- はじめに
- 第1章 理論編「教科ならではの文化」から見た学びと授業
- 1 はじめに〜子どもたちの対話から見える学びのありよう〜
- 2 私たちがめざす学びと授業
- (1)教科で人間を育む
- (2)私たちが考える「教科ならではの文化」
- (3)「教科ならではの文化」を味わう授業づくり
- (4)学びの見とりと新学習指導要領との関連
- 3 おわりに 実践を支えているもの〜共に創りあげる文化〜
- 第2章 実践編「教科ならではの文化」を味わう授業
- 国語科 豊かなコミュニケーションを通してよりよい人間関係を築いていく人を育む
- 1 国語科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −国語科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 国語科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践1 「河童と蛙」 −群読台本の作成を通して詩の解釈を深める―
- 授業実践2 「勇者メロスを語ろう」
- 授業実践3 「素顔同盟」 −象徴表現から味わう−
- 社会科 「社会を創る人」を育む
- 1 社会科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −社会科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 社会科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践1 「同じ空の下で働く子どもたち」 −アフリカ州の地域的特色を「児童労働問題」から捉える−
- 授業実践2 「よりよい復興まちづくりを考える」 −宮古市田老地区の調査を通して−
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 数学科 論理的かつ客観的に解決にあたる人を育む
- 1 数学科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −数学科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 数学科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践1 「体育祭の課題を統計的に解決する」
- 授業実践2 「勝つための選択」
- 授業実践3 「影の軌跡は○○を描く」
- 理科 「科学のまなざし」をもつ子どもたち
- 1 理科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −理科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 理科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践1 「どうなっているの? クジャク石」
- 授業実践2 「イオンの視点で食塩を科学する」
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 音楽科 「様々な音や音楽のよさや美しさを味わい,分かち合う人」を育む
- 1 音楽科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −音楽科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 音楽科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践 ミュージカル『ジキル&ハイド』より「嘘の仮面」 −音楽と芝居の融合した歌唱表現に挑戦しよう!−
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 美術科 感性豊かに創造していく子どもたち
- 1 美術科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −美術科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 美術科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践 「問題点を発見することから生み出すプロダクトデザイン」
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 保健体育科 思考し体現しようとすることを繰り返す子どもたち
- 1 保健体育科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −保健体育科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 保健体育科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践 「インディアカ」 −空いたスペースをめぐる攻防を生み出す−
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 技術・家庭科 技術分野 「よりよい生活を営む人」を育む
- 1 技術・家庭科(技術分野)の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −技術・家庭科(技術分野)で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 技術・家庭科(技術分野)の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践 「フルードパワーの活用」 −フルードパワーで生み出した力を,異なる力へ変換する−
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 技術・家庭科 家庭分野 「よりよい生活を営む人」を育む
- 1 技術・家庭科(家庭分野)の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −技術・家庭科(家庭分野)で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 技術・家庭科(家庭分野)の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践 「静岡おでんの魅力を伝え隊」 −静岡おでんから考える地域の食文化−
- 4 育まれた姿と新学習指導要領との関連
- 英語科 コミュニケーションを主体的に図ろうとする子どもたち
- 1 英語科の考える文化
- 2 文化の中で育まれるふるまい
- (1)文化の中で生きる姿 −英語科で育みたい人間像−
- (2)授業の中で生み出したい子どものふるまい
- 3 英語科の文化を生み出す授業づくり
- 授業実践1 “Look! This Is My Own Japanese Product” −オリジナル商品の魅力を伝えよう−
- 授業実践2 “Let’s Talk About Current Events!” −対話を生み出すフリーイングリッシュトーク−
- 授業実践3 “Break the Language Barrier!”
- 実践研究で教科の学びの本質を明らかにしようとすること
- 静岡大学大学院教育学研究科 教授/村山 功
- おわりに
- 研究同人
はじめに
本書は,本校の授業研究とその取り組みをまとめ,「教科で人間を育む」という学力観・授業像を提起しようとするものです。
2014年度から6年間,私たちは次の視点を研究の核としてきました。
〇教科は人間の営み・文化である
〇教科の学びは,子どもたちの生き方やふるまいを変え得る
〇対話を重ねながら教科の本質的な学びを深めていく営みが授業である
この視点から,「教科ならではの文化」とは何か,授業づくりにおいて題材づくりと題材構想はどうあるべきか,「教科ならではの対話」をどのように生み出していくか等について,日常的な授業公開や研修の場を通して繰り返し討議してきました。それは,中学校教育における教科の専門性と独自性をより精緻に検討しながらも,教科という枠組みに拘泥せず,教科の本質にせまる学びが「人間を育む」という営みにどのように寄与し得るのかを授業づくりの観点から探求する営みでありました。
率直に申し上げれば,指導方法の定型や,こうあるべきという方式の提案ではないという点で,また,個々の教科に特化した授業研究ではないという点で,ご批判を受ける部分があるかもしれません。しかしながら,「教科で人間を育む」という視点から,一人一人の生徒の全人的かつ総合的な人間形成に資する“総体としての学力形成”をめざす,この立場をぜひともご理解いただき,忌憚のないご意見ご批正をいただければと存じます。
研究にあたっては,東京大学高大接続研究開発センター教授 白水 始先生,上智大学総合人間科学部教授 奈須 正裕先生,静岡大学大学院教育学研究科教授 村山 功先生に多角的かつ先進的な視点からご指導とご助言をいただきました。厚く御礼を申し上げます。
2019年10月 静岡大学教育学部附属静岡中学校長 /坂口 京子
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- 明治図書