- はじめに
- 序章 特別活動改訂のキーポイント
- 1 改訂の経緯
- 2 特別活動の改訂の基本方針
- 3 改訂のポイント解説
- 4 目標に関する新旧対照表−資質・能力を中心に構成された目標−
- 1章 「第1 目標」のポイントと解説
- 1 特別活動で育みたい力
- 2 知識・技能(何を知っているか,何ができるか)
- 3 思考力・判断力・表現力等(知っていること,できることをどう使うか)
- 4 学びに向かう力,人間性等(どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか)
- 2章 「第2 各活動・学校行事の目標及び内容」のポイントと解説
- 〔学級活動〕
- 1 学級活動の目標と育てたい資質・能力
- 2 「学級や学校における生活づくりへの参画」の内容
- 3 「日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」の内容
- 4 「一人一人のキャリア形成と自己実現」の内容
- 5 学級活動の内容の取扱い
- 〔児童会活動〕
- 6 児童会活動の目標と育てたい資質・能力
- 7 「児童会の組織づくりと児童会活動の計画や運営」の内容
- 8 「異年齢集団による交流」の内容
- 9 「学校行事への協力」の内容
- 10 児童会活動の内容の取扱い
- 〔クラブ活動〕
- 11 クラブ活動の目標と育てたい資質・能力
- 12 「クラブの組織づくりとクラブ活動の計画や運営」の内容
- 13 「クラブを楽しむ活動」の内容
- 14 「クラブの成果の発表」の内容
- 〔学校行事〕
- 15 学校行事の目標と育てたい資質・能力
- 16 「儀式的行事」の内容
- 17 「文化的行事」の内容
- 18 「健康安全・体育的行事」の内容
- 19 「遠足・集団宿泊的行事」の内容
- 20 「勤労生産・奉仕的行事」の内容
- 21 学校行事の内容の取扱い
- 3章 「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」のポイントと解説
- 1 主体的・対話的で深い学びの実現
- 2 集団や社会の形成者としての見方・考え方
- 3 特別活動の全体計画と各活動・学校行事の年間指導計画の作成
- 4 学級経営の充実と生徒指導との関連
- 5 幼児期における教育との接続及び関連
- 6 障害のある児童への指導内容や指導方法の工夫
- 7 道徳科などとの関連
- 8 学級活動,児童会活動及びクラブ活動の充実
- 9 指導内容の重点化,内容間の関連や統合
- 10 集団の場面で行うガイダンスと個に応じるカウンセリング
- 11 異年齢集団による交流の重視
- 4章 特別活動の新活動プラン
- 〔学級活動〕
- 学級や学校における生活づくりへの参画1 低学年 みんなが楽しめるドッジボール大会をしよう
- 学級や学校における生活づくりへの参画2 中学年 一年間の振り返りがんばったね会をしよう
- 学級や学校における生活づくりへの参画3 高学年 一人一人が輝く学級オリンピックを開こう
- 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全4 低学年 みんなにっこり,気持ちのいい伝え方
- 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全5 中学年 目指せ!姿勢の達人!!
- 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全6 高学年 命を守る行動
- 一人一人のキャリア形成と自己実現7 低学年 正しい掃除
- 一人一人のキャリア形成と自己実現8 中学年 充実した4年生に向けて
- 一人一人のキャリア形成と自己実現9 高学年 充実した家庭学習
- 〔児童会活動〕
- 児童会の組織づくりと児童会活動の計画や運営10 みんなで協力して学校をもっと明るくしよう
- 異年齢集団による交流11 心を込めて6年生を送ろう
- 学校行事への協力12 「ふれあいハッピー全校遠足」を成功させよう
- 〔クラブ活動〕
- クラブの組織づくりとクラブ活動の計画や運営13 アスレチックリレーの計画を立てよう
- クラブを楽しむ活動14 浴衣を着て涼む会をしよう
- クラブの成果の発表15 極めた技を全校集会で発表しよう
- 〔学校行事〕
- 儀式的行事16 ○○小 ○歳ハッピーバースデー!
- 文化的行事17 異年齢交流を活用した音楽会の指導
- 健康安全・体育的行事18 PDCA サイクルを生かして成長を促す運動会
- 遠足・集団宿泊的行事19 よりよい人間関係を築く移動教室
- 勤労生産・奉仕的行事20 オリパラ教育を通して自尊感情やボランティアマインドを育てる職業体験
- 付録 小学校学習指導要領 第6章 特別活動
- 執筆者紹介
はじめに
今般の学習指導要領の改訂のポイントを端的にまとめると,次の三つになる。
○子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し,連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すること。
○実社会で生きて働く汎用的な資質・能力を三つに整理し,各教科等が共有して,確かな学力の育成を目指すこと。
○道徳教育の充実や体験活動の重視,体育・健康に関する指導の充実により,豊かな心や健やかな体を育成すること。
言い換えれば,世界的潮流となっているコンピテンシーベースでの教育課程改革である。具体的には,社会(地域や企業等)という出口を意識し,そこに必要不可欠な資質・能力を国として見定め,学校教育において教科等の枠を越え,またはそれぞれの教科等の特質に即して確実に育成していくことを目指した教育課程の実現である。このような教育課程改革の方針は,学校を一つの社会と捉え,そこでの児童生徒による集団生活づくりの活動を通して,社会で生きて働く実践的な態度を育成してきた特別活動の教育課程上の役割を,これまで以上に強く意義付けることになった。
具体的には,教科等で学んだことを汎用的な能力にまで高める特別活動の教育課程上の役割が明確に示された。また,特別活動で育成することを目指す資質・能力について,あえて,これまで目標において示してきた要素や特別活動の特質などを勘案して,重視すべき視点として「人間関係形成」,「社会参画」,「自己実現」の三つに整理した。そして,全教育活動を通して行うキャリア教育の中核の時間として特別活動を位置付けた。加えて,いじめの未然防止や学びに向かう集団の育成など学級経営や生徒指導,学校運営などに欠かせない教育活動としても価値付けられた。
期せずして,このような特別活動が,日本式の人間教育として,また非認知的能力,情動的スキルなどの人格特性の育成に寄与する教育活動として,海外から注目されたり,高い評価を得たりもしている。このことは,我が国においても,数値において明らかにされるような学力に偏った学力観に陥ることなく,人間性や社会性のような資質・能力の育成と相まってこそ,真に社会で必要な力となることへの再認識にもつながっているように思う。また,そのような資質・能力こそ,組織的で計画的な指導が欠かせないとの認識も高まりつつあるように思う。これらのことが,各学校の特別活動の重要性の再認識につながり,具体的に指導改善に結び付くことを期待したい。
本書では,今般の小学校特別活動の学習指導要領の改訂の要点を分かりやすくまとめた。また,指導改善の方向性も具体的に示した。ぜひ,各学校において,本書を効果的に活用し,確実に児童の「人間関係形成」,「社会参画」,「自己実現」などの資質・能力が育つ特別活動として展開できるようになることを願ってやまない。
平成29年10月 /杉田 洋
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- 明治図書