言語技術教育19
「伝統的な言語文化」を深める授業力とは
あなたの言語力で子どもが育つ

言語技術教育19「伝統的な言語文化」を深める授業力とはあなたの言語力で子どもが育つ

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「伝統的な言語文化」を学ぶ目的、指導方法、評価方法を提案

教育基本法は60年ぶりに改正され、新学習指導要領で強調されている論理的思考力、表現力の育成と伝統的な言語文化の指導の二つを学会としては問題にする。特にこれらの理論的検討から一歩踏み出して教師が小学生に「伝統的な言語文化」をどう指導するかを提案。


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ISBN:
978-4-18-320027-3
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに /市毛 勝雄
第一部 提案「伝統的な言語文化」を深める授業力とは
▼音読一番、暗誦二番 /市毛 勝雄
▼「伝統的な言語文化」とは、何なのか /渋谷 孝
▼「言語文化」を学習者に浸透させる音読力 /小田 迪夫
▼子どもの批評力 /井関 義久
▼「伝統的な言語文化」の国語科授業を実践するために――本来の目標と枠組みを確認する―― /小森 茂
▼「付けたい力の明確化」を基点とした単元・教材開発力 /水戸部 修治
▼「語りことば」が有する教師の言語力としての意義――「語り」という音声表現が有する教育的意義―― /大内 善一
▼「愛国」「音読」「表層」の古典ではなく、深層の「読み」に迫る古典を /阿部 昇
▼教科内容と授業方法の視点から古典の授業力を考える /鶴田 清司
▼「かるた」を使った日本語指導 /根本 正雄
▼素読で漢文の素養を身につけさせる /長野 藤夫
▼習得(基礎・基本)から活用力への授業力を /佐藤 洋一
第二部 模擬授業提案と求められる授業力・言語力
T 模擬授業提案者によるテーマの解明と提案
▼神話の授業 /野口 芳宏
▼古典の朗読力と群読指導力が求められる /高橋 俊三
▼一〇〇〇年の歴史を持つ初等教育教材 /向山 洋一
U 大会テーマを深める授業力・言語力とは
▼混迷混乱の現況を打破して多様で多彩な授業展開が期待できる /大森 修
▼古典に親しませるための「教材開発力」・「声の力」 /中村 孝一
▼教材の持つ力に、指導技術、指導技量、そしてシステムを加える /谷 和樹
▼漢字と敬語と古典の読み聞かせ /深谷 幸恵
▼古典を説明的文章として読むための言語技術指導 /光野 公司郎
▼文化を享受する力・文化をうみだす力 /岩ア 淳
▼「伝統的言語文化」の学習過程で身に付ける言語力を明確に /左近 妙子
▼なぜ「伝統的な言語文化」の学習が必要か /鈴木 悟志
第三部 第一八回大会(新潟大会)報告
◆日本言語技術教育学会 第一八回大会の報告 /佐藤 洋一
編集後記 /佐藤 洋一

はじめに

 本年の大会テーマは「『伝統的な言語文化』を深める授業力とは――あなたの言語力で子どもが育つ――」―

 会場は、千葉県千葉市立高浜第一小学校、期日は、二〇一〇(平成二二)年三月六日(土)です。

 本年でわが日本言語技術教育学会は創立以来一九年になりました。創立時は「言語技術」という言葉自体がもの珍しく、当時の国語教育界の多くの人は「国語教育は技術ではない、心である」と言いました。日本語を「国語」という視野だけでとらえる人が多かったのです。しかし、二一世紀初頭にIT産業がめざましい進化を遂げ、電子機器等の革命的進歩によって各企業の世界的な交流(グローバル化)が進み、言語教育界は一変しました。現在では、言語を教え学ぶには技術が必要だ、という考え方が当たり前になりました。

 このような状況のもと、二〇〇六(平成一八)年に教育基本法が六〇年ぶりに改正されました。旧教育基本法は太平洋戦争敗戦(一九四五)直後の一九四七(昭和二二)年に成立したもので、日本語表記をローマ字化するように強い提言を含めていたことで有名な「アメリカ教育使節団報告書」が基になっていました。この時代遅れの旧教育基本法が改正されて新教育基本法が成立し、それに基づいて二〇〇八(平成二〇)年に新学習指導要領が公布されました。新学習指導要領で強調されているのは、論理的思考力、表現力の育成と伝統的言語文化の指導の二つです。

 わが学会は最近の二回の大会で次のようなテーマで研究を展開しました。

第一七回 論理的な「言語力」を育てる国語科の授業――新学習指導要領(案)の検討――

第一八回 「伝統的な言語文化」を活かす言語技術

 今回はこれらの理論的検討から一歩踏み出して、教師が小学生に「伝統的な言語文化」を教室で指導するにはどういう技術がいるのか、「学力がつく」とは生徒のどういう変化を言うのか、という指導技術を高める研究をしようと考えました。それが「『伝統的な言語文化』を深める授業力とは――あなたの言語力で子どもが育つ――」です。

 小学生に古典文法の講釈をしても、理解できるはずがありません。小学生に話し合いをさせようにも、古文の文章が読めなくては授業になりません。

 小学生が「伝統的な言語文化」を学ぶとは、何を目的にすることなのか。

 小学生が「伝統的な言語文化」を学ぶ授業とは、どういう授業が展開することなのか。

 授業が終わったとき、「伝統的な言語文化」を小学生が身につけたと評価できる尺度は何なのか。

 これらの課題に答えるために、大ベテランの授業者は授業をどう展開するか。その実際を各先生は、それぞれの目でしっかりご覧ください。そして、疑問、質問が生じたら、ためらわずにしっかりと授業者にぶつけてください。

 このようなすばらしい研究の場を提供してくださった高浜第一小学校校長・根本正雄先生、ほか関係者各位に深く感謝します。

 本大会が多くの熱心な会員に豊かな収穫をもたらし、国語教育の指導技術を発展させる機会となることを心から願っています。


  二〇一〇年三月   日本言語技術教育学会会長 /市毛 勝雄

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