- はじめに
- 序章 外国語科改訂のキーポイント
- 1 外国語科改訂の経緯
- 2 外国語科改訂の基本方針
- 3 全体の構成
- 4 指導事項
- 5 言語活動例
- 1章 「第1 目標」のポイントと解説
- 1 外国語科の目標の構成
- 2 外国語科の目標の捉え方
- 2章 「第2 各言語(英語)の目標及び内容等」のポイントと解説
- 目標のポイントと解説
- 1 英語の目標
- 2 聞くことの目標
- 3 読むことの目標
- 4 話すこと[やり取り]の目標
- 5 話すこと[発表]の目標
- 6 書くことの目標
- 内容のポイントと解説
- 1 内容
- 〔知識及び技能〕2 英語の特徴やきまりに関する事項
- 〔思考力,判断力,表現力等〕3 情報を整理しながら考えなどを形成し,英語で表現したり,伝え合ったりすることに関する事項
- 4 言語活動に関する事項(小学校から中学校への接続)
- 5 言語活動に関する事項(聞くこと)
- 6 言語活動に関する事項(読むこと)
- 7 言語活動に関する事項(話すこと[やり取り])
- 8 言語活動に関する事項(話すこと[発表])
- 9 言語活動に関する事項(書くこと)
- 10 言語の働きに関する事項
- 指導計画の作成と内容の取扱いのポイントと解説
- 1 指導計画の作成と内容の取扱い
- 2 指導計画の作成上の配慮事項
- 3 内容の取扱いの配慮事項
- 4 教材選定の観点
- 3章 外国語科の新授業プラン
- 第1学年
- 1 小中連携の入門期の新授業プラン
- Hello, new friends!
- 2 英語で指導する新授業プラン
- A Letter from Nancy
- 3 話すこと[やり取り]の新授業プラン
- あこがれのボストン
- 4 話すこと[発表]の新授業プラン
- 大切なものについてスピーチしよう
- 第2学年
- 1 4技能統合型の新授業プラン
- My dream & Future Job
- 2 英語で指導する新授業プラン
- Homestay in the United States
- 3 話すこと[やり取り]の新授業プラン
- What Can We Do for Others?
- 4 話すこと[発表]の新授業プラン
- There is 〜. You can enjoy 〜ing.を使って,自分の町を紹介しよう
- 第3学年
- 1 他教科と関連した新授業プラン
- Energy and the Environment
- 2 英語で指導する新授業プラン
- Narrative Reading & Writing
- 3 思考力・判断力を伸ばす新授業プラン
- Places to Go, Things to Do
- 4 主体的で対話的な新授業プラン
- Why do You Have to Work?
- 付録 中学校学習指導要領 第2章 外国語
- 執筆者紹介
はじめに
学習指導要領の改訂は,新たな教育の始まりを意味するため期待感を伴う。昭和22(1947)年に出されて以来,高度経済成長など我が国の置かれた現状に対応するため,校内暴力など生徒の実態を改善するため,などその時々の状況に合わせてほぼ10年ごとに改訂されてきた。平成20年は,生徒の学力の実態,特に教科における学力の問題点の解決を目指した改訂であった。今回の改訂は,前回の延長線上でもあるが,それに加えて,世界共通の学力を付けることを目指した改訂であると言えよう。グローバル化の波が教育界にも押し寄せ,学校で付ける学力についても世界各地で整理され,基礎的なリテラシー,思考力,社会スキルという大きなくくりでまとまってきた。それらの資質・能力を,我が国の学校教育においても育成するという方向性が盛り込まれた改訂である。
外国語科も例外ではない。中核的な目標が,外国語によるコミュニケーション能力の育成であることに変わりはない。だが,これまで外国語を技能と捉えてその習得を目指す指導が中心的に行われてきたが,今回の改訂では,目標においても内容においても「思考力,判断力,表現力等」に関する独立した記載がなされ,コミュニケーションの場面に関わる思考力等の育成が強く求められている。単に外国語の運用ができる段階にとどめるのではなく,場面,目的,状況に合った運用の仕方を考え,実際にコミュニケーションができるレベルに高めなければならないのである。
小学校への外国語科の導入も中学校への影響が大きい。外国語活動が小学校3,4年に下され,5,6年では外国語科が導入された。外国語教育が実質的に小学校から開始されることになった。アジア諸国だけを見てもほとんど全ての国で既に実施されており,やっと追いついたことになる。中学校1年は入門期でなくなり,かなり高いレベルからのスタートとなることを意識した指導が必要である。その対応ができなければ卒業時のゴールが低くなるばかりか,生徒たちの外国語学習への意欲の低下を招く可能性が高い。
さらには,目標が重層化,具体化されたことも大きな改訂である。数行の文で記載されていた短い目標が,学力の三要素ごとに示された。さらに英語の目標は,五つの領域別に具体的な事項が設定された。しかも,それらの目標は,世界的に広く用いられている英語能力指標であるCEFRを参考に設定されているため,学校種間の学びを接続させた系統的なものになっている。
「生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること」と,指導の方向性が示されたことも特徴である。急速にグローバル化し,将来の予測が不可能な社会においては,課題や問題に直面したり,それらを見出したときに,自らで方法を見つけて解決する能力が不可欠である。学校教育では,知識や技能を活用して,積極的に解決する能力や態度を身に付けなければならない。しかも,他の人たちと協働して行うことで,より創造的な解決策が見つけられる。その過程を通して得られた汎用化される知識や技能が深い学びなのである。それを目指して授業が大きく変わることを期待している。
以上,改訂された学習指導要領について,変更の概要を述べたが,他にも「英語の授業は英語で」「語彙の扱い」などいくつもの変更点がある。
本書は,それらも含めて,学習指導要領の内容を,指導場面での例も挙げながら具体的に説明している。「中学校学習指導要領解説 外国語編」を読んでもなお不明な点を理解する参考にしていただきたい。さらには,各学年でポイントになる項目を取り上げて,授業展開の方法を,具体的な指導案や授業例の形で示している。現行の教科書の単元を取り上げているので,今の授業と比較することで,どのように変わるのか理解しやすくしている。授業づくりに役立て,学習指導要領の実現に活用していただければ幸いである。
末筆になったが,本書の発刊に当たっては,明治図書の木山麻衣子氏にたいへんお世話になった。学内外の業務に追われて編集作業が遅くなったことをお詫びするとともに,刊行できたことに心より感謝申し上げたい。
平成29年11月 /松浦 伸和
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- 明治図書
- 具体的な内容が多く,使いやすい。2023/7/2150代・中学校管理職
- 分かりやすく使いやすい2018/4/3040代・中学校教員
- 最新情報を理解できた2017/12/3050代・中学校教員