国語科で育てる新しい学力5
読書活用能力の育成

国語科で育てる新しい学力5読書活用能力の育成

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学んだことを生活の中に生かせる「活用型読書指導」を提言

第5巻は「読書活用能力の育成」。持てる知識の活用、応用の力に欠けると裁かれたわが国の子どもたちに、不足領域の新しい学力をどのように心して培ったらよいか。この新たな難問に正対した中学教師の実践例を示す。読書活用能力を実践的に解明した問題作。


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ISBN:
978-4-18-323011-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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シリーズ「国語科で育てる新しい学力」(全五巻)刊行の弁 /野口 芳宏
T 読書活用能力とは何か
1 読書の目的─まず、その生産的自覚から
2 読書の活用─その具体的方法
U 言語技術「育成」の三つのポイント
1 即時性・即興性の重視
2 モデルを見せる、示範の重視
3 「知識の安定的行為化」の重視
V 授業のポイントと実践事例
一 「読書指導」は〈発信型授業〉を希求する
1 読書指導の成果は〈評価〉しにくい
2 読書指導の成果は他のメディアと比較してイメージされる
3 「カタルシス」を目的とした読書は他メディアに太刀打ちできない
4 「情報収集」を目的としてこそ読書は機能する
5 「読書に向かう態度」は学習活動の中で醸成する
6 読書指導は「情報収集」させる〈目的・意図〉こそが鍵となる
7 〈発信型授業〉の前には〈発信する態度〉の醸成が必要である
【A系列】〈発信する意欲〉を醸成するタイプの実践
二 「読書へのアニマシオン」で本を読む楽しさを体験させる
1 アニマシオンで「本の世界の入り口」に立たせる
2 「読み違えた読み聞かせ」で聞く力を育てる
3 「いる? いない?」で登場人物に注目する
4 継続的な取り組みが一年間で大きな「違い」となる
三 道徳教育を読書指導に生かす
1 「適書」を、「適者」に、「適時」与える
2 道徳の時間を起点として、読書環境を整える
3 読書意欲につながる価値葛藤を体験させる
4 テーマを据えて、本探しの技術を高める
5 鬼のキャラクターに目をつけて、読書経験を集積する
四 「ブックトーク」で読書活動の楽しさを実感させる
1 読書指導としての「ブックトーク」
2 「いのち」をテーマにブックトーク
3 ブックトークにチャレンジ!
4 準備をサポートする教師のかかわり
5 「ぼくが選んだ本を気に入ってほしい!」
6 学習を振り返って
五 「ブックトーク」で価値ある一冊を発見する
1 「ブックトーク」で幅広い読書へ導く
2 「構成シート」で本の絞り込みに誘う
3 「シナリオシート」でイメージ化を図る
4 「マイクロブックトーク」で詳細をつめていく
5 「教室プレゼンテーション」で聴衆との距離を近づける
6 「ブックトーク」でさらに読書の裾野を広げる
【B系列】 システム的な〈発信型授業〉で〈発信型学力〉を身につけさせるタイプの実践
六 四部構成で読書感想文を書く
1 「読書感想文の書き方」は指導されていない
2 「起承転結」の四部構成を伝える
3 読書感想文の今後を見通す
七 インターネットで情報を調べ、活用する
1 ネットで調べる
2 情報を絞り込む
3 ネットを引用する
4 手軽なネット利用の前に……
八 調べたことを「自分の言葉」で図鑑に
1 「青葉の森」で「総合的な学習」を
2 調べたいネタを集める
3 「ずかん」をつくろう
4 書いた本人も分からない……
5 「自分の言葉」でまとめる
九 「情報読み」で修学旅行のしおりをつくる
1 悲しき「しおりづくり」
2 発信型授業を支える「情報読み」
3 「ねらい」と「条件」に沿った計画づくり
4 「ビフォー作文」でプランを疑似体験
5 言語技術としての「情報読み」
一〇 「引用」で「自分の考え」に説得力をもたせる
1 「本文の内容理解」を二時間で終える
2 「自分の考え」を仮決定させる
3 「引用」の効果をさらに高める
4 書き始める前に「チェックポイント」を伝える
5 互いの文章を読み合う
W 生活場面における日常育成
一 学級経営の場で
1 〈学級文庫〉で本のある教室をつくる
2 教育課程に〈読書活動〉を位置づける
二 家庭生活の場で
1 読書環境を整える
2 飛ばし読みをおさえる
三 生徒指導の場で
1 朝の一〇分間読書を徹底する
2 教養漫画を効果的に利用する
あとがき /堀 裕嗣

シリーズ「国語科で育てる新しい学力」(全五巻)刊行の弁

   監修・編者 /野口 芳宏


 格言に「その国の若者を見れば、その国の将来がわかる」というものがある。この文言の意味は深長かつ重厚である。どんな若者であるか、ということは、つまりその若者がどんな教育を受けたか、ということに他ならない。まさに「人は、人によって人になる」からだ。その故にこそ「教育は国家一〇〇年の大計」とまで重視されるのである。

 我らが母国、我らが祖国のこの日本で、最も重要なるその教育が今大きく揺らぎ、荒れ、悩んでいる。會ての日本の子どもたちは、世界でも上位の成績をとり続けてきたというのに、最近の国際的な学力調査では、どの学年でも、どの教科でも学力の低下が明らかになり、大きな社会問題にさえなりつつある。加えて、不登校やひきこもり、いじめや自殺や、少年非行など、子どもをめぐる状況は一向に思わしくない。今、日本の教育事情、子ども事情は明らかに一つの危機に瀕している。天然資源に乏しい我が国の最大の有力資源は人材、人智、人間力であるというのに、である。

 このような状況に対して、文部科学省を中心とする関係諸機関は、何とか事態を好転させようと努力を続けている。それらの解決策の重要な二つとして「言語力の向上」が挙げられた。古今、東西を超えていわゆる基礎学力は「読み、書き、算盤」である。この三大基礎学力の内の実は二つが「言語力」である。「読み、書き」の力はすべての学習の基底になるもので、ここの弱体化はすべての学力の低下の元凶となる。今こそ「言語力の増強」が急務と心得るべき時だ。とりわけ、言語力増強の中核的教科である国語科教育の充電は焦眉の急、喫緊の要事である。折しも、学習指導要領の改訂期である。かかる事態の最中にあって本シリーズ全五巻を世に問う意義は大きく、責任もまた重い。我々は、第一線、第一級の教師仲間の全力を傾けて本書の執筆に当たったことを特記したい。

 全五巻のシリーズタイトルを「国語科で育てる新しい学力」とした。パソコンに代表される電子機器の発展と普及は、様々な言語環境となって我々の日常生活のありように変化を来している。爆発的な情報機器の発達は、これまでには存在しなかった新たな社会問題をさえ生み出しつつある。機器を活用し、善用し、我々の福祉の増進を図り、具視していくためには、「人間」の原点を常に見つめつつ、最大限度の「文化」である「言語」の健全活用力の育成を常に心がけなければならい。明治図書出版社の老練編集長江部満氏の思いもまた本シリーズに熱く注がれている。

 第一巻は『論理的な思考力の育成』である。論理的な思考の育成は、言語行動主体がとりわけ二一世紀の国際社会で求め続け、高め続けていかねばならない課題である。子どもの頃から、筋道立てて考える力を育成するための技法の解明が、この巻の主眼である。論理的な表現力の育成を期する第二巻の基礎を明らかにする巻でもある。

 第二巻は、『論理的な表現力の育成』である。自分の考えを筋道立てて、相手に快く受け入れられるように表現する言語技術は、人間関係の複雑化や国際化や高齢化の進むこれからの時代に必須の資質となる。それへの指針を示す。

 第三巻は、『表現のモラルリテラシーの育成』である。情報化時代と言われる現代は、情報の氾濫時代でもある。玉石混淆、善悪雑多な情報の飛び交う中で、「表現のモラル」の教育が極めて重要になってきた。新らしく重い課題だ。

 第四巻は『コミュニケーション能力の育成』である。人と人とのかかわり合いが貧困になり、人心の空虚化が問題になっている。物質文明が極度に発達した現代の人と人との通じ合い、伝え合いの力をどう育成するかを明示する。

 第五巻は『読書活用能力の育成』である。持てる知識の活用、応用の力に欠けると裁かれた我が国の子どもたちに、不足領域の新しい学力をどのように心して培ったらよいか。この新たな難問に正対した中学校教師の実践に注目あれ。

 本シリーズが、賢明、有望な読者諸質の手に渡り、混迷に喘ぐ我が国日本の教育の打開への一指針となり暗夜を照らす一灯となることを私は確信している。本書に対するご批判、叱正を戴ければ幸いである。

著者紹介

堀 裕嗣(ほり ひろつぐ)著書を検索»

「教師力BRUSH‐UPセミナー」代表,「研究集団ことのは」代表。北海道湧別町生まれ。札幌市立中学校国語科教員として,言語技術教育・文学教育・学級経営・生徒指導など,幅広く発言を続けている。

教師力BRUSH‐UPセミナー

2003年,北海道内の5つの民間サークルの融合体として設立。「北海道の教育を元気にしよう」を合言葉に様々な活動を展開している。

野口 芳宏(のぐち よしひろ)著書を検索»

1936年2月 千葉県君津市に生まれる。

公立小学校教諭,教頭,校長を歴任。

2001年3月 北海道教育大学教授(函館校)退官。

現在,植草学園大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 読書活用能力育成のための具体的な指導法が分かりやすい。
      2025/3/450代・小学校教員

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