- 序 文 /足立 悦男
- 第T章 解説編「一〇〇マス作文」春の海
- 一 こんな先生におすすめです
- 1 【「書くことないもん!」】 子どもらが「書くことないもん!」どうしたら書くようになるのか池の鯉
- 2 【題材選ぶ力】 しっかりと物を見る目を育てたい題材選ぶ力こそ鍵
- 3 【すぐに評価が済む方法】 しかしなあ作文読むの大変やすぐに評価が済む方法ない?
- 4 【作文指導が苦手】 でもやっぱりなあ作文指導いややなあねばり強さはあるんやけどな
- 5 【教科書の作文教材】 でもですねえ時間がないよ教科書の作文教材どうします?
- 6 【コンクール入選】 コンクール入選させたいけれどその能も時間も作品もなし
- 7 【仲間づくり】 どうすればみんななかよくなれるかないい方法が何かないかな
- 二 こんな学校におすすめです
- 1 【共通実践】 どんな学校でもOK問題は共通実践やるかやらぬか
- 三 「一〇〇マス作文」実践で変わる子どもの姿
- 1 【高校入試にチャレンジ】 書けるよねこれぐらいなら高校入試にチャレンジしたけど結果はいかに?
- 2 【数値が物語る効果】 まじっすか? 信じていいよねこの数値やってよかった一〇〇マス作文
- 3 【びっくり現象】 サプライズ! びっくり現象次々にうそじゃないです信じてください
- (1)なんなんだこの静けさは教室にただ鉛筆の音のみ響く /(2)なんとまあ一〇回ぐらい続けると九割近くが書けちゃいました /(3)ほんまやねん! 平成一五・一六年入賞・報道一二〇! /(4)続けると読みごたえある作文が生まれてきたぞ付箋を付ける /(5)長文が苦手な子でも五七五書こうとするのはなんでだろう? /(6)三年目「詩を書こう!」の指示を出すとほとんどみんなが抵抗なく書く /(7)同僚の先生方も一〇〇マスの原稿用紙を使い始める /(8)ええことや俳句や川柳・短歌などに取り組む学校先生増える /(9)できるかなあ? 心配無用一年生俳句も作るし句会もするよ /(10)五七五俳句や短歌川柳も学校の特色地域も認める
- 四 登場! これが「一〇〇マス作文」のルールです
- 1 【教師の願い】 池の鯉何かないのかご主人のこんな願いを成就するもの
- 2 【一〇〇マス作文ルール】 これ見たら、コウカイするよ。できるけえやってみいやあ! ごっついでえ!(因幡方言です)
- (1)@について 春の雲「何を書いてもいいんだよ」 /(2)Aについて「書いた字がきたなくてもいい」花見かな /(3)Bについて「漢字なし、ひらがなばかりでもいいよ」けれども子どもは漢字を使う /(4)CDについて「消さないで言葉のきまりのまちがいも」失敗してもええけええけ /(5)Eについて 今は「題はなくてもいいよ」天の川 /(6)Fについて 秋の空「三分間で一〇〇字」かな /(7)Gについて秋深し「一分間で五七五」 /(8)Hについて 降る雪や「時間が来たら途中やめ」 /(9)Iについて やせがえる「書けなくてもいい」作文が
- 五 書いた内容を「五七五」でまとめる
- 1 【「五七五」にまとめる】 指折って「五七五」にまとめますいっぱい出てくるもどき作品
- 六 「一〇〇マス作文」の位置づけ――作文の指導過程と指導計画の中で――
- 1 【ねらい】 作文は書くことだけではありませんねらいはどこかそれが肝心
- 2 【取材の過程 題材選択能力】 書くことをいつも三つは持っているそういうことを理想としている
- 3 【一〇〇マス作文の位置づけ】 一〇〇マスの位置づけどこにあるのかな? 一週間のご無沙汰でした
- 七 「教科書教材」と「一〇〇マス作文」その関連・生かし方
- 1 【教科書の例文】 例文をサンプルとして生かそうよ教科書の良さ最大限に
- 2 【書きためた作文】 書きためた一〇〇マス作文どう生かす? 選ぶことは捨てる事なり
- 3 【作品を大切にする姿勢】 作品を大切にする姿勢こそ子どもは見ている怠るべからず
- 八 「一〇〇マス作文」成功への道、そして私の思い
- 1 【成功への道】 あせらないじっくり行こうぜなあみんな待てば海路の日和あり
- (1)一点集中「ねらいを絞る」曼珠沙華 /(2)名月や「『文話』の復活」待っている /(3)「書き出しを意識」させるや寒椿 /(4)「すぐ返す」あたりまえぞなクリスマス /(5)こいのぼり「なかまづくりを意識」して
- 2 【「読む」を大切に】 よりよく「書く」ためにも「読む」を大切に読めなくては書くことできない
- 3 【私の思い】 美意識やもののあわれや夢希望いっぱいもった日本の子どもに
- 第U章 実践編「一〇〇マス作文」蝉時雨
- 一 共通実践
- 1 【全学年の実践】 全学年こんな感じでやってますめずらしいことありゃしまへん
- 2 【子どもを見る目】 やっぱりなあ学級担任が一番や子どもを見る目を養えばこそ
- 3 【伸びをほめる】 醍醐味は子どもの伸びをほめるときだから作文やめられへんのや
- 4 【敗者復活の論理】 言うならば敗者復活の論理かな一〇〇マス作文原稿用紙
- 5 【四月の初期指導】 はじめての四月の指導必ずや成功しますこうすればいい!
- 二 「一〇〇マス作文」低・中・高学年指導のポイント
- 1 【低学年の実践】 文を書く楽しみをまず教えたい低学年をあなどるべからず
- 2 【中学年の実践】 中学年したことの中に見たこともくらしの気づき5W1H
- 3 【高学年の実践】 自分なりの想の広がり大切に高学年は高まりこだわり
- 4 【支援を要する子への指導】 あの子へのかかわり方を子どもらに見られていますよ鋭い眼で
- 第V章 応用編 五七五リズムを生かす紅葉かな
- 一 五七五のリズムを生かした指導
- 1 【だれでもできる俳句の指導】 「取り合わせ」人生変えたその技法俳句の指導だれでもできる
- 2 【たったこれだけ?】 取り合わせ「一二+五」でできあがりたったこれだけ? だれでもできる!
- 3 【要約力と読解力】 「五七五」って結構万能やなあ要約力も読解力も
- 4 【日本の文化】 素晴らしき日本の文化句会かなアサーティブで幸せにする
- 第W章 資料編
- ■ 低学年用「一〇〇マス作文」原稿用紙
- ■ 中学年用「一〇〇マス作文」原稿用紙
- ■ 高学年用「一〇〇マス作文」原稿用紙
- ■ 一〇〇マス作文でこんなことをほめてみよう!
- ■ こんな題材で書いてみよう!
- ■ みんながスピーチ名人!
- ■ スピーチのための原稿用紙@〜G
- あとがき
序文
著者の三谷祐児さんとは、ある研究集会で知り合った。第六回児童詩教育研究集会(平成一七年七月)という研究集会であり、私は講演を引き受けていた。戦前、戦後の児童詩教育に大きな業績を残された稲村謙一先生を偲ぶ集会であった。私は「児童詩教育への提言――稲村謙一先生に学んで」という講演を行った。その研究集会の実践報告の中に、三谷さんの「五七五のリズムを生かす」という発表があった。第二〇回東書教育賞優秀賞を受賞した実践の発表であった。私はそこで初めて、三谷さんの「一〇〇マス作文」を知った。三谷さんの作文教育との出会いである(この研究集会のことは、『えぽっく』第二四号、二〇〇五年一〇月に収録)。
「一〇〇マス作文」の実践は、新聞にも紹介された(『朝日新聞』鳥取版 平成一七年一一月六日)。「感動の心・美意識育てたい――100ます計算ならぬ100ます作文」という見出しで、以下のように紹介されていた。「岩美町の岩美北小学校(三谷さんの前任校)では、3年生以上の児童が週1回程度、制限時間3分の『100ます作文』に取り組んでいる。書いた後には『五七五』に内容を要約する。最初は書くことがないと四苦八苦していた子どもたちも、今ではすらすら書けるようになった。うまい作文を書くことよりも、生活の中から自分で題材を探して書くことを重視している」。三谷さんはインタビューに答えて「日常生活の中で、感動する心や美意識を育てることにつながってほしい」と述べている。この記事は、「一〇〇マス作文」の特徴をよくとらえている。
「書く力を高める」ことが、本書の主題である。「書く力」は、書き続けること、書き慣れることで育っていくが、書き続けること、書き慣れることは、なかなか難しい課題であった。三谷さんの「一〇〇マス作文」は、この課題に対して、「何を書くか」(書くことをいつも三つは持っている)、「どう書くか」(一〇〇マス・五七五の定型で書く)の工夫によって、書き続ける作文教育、書き慣れる作文教育を可能にした。
鳥取県には、峰地光重、稲村謙一などに学ぶ、すぐれた生活作文の伝統がある。三谷さんの「一〇〇マス作文」は、字数限定の短作文教育であるが、作文技術の方法論ではない。その基本的な考え方は、生活を見つめ、生活をつづる、日本の作文教育の伝統をふまえている。現代の作文教育は実用的な作文技術の教育に中心があり、生活作文は必ずしも定着していない。その中で、本書は、生活を見つめ、生活をつづる作文教育の歴史に学びながら、「一〇〇マス」という入口から、現代の作文教育に「新しい風」を起こそうとしている。本書の実践が、多くの作文教室で花開くことを願っている。
平成一九年八月 島根大学教授 /足立 悦男
と同時に驚くほど読みやすい。
とくに小学校では習慣づけることで大きな効果を発揮することがよくわかる。
「100マス作文のルール」は忙しい人にもぴったりだ。文字を間違ってもそのままOK、とにかく3分で100字書けるようにすることが目標、と割り切った実践は気持ちがいいくらい。うちの子たちがこの第一目標を達成できれば・・・自ずと考える力、表現する力、など次に目指すべきものが近づいてくるだろうと思う。
実践が、鋭角的であり、理論というよりも本当に実践に裏付けられた子供の姿が見て取れる。
書く力を高めたいと思って日々実践しているものにとっては、参考になることが多い内容である。
巻末には、資料がついていて、原稿用紙も拡大して使える。
早速それを用いて、1年生で実践してみたがなかなかよい。
五七五と作文をうまくつないで言葉の力を高めていく発想も参考になった。