伴一孝「向山型国語」で力をつける3
伝え合う力を伸ばす「向山型討論」の授業

伴一孝「向山型国語」で力をつける3伝え合う力を伸ばす「向山型討論」の授業

ロングセラー

好評4刷

書評掲載中

教師のプロは「教育の研究」に全身全霊をかけて打ち込む

校内研で「伝え合う能力」の育て方を第一回の研究授業から第九回の研究授業で詳細に公開する。特に「ごんぎつね」の研究授業で旧文化を圧倒した。さらに「伝え合う能力」を高める討論の授業システムをどう構築するか「討論」を支える根拠を詳細な過程で示した。


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ISBN:
978-4-18-303319-2
ジャンル:
国語
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 232頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年12月2日

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 伴一孝、「討論の授業」の「原風景」
U 校内研で「伝え合う能力」を追究する
一 「雲」の授業(第一回研究授業)
1 第一回研究授業(六月一一日)の構想
2 第一回研究授業の検討
3 「雲」の授業その後
二 「白いぼうし」の授業(第二回研究授業)
1 第二回研究授業(六月二一日)の構想
2 第二回研究授業の検討
3 「白いぼうし」の授業その後
三 「だれですか」の授業(第三回研究授業)
1 第三回研究授業(七月二日)の記録
四 「三年とうげ」の授業(第四回研究授業)
1 第四回研究授業(七月一三日)の構想
2 第四回研究授業の検討
五 「アナトール工場へ行く」の授業(第五回研究授業)
1 第五回研究授業(九月一七日)の構想
六 「一つの花」の授業(第六回研究授業)
1 第六回研究授業(一〇月二一日)の構想
七 「おうむ」の授業(第七回研究授業)
1 第七回研究授業(一一月一二日)の構想
八 「国語辞典」の授業(第八回研究授業)
1 第八回研究授業(一一月一九日)の構想
九 「あたたかい土地に住む人々のくらし」の授業(第九回研究授業)
1 第九回研究授業(一二月三日)の構想
一〇 「あたたかい土地に住む人々のくらし」の授業(第一〇回研究授業)
1 第一〇回研究授業(一二月三日)の検討
V 「ごんぎつね」研究授業で、旧教育文化を圧倒する
一 「ごんぎつね」の研究
1 「ごんぎつね」の研究
二 「ごんぎつね」の授業の構想
1 「ごんぎつね」光村四年下 授業の構想
三 「ごんぎつね」学習指導案
四 「ごんぎつね」の授業、完全テープ起こし
五 研究協議で旧教育文化を打破する
W 「『伝え合う能力』を高める討論の授業システム」をどのように構築するか
一 「伝え合う能力」を高める討論の授業システムはこうする
二 「結論」を支える根拠は何か
三 子どもの「伝え合う能力」は、どのように発展するか

まえがき

 教師になって、二万時間(二万回)ほど授業をやってきた。

 人前での授業(研究授業)は、三〇〇回くらいだから、一・五%程度だ。

 だから、授業が上手くなったとは思わない。

 毎日、必死になって、子ども・教材と葛藤している。

 だが、人が「大変だ」と言っている(思っている)事は、私にとってさほど大変ではない。

 駆け出しの頃から、向山洋一氏に学んできたからだ。

 TOSSは、実に楽しくて役に立つ、世界の教育の最先端情報が集まる。

 向山氏の弟子となってからは、特にそれを痛感する。

 向山一門も、現在は一〇〇名になった。

 二〇代から五〇代までの教師が、そこで切磋琢磨している。

 スリリングで、豪快で、なおかつスタイリッシュな世界がそこにある。


 私の仕事術の一つである。

 毎日学校に行く時に、あれこれ持って行かねばならない物がある。

 日常生活に使う物や教材を購入して、教室に持ち込むからだ。

 その他にも、教室に置いておいた方が良いと思う物は、迷わず購入して持って行く。

 だから、滅茶苦茶荷物が多い。

 こういった物を、学校に持って行く時、よく忘れ物をする場合がある。

 工夫が必要だ。

 私は、紙袋を玄関に置く。

 そして、学校に持って行く物を、この中にどんどん入れていく。

 思い付いたらその時に入れてしまう。

 こうすれば、ほとんど抜け落ちが無くなる。

 「後で……」と考えたら、その時点で負け(駄目)だ。

 自分の部屋でまとめようと思っても、無理だ。後回しになる。

 玄関に紙袋を用意して、思ったその時に入れていくのがコツ。

 出発する時は、何も考えずに紙袋を車に積めばよい。

 仕事は、この様に一つ一つ自分で工夫してやっていくものだ。

 工夫の無い者を「素人」と呼び、「玄人(プロ)」と区別する。

 工夫とは、「段取り」の事に他ならない。


 「教育の研究」という「仕事(の一部)」から逃げていては、教師の人生は楽しくない。

 自分のプライドを楯に、八面六臂で捌いていかねばならない。

 どんな教師だって、毎日毎日、学校に出て「仕事」はやっている。

 「教育の研究」も、これと同じ事なのだ。

 「当たり前」だと思ってやっていなければ、そこに逃げる≠ニいう選択肢が生じる。

 だが、学校から逃げる$lは、余程の事情が無い限り、いない。

 「仕事」というのは、何でも「当たり前」にやれば良いのだ。

 これが、プロとアマの最大の違い。

 教師のプロは「教育の研究」に全身全霊をかけて打ち込み、アマはそこから逃げる。

 要は「プライド」の問題なのだ。


 多くの人は、「自分の足で、その場に立っている」と思っている。

 だが、本当は、「誰かがその場に立たせてくれている」のだ。

 この世にある事は、全部因果の帰結なのだから、「自分がやった事(結果)」というのは、全部「因果に依って」という条件付きだ。

 だから次は、また「その場で精一杯やらせていただく」のが、「因果」に対する自分なりの「答礼」なのだ。

 そして、この「答礼」のレベルが、「人格」なのだろう。

 簡単に言うと、「因果」に微笑で応えるのが、上等の「答礼」だ。

 史上、優れた魂≠有した人達は、すべからくこの様だった。

 向山一門として、胸を張れる教育実践をしたい。

 そう思って、教室で力を尽くしてきた、一人の教師のささやかな実践記録である。

 心ある教師の仲間達に、御批正をいただきたい。


  二〇〇六年 初秋

   新潟市立中野山小 大森修校長最後の研究会にて 向山一門事務局長 /伴 一孝

著者紹介

伴 一孝(ばん かずたか)著書を検索»

1962年3月生

1985年3月 長崎大学教育学部卒業

2003年4月 西海市立瀬戸小学校

向山一門事務局長

『教育・向山一門』編集人

『向山型国語教え方教室』誌(明治図書)副編集長

TOSS長崎代表

エネルギー教育全国協議会九州支部長

TOSSネット・サークル「Digital気分」代表

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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