- まえがき
- プロローグ
- コラム 健康観察
- 第1章 夢中になる
- 夢中になっている子どもたち
- 「やりたいこと」に向かって
- 「できた!」を繰り返して
- コラム 食育指導
- 第2章 6つのポイント
- ポイント1 日常の夢中な活動
- ポイント2 見通し
- ポイント3 教材・教具の工夫
- ポイント4 反復
- ポイント5 友達とのかかわり
- ポイント6 教師とのかかわり
- コラム なかよし班
- 第3章 ポイントを取り入れた実践例22
- ポイント1 日常の夢中な活動
- 実践例1 小学部 算数科 「ごっこランドで あそぼう」
- 実践例2 中学部 国語科 「紹介しよう ふとくニュースでみんなの大好き」
- 実践例3 高等部 美術科 「つくって かざろう 高1美術展」
- 日常の夢中になる活動に取り組む授業
- ポイント2 見通し
- 実践例4 小学部 音楽科 「げんきもりもり さくらコンサート」
- 実践例5 中学部 国語科 「レールをつなげて まちづくり」
- 実践例6 高等部 作業学習(木工) 「パズル付き 小物入れ作り」
- 実践例7 高等部 作業学習(縫製) 「手織り布付き トートバッグ作り」
- 見通しをもって活動する授業
- ポイント3 教材・教具の工夫
- 実践例8 小学部 図画工作科 「つくって かざって おはなしのくに」
- 実践例9 小学部 国語科 「ぼくらは あおいげきだん」
- 実践例10 中学部 音楽科 「ふとく 秋の音楽祭」
- 実践例11 中学部 数学科 「お仕事体験 ふとく商店」
- 実践例12 高等部 作業学習(窯業) 「壁掛けフラワーポット作り」
- 工夫された教材・教具を使って活動する授業
- ポイント4 反復
- 実践例13 小学部 算数科 「イルカさんのおうちで あそぼう」
- 実践例14 中学部 国語科 「なんでもかします ふとくショップ」
- 実践例15 高等部 保健体育科 「みんなでつなごう バルバレー」
- 反復して活動する授業
- ポイント5 友達とのかかわり
- 実践例16 小学部 ふようタイム※ 「わくわくランドで えいえいおー」
- 実践例17 中学部 美術科 「みんなおいでよ すてきな部屋」
- 実践例18 高等部 数学科 「チームワークで 高得点」
- 友達とかかわり合って活動する授業
- ポイント6 教師とのかかわり
- 実践例19 小学部 ふようタイム 「わくわくランドで えいえいおー」
- 実践例20 小学部 体育科 「げんきいっぱい あおいパーク」
- 実践例21 中学部 職業・家庭科 「ホームパーティーで おもてなし」
- 実践例22 高等部 国語科 「欲しいもの 選んで 伝えて」
- 教師とかかわり合って活動する授業
- 第4章 授業の「できた!」を生かして
- 様々な活動で友達を誘う将巳
- 友達と一緒に音楽を楽しむ正博
- コラム 支援ツール
- エピローグ
- あとがき
- 研究同人
- ※ふようタイム…様々な「人・もの・こと」とのかかわりをねらいとした,各教科等を合わせた指導の時間
まえがき
本校は,知的障害のある子どもたちを対象とした特別支援学校です。子ども一人一人の特性や個性をふまえた教育活動を通して,個に応じた学習過程や指導の手だてを工夫し,日々取り組んでいます。「まずは子どもありき」という教師の共通理解のもと,あたたかみのある教育を理念としています。
60名の子どもたちと,一枚岩となった教師とが一体となって,学ぶことの楽しさを追究しています。子どもたちから教えられることが多く,教師はそれを研究活動に生かしています。このようなわたしたちの姿勢は,日報(主幹教諭が教職員に向けて作成)の文章にも表れています。
わたしたちがめざすチームの根本にあるのは,本校の教育目標である,「子どもの発達に応じ,基礎的生活能力および態度を養い,情操を高め,一人一人が可能性を十分に発揮して,社会で自立できる力を育てる」です。この目標を達成するためには,自分には何ができるのか,何をしなければならないのかを常に意識していかなければなりません。個人としての力量向上をめざし,チームとして仲間と支え合い,子どもたちが笑顔で学校生活を送ることができるよう,チームワークを大切にしていきましょう。(平成31年4月1日の日報より)
わたしたちは,教師である以上,常に学ぶ姿勢を大切にしなければいけません。それは,目の前の子どもたちのためです。思い込みや教師の都合で考えてしまった活動は,活動に向かわないというとても正直な子どもたちの姿となって表れてきます。だからこそ,自分の取り組みを振り返り,子どもの姿から,そして,同僚から学ぶ姿勢を大切にしなければいけません。子どもの姿を見つめ,仲間の声に耳を傾け,自分自身を成長させることが,子どもの成長につながるはずです。(令和元年6月11日の日報より)
子どもたちとともにつくり上げた授業をもとに,本書『夢中になる子どもたち』は誕生しました。夢中になるとは,どういうことでしょうか。字の如く,夢の中にいるような感覚になって,心がその活動にのめりこむことだと言えます。だからこそ,夢中になった子どもは,その活動に集中し,楽しさのあまり,知らず知らずのうちに,力を発揮していくのです。夢中になる活動が子どもたちを伸ばしていくのです。
子どもたちが夢中になって,主体的に学ぶ授業をどのようにつくっていけばよいか,本書では6つのポイントに着目して,わかりやすく紹介しています。特別支援教育に携わる方だけでなく,多くの教育関係者に読んでいただきたい本です。それは,本書が教育の原点に立ち返って考えたものでもあるからです。読んでいただいた多くの方に,共感・共鳴する観点があると信じております。ぜひ,最後までお付き合いいただければ幸いです。
本書は,本校が明治図書から出版する15冊目の障害児教育双書です。特別支援教育の一層の発展に寄与することとなれば,わたしたちにとっての何よりの喜びです。わたしたちの研究に愛情あふれるご指導をいただいた多くの先生方にお礼を申し上げます。
令和元年9月 愛知教育大学附属特別支援学校長 /石川 恭
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- 明治図書