- まえがき
- T 「発信型の読みの授業」は21世紀の国語の授業である
- 一 なぜ「発信型の読みの授業」が必要か
- 二 「発信型の授業」とは何か
- 三 「発信型の読みの授業」とは何か
- 四 文学教材の基礎指導
- 五 説明文教材の基礎指導
- 六 「発信型の読みの授業」学習活動例一覧表
- 七 指導上の留意点
- 八 「発信型の読みの授業」実践例の項目
- U 「文学」教材の発信型授業
- 〈小学校〉
- 1 おかみさんは神様になれましたか/低学年・感想型
- 2 井上さんはどんな人/中学年・感想型
- 3 源さんという人は/高学年・感想型
- 4 最後の注文を予想しよう/高学年・プレゼンテーション型
- 〈中学校〉
- 5 性格を分析しよう/1年・感想型
- 6 「落ち」を考える/1年・感想型
- 7 うそを見破ろう/1年・プレゼンテーション型
- 8 矢を何本射たか/2・3年・感想型
- 9 描写を見つけよう/2・3年・描写型
- 10 発言に説得力があったのは誰か/2・3年・描写型
- 〈高等学校〉
- 11 描写の書き方/描写型
- V 「説明文」教材の発信型授業
- 〈小学校〉
- 1 キーワードを探そう/中学年・要約型
- 2 作文「漢字テストで満点を取るコツ」/中学年・構成型
- 3 説明文教材を要約してみよう/高学年・要約型
- 4 感想文の発表会を開こう/高学年・要約型
- 5 要約文の書き方を知ろう/高学年・要約型
- 6 「運動会の見どころ」を説明する/高学年・構成型
- 7 自分の考えをノートに書いて発表する/高学年・構成型
- 8 運動会の作文を書こう/高学年・構成型
- 9 ニュース番組を作ろう/高学年・プレゼンテーション型
- 10 説明文の構成表を作ろう/高学年・プレゼンテーション型
- 〈中学校〉
- 11 細部の記述のコツは/1年・構成型
- 12 感想文の書き方を知ろう/2・3年・要約型
- 13 旅行作文の書き方は/2・3年・構成型
- 14 私は他人とここが違う/2・3年・構成型
- 15 賛成論か反対論を書く/2・3年・構成型
- 16 「反論文」を書こう/2・3年プレゼンテーション型
- 17 小さなディベートをしよう/2・3年プレゼンテーション型
- 〈高等学校〉
- 18 評論文を要約しよう/要約型
- 19 「出し物の案」のプレゼンテーションをしよう/プレゼンテーション型
- W 「発信型の読みの授業」が生まれるまで
まえがき
「発信型」という言葉は、一九九七年『教育科学/国語教育』四月号に書いた私の論文の表題「現行の教科書に『発信型』はない」に使ったのが最初である。使ったのは確かに私だが、この「発信型」という新しい概念に着目し、これまでの国語教育を「受信型」だと見抜いたのは、明治図書編集長の江部満氏である。
どんな学習でも、基礎的知識の不要なものはないが、これまでの国語の授業内容はどこまで行っても「基礎・基本」の連続であって、終点がどこにあるのか聞いたことがない。それを、「受信型の国語教育」だったからだと断定してみると、到達目標がさっぱり見えてこなかった理由がいっぺんにわかった。
国語の授業に対する見方を、このように根本的にひっくり返して「発信のための言語技術を教える」としてみると、私は自分の進む道が見えてきた。『教育科学/国語教育』一九九七年十月号に「『受信型』から『発信型』への授業改革」という特集を組んでいただいたときも、覚悟は決まっていた。その後の一年間の同名の本誌連載は大いに苦しかったが、その内容が私の研究会のたくさんの諸君によって具体的に授業化して、本書となった。
これまで「受信型」の授業でテキストの説明を口だけですませてきた先生方に、「発信型」の授業に転換していただくには、生徒に積極的にかかわる必要のある技術指導(小論文指導)という壁を突破していく覚悟が必要になる。
しかし、その壁も、本書のいくつかの実践例を読んでいただけば、意外に容易であることが理解していただけるであろう。「発信型」の授業の核心はシンプルな言語表現を、段階を追って、くり返し体験させることにある。
多くの先生方が、一日も早く「発信型」の授業の楽しさを生徒に伝えてくださるのを期待している。
二〇〇二年二月 /市毛 勝雄
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- 明治図書