- まえがき
- T 批判的読みを位置付けた説明的文章の学習指導
- 1 批判的読みの学習指導研究の進展
- 1 前著(吉川、二〇一七)で整理した以降の批判的読みの研究・実践の動向
- 2 批判的読みの力の拡充
- 2 説明的文章の批判的読みの学習指導過程開発研究の状況
- 1 説明的文章の批判的読みの学習指導過程に関する先行研究
- 2 説明的文章領域における実践的研究課題としての、批判的読みの学習指導過程の開発
- 3 批判的読みの学習指導過程モデルの構築と活用に向けて
- U 批判的読みを位置付けた説明的文章の学習指導過程の考え方・つくり方
- 1 説明的文章の批判的読みの学習指導過程モデル
- 1 批判的読みを説明的文章の学習に意図的に位置付けるために
- 2 「学習指導過程モデル」の特徴
- 3 「学習指導過程モデル」を構築するための枠組みの検討
- 2 「批判的読みの基本的なあり方」図との連動
- 1 学習活動開発の起点となる「批判的読みの基本的なあり方」図(吉川、二〇一七)
- 2 「批判的読みの基本的なあり方」図と「学習指導過程モデル」とを連動させて
- 3 「学習指導過程モデル」を用いた教材研究1 小学校四年「くらしの中の和と洋」(東京書籍)
- 1 (文章の内容や形式について)納得・疑問などの感想をもつ 〔1―X〕・第一次段階
- 2 (内容、表現のあり方を)確認、具体化する 第二次段階
- 3 筆者の発想(=考えや表現意図)を探る 〔2―A〕・第二次段階
- 4 (〈筆者の発想の現れである〉文章の内容や形式に対する)自分の考えをもつ 〔2―B〕・第二次段階
- 5 (筆者の発想、主張に対する)自分の考え・意見をつくる 〔3―B〕・第三次段階
- 6 (筆者の発想、主張をもとに)自分の発想・世界を広げる 〔3―C〕・第三次段階
- 4 「学習指導過程モデル」を用いた教材研究2 中学校二年「君は『最後の晩餐』を知っているか」(光村図書)
- 1 (文章の内容や形式について)納得・疑問などの感想をもつ 〔1―X〕・第一次段階
- 2 (内容、表現のあり方を)確認、具体化する 第二次段階
- 3 筆者の発想(=考えや表現意図)を探る 〔2―A〕・第二次段階
- 4 (〈筆者の発想の現れである〉文章の内容や形式に対する)自分の考えをもつ 〔2―B〕・第二次段階
- 5 (筆者の発想、主張に対する)自分の考え・意見をつくる 〔3―B〕・第三次段階
- 6 (筆者の発想、主張をもとに)自分の発想・世界を広げる 〔3―C〕・第三次段階
- 5 「学習指導過程モデル」を用いて批判的読みの実践のあり方をチェックする
- 1 第一次段階における批判的読みの学習活動
- 2 第二次段階における批判的読みの学習活動
- 3 第三次段階における批判的読みの学習活動
- V 批判的読みを位置付けた学習モデル
- 小学校
- 1 一年「いろいろな ふね」 (東京書籍) 「やく目」に対応した「つくり」の整合性、適切性を読む
- 2 二年「どうぶつ園のじゅうい」 (光村図書) 事例(獣医の仕事)の必要性を読む、自分の学校での事例(出来事)へ広げる
- 3 三年「すがたをかえる大豆」 (光村図書) 事例や結論のあり方の意図を探る
- 4 四年「アップとルーズで伝える」 (光村図書) 事例の内容の価値を検討する、筆者の主張を自分の生活とつなげて捉え直す
- 5 五年「『弱いロボット』だからできること」 (東京書籍) 具体例の果たす役割を探る、筆者の主張について自分の考えを書く
- 6 六年「プロフェッショナルたち」 (東京書籍) 事例の内容や価値、必要性を検討する、自分で結論部を書く
- 7 六年「森へ」 (光村図書) 筆者の見方・考え方を捉え、生かして、筆者のように表現する
- W 批判的読みを位置付けた授業デザイン
- 小学校
- 1 一年「じどう車くらべ」 (光村図書) 修飾語や不整合に着目させ、内容、論理を「確認、具体化する」
- 2 四年「ウナギのなぞを追って」 (光村図書) 海洋生物学者である筆者の見方・考え方、姿勢を読む
- 3 六年「『鳥獣戯画』を読む」 (光村図書) 比較して世界を広げる
- 中学校
- 4 一年「玄関扉」 (三省堂) 事例内容を比較して、筆者の主張をつかむ
- 5 二年「黄金の扇風機」「サハラ砂漠の茶会」 (東京書籍) 二つの説明的文章の相違点・共通点を「対談」で深める
- 6 三年「作られた『物語』を超えて」 (光村図書) 論の展開や写真のあり方などの書きぶりに着目する
- 索引
まえがき
批判的読み(クリティカル・リーディング)は、説明的文章の学習を楽しく、力強いものにする。このことの実現に向けて、先に『論理的思考力を育てる!批判的読み(クリティカル・リーディング)の授業づくり―説明的文章の指導が変わる理論と方法―』(明治図書、二〇一七年)を著した。批判的読みのための教材研究をどのようにするか、学習活動をどのように開発・構成するか、これらの問いに対するわたしなりの答えを提出した書であった。そこでは批判的読みを授業に取り入れるための要素や観点を一覧できる「批判的読みの基本的なあり方」を構造図として示した。批判的読みの授業づくりの推進に一定の貢献はできたかと自負している。
しかし、これはどちらかと言うと「点」もしくは「面」としてのアプローチであるという思いもあった。実際の授業(単元)づくりには、加えて「線」としてのアプローチがなされなければ、自覚的、自立的な実践の開発、遂行には至らない。説明的文章の批判的読みの授業づくりに連続する道筋を付けたい。授業者が少しでもストレスなく、そして自らの力で、説明的文章の批判的読みの実践に取り組めるような手がかりを示したい。こうした願いが、本書の「学習指導過程モデル」に基づく提案となっている。
本書もまた、亡き妻初子に捧げる。単著刊行の際にはそのように、と決めている。三冊目となった。
二〇二一年十月 兵庫教育大学大学院教授 /吉川 芳則
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- 明治図書
- 授業例が示されていて分かりやすかった。2023/5/1030代・小学校教員