- はじめに
- 1章 国語科における板書の役割と授業づくりの基本
- 国語科における板書の役割
- 国語科の授業づくりの基本@
- 国語科の授業づくりの基本A
- 国語科の授業づくりの基本B
- よりよい板書を創るためのプチアイテム
- 2章 絶対に身につける国語板書スタンダード&アドバンス
- 詩のスタンダード@ 全文を書いて詩の意味を深く考えさせる
- 詩のスタンダードA 全文を書いて詩の技法と効果を考えさせる
- 詩のアドバンス@ 題名をマスキングして内容を深く読ませる
- 詩のアドバンスA 一部をマスキングして内容を深く読ませる
- 物語のスタンダード@ 関係図を使って人物像や人物関係を整理する
- 物語のスタンダードA 表を使ってあらすじを整理する
- 物語のスタンダードB プロット図で中心人物の変容を捉えさせる
- 物語のスタンダードC ICT機器を使って優れた叙述を発見させる
- 物語のスタンダードD コンセプトマップで要約・テーマを表現させる
- 物語のアドバンス@ 対比的な板書で二人の人物を比較させる
- 物語のアドバンスA 後半をマスキングして結末を予測させる
- 物語のアドバンスB つながりを図化して物語の続きを考えさせる
- 物語のアドバンスC つながりを図化して伏線を発見させる
- 物語のアドバンスD ベン図で複数の場面を比較させる
- 説明文のスタンダード@ ウェビングマップで内容に興味をもたせる
- 説明文のスタンダードA 文章構成図で全体の構成を捉えさせる
- 説明文のスタンダードB 表を使って要点をまとめさせる
- 説明文のスタンダードC コンセプトマップを使って全文を要約させる
- 説明文のスタンダードD 対比的な板書で自分の考えを表現させる
- 説明文のアドバンス@ クイズを出題して重要語句に気づかせる
- 説明文のアドバンスA バラバラに提示して正しく並べ替えさせる
- 説明文のアドバンスB 最終段落を隠して筆者の主張を予測させる
- 説明文のアドバンスC 資料を示して新しい事例を書き加えさせる
- 説明文のアドバンスD ベン図で複数の説明文を比較させる
- その他のスタンダード@ ウェビングマップで書く・話す題材を集めさせる
- その他のスタンダードA 文章の比較を通して,ポイントに気づかせる
- その他のスタンダードB 表を使って書く・話す内容を検討させる
- その他のスタンダードC 児童参加型板書で新出漢字を指導する
- その他のスタンダードD 例文を書いて言語事項を指導する
- その他のアドバンス@ ○○選手権で表現する楽しさを味わわせる
- その他のアドバンスA 複数の方法を提示し,児童に選択させる
- その他のアドバンスB 写真やイラスト,映像等を文章化させる
- その他のアドバンスC プロット図を使って物語を創作させる
- その他のアドバンスD 短冊を使って言語事項を指導する
- 3章 スタンダード&アドバンス板書を活用した授業事例
- 事例01 マスキング・チャート図 詩 6年生・生きる
- 事例02 短冊・表・プロット図 物語 2年生・きつねのおきゃくさま
- 事例03 伏線・ベン図・表 物語 3年生・ゆうすげ村の小さな旅館
- 事例04 関係図・表・ベン図 物語 5年生・注文の多い料理店
- 事例05 関係図・プロット図・ベン図 物語 6年生・海のいのち
- 事例06 ウェビングマップ・クイズ・並べ替え・短冊 説明文 2年生・ビーバーの大工事
- 事例07 ウェビングマップ・文章構成図・表 説明文 4年生・ヤドカリとイソギンチャク
- 事例08 ウェビングマップ・文章構成図・コンセプトマップ 説明文 6年生・イースター島にはなぜ森林がないのか
- 事例09 ベン図・マスキング・短冊・表 説明文 6年生・プロフェッショナルたち
- 事例10 ウェビングマップ・対比・表 作文 5年生・反対の立場を考えて意見文を書こう
- 事例11 チャート図・対比・短冊 新聞 5年生・新聞をつくろう
- 事例12 表・全文書き・短冊 古文 5年生・古文のえがく四季
はじめに
「今度物語の授業があるのですが,どうやって授業すればいいですか?」
「説明文って何を教えればいいのでしょう? 授業が全く盛り上がらないのですが……」
「詩の授業,読ませるだけでいいのですかね……。何かやらなくてはいけないのですか?」
最近若い先生方から,このような質問を受けることが多くなりました。その度,若いころの自分もそうだったなと懐かしく思います。教員になってからしばらくの間は,国語科の授業が苦痛で仕方ありませんでした。新しい単元に入る日が近づくにつれて,ああでもない,こうでもないと頭を抱えていたのを覚えています。結局考えがまとまらないまま授業日を迎えてしまい,退屈そうな子どもたちの様子を見て,その場から逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。ときどき思いつきで行った授業が功を奏し,一時的に盛り上がることもありましたが,結局その授業でどんな言葉の力がついたのか,私自身も全くわからず,何の手応えもない日々が続いていました。全国にはきっと,同じような悩みを抱えている先生方も多数おられると思います。
教師になって20年。日々国語科の授業を実践してきて今強く思うこと。それは,授業者にとってなにより大切なのは,授業の「型」をもつことだということです。誤解のないように申し上げておくと,毎回ワンパターンの授業をしろという意味ではありません。詩の授業,物語の授業,説明文の授業,作文の授業……それぞれの授業における「型」をもつのです。そしてその「型」は決して1つではありません。様々な「型」をもち,教材の特性に応じて使い分けるという意味です。優れた料理人は,目の前の食材を見て,その場でレシピを生み出すそうです。一見思いつきで調理しているように見えますが,これまでの経験から様々な料理の「型」をもっており,食材の特性に応じてその「型」を使い分けているのです。また,自身の経験と長年の訓練によって築き上げられた確かな「型」をもっているからこそ,型破りの新たな挑戦もうまくいくのです。私たち教師が行う授業もこれと同じことがいえるのではないでしょうか。まずは様々な授業の「型」を身につけ,次第にその「型」にアレンジを加えていく。これこそが授業の腕を上げる最善の方法だと考えています。
では授業におけるその「型」とは何か。その1つが板書です。拙著『道徳板書スタンダード&アドバンス』でも述べましたが,授業における板書は大変大きな役割をもっています。本書ではこの国語科における板書の基本的な「型」を「スタンダード」,その型に少しアレンジを加えた発展的な板書を「アドバンス」とし,具体的な教材を例に挙げながらその特徴をお示しします。日々の国語科の授業で悩んでおられる先生方の,少しでもお役に立てれば幸いです。
終わりになりましたが,一公立教員の私に,一度ならぬ二度までも,こうして執筆の機会を与えてくださった明治図書出版社の皆さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
/有松 浩司
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- 明治図書
- 尊敬する有松先生の板書と考えを知ることができて良かったです。2024/9/2220代・小学校管理職
- まずは基本の型を知ることが大事っというための本です。そしてある程度自分の型ができた人が見ると、自分と比較しながらさらに一歩前へ進めた気がします。子どもたちが毎年かわり、自分自身も日々成長する中で板書は同じ教材でも変わりますが、参考になると思います。2023/6/1240代・小学校教員