も大切な仕事である学級集団を育てることを蔑ろにしてしまったことを意味しています。どこまでも「個」に寄り添い,他のことを考えない態度が許されるのは,家庭教師やかかりつけの医者・カウンセラーであって,学級担任のそれではありません。学級担任が100のリソースのうち80を一人の特別な子にかけてしまったのでは,リソースを費やしてもらえなかった生徒たちが不安定になっていくのも当然のことなのです。そこには,私たち学級担任もまた,校長や行政と同じように「譲れない一線」をもつべきであるという構造があります。

 よく考えてみましょう。私たちの仕事は,「個」と「学級集団」であれば,「学級集団」を優先すべき仕事なのではないでしょうか。もしそうでないとしたら,特別支援学校や特別支援学級のように,私たちの仕事も学級の定員を著しく減らし,複数の教師で当たるというシステムに変更されるべきなのです。そして言うまでもなく,現行のシステムはそうではありません。私たちは本来,もてるリソースの8割を集団づくり,学級づくりに費やすべき仕事に就いているのではないでしょうか。「個への対応」を蔑ろにして良いと言うつもりはありません。しかし,特別活動の時間が目に見えて縮小され,会議と事務仕事の多さに放課後に生徒たちと談笑する時間さえもてない昨今にあって,学級担任の第一義が学級づくり,集団づくりであるということが忘れられつつある現状にあるように思えてならないのです。

 もちろん現実的には,リソースを費やさねばならない生徒,リソースを費やさねばならない保護者はいるのが実態でしょう。しかし,「個」に対するネガティヴな対応場面というものは,学級集団が育てば減少するのではないでしょうか。集団が育てば育つほど,集団づくりにかけなければならないリソースの度合いは減っていき,「個への対応」にかけるリソース(少なくとも時間的リソースについては)に余裕が出てくるのではないでしょうか。実は「個への対応」の質の担保さえ,集団の質が高さと大きく関係しているというのが本質なのではないでしょうか。学級担任の仕事とはこのような順番で考えるべきなのではないでしょうか。

 本書は学級経営が難しくなったと言われる昨今にあって,「個への対応」とのバランスを取りながら,安定的に学級経営をしていくための構えをシステマティックに提案することを旨としています。学級システムを構築することで学級運営を安定させるとともに,教師が時間的にも精神的にも余裕がもてるように,最低限押さえなければならない学級経営の勘所を4月から時系列で並べました。また,この方針のもとに中学1〜3年を学年別に編集しています。学級組織づくりや学校行事など毎年あるものに関しては,内容が重ならないようにと重点項目を変えて編集していますので,できれば3冊通してお読みいただければ幸いです。

 本書が日々の学級経営に悩む中学校教師たちに少しでも力になるなら,それは私たち執筆した者にとって望外の幸甚です。


   /堀 裕嗣

著者紹介

堀 裕嗣(ほり ひろつぐ)著書を検索»

1966年北海道湧別町生。北海道教育大学札幌校・岩見沢校修士課程国語教育専修修了。1991年札幌市中学校教員として採用。1992年「研究集団ことのは」設立。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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