- まえがき
- 本書の使い方
- T 楽しくたくさん書く作文指導のスキル
- 1 どのような「書き手」に育ってほしいか――「考える」ために「作文身体」の育成を
- 2 「書けない子」という発想が出ない「入り」を
- 3 「作文指導」をどう位置づけるか――レシピの種類
- 4 どのようにレシピを行っていくか
- 5 ネーミングは大切
- 6 「作文指導」の現状
- 7 楽しくたくさん書く――「書いているとき」=「楽しいとき」
- U 100の作文指導レシピと活用のヒント
- 1 「書き慣れ・五感」 ――書き慣れる(導入) ▼17レシピ
- (1) なりきり物語――何かになりきって書く
- (2) 夢のアイテム工場――「あったらいいなアイテム」を考え説明書を書く
- (3) つけるぞ! キャッチコピー――短い言葉で書き表す
- (4) 吹きだしをうめろ!――絵や写真の登場人物のセリフを書く
- (5) わが子をよろしく!――おうちの人になりきって書く
- (6) ミニ小説家になろう!――絵や写真に合わせてミニ小説を書く
- (7) 口頭作文――話すことで「文意識」を身につける
- (8) テーマ作文――テーマに合わせて書く
- (9) パロディー――既成のお話などを書きかえる
- (10) エジソン――発想、アイデアを毎日書く
- (11) 生まれ変わり作文――生まれ変わったら? を書く
- (12) 連想作文――言葉から連想して文を書きつなげていく
- (13) 私はニュースキャスター――ニュース原稿を書く
- (14) オープニング作文――決められた「書き出し」に続けて書く
- (15) エンディング作文――決められた「書き終わり」につながる文章を書く
- (16) 五感地図――五感を使って地図を書く
- (17) ○○を色で表すと?――イメージを色で表す
- 2 「交流」 ――書き慣れから交流につなげる ▼8レシピ
- (18) 紹介します! 輝く○○!――よいところを紹介する文を書く
- (19) 私のおすすめはコレ!――おすすめの物や場所を紹介する文を書く
- (20) おしゃべり掲示板――教室に打ち込み掲示板を
- (21) 仲間へのメッセージなど――クラスのみんなに書く、お知らせで書く
- (22) 名探偵に挑戦!――名前を出さずにそのものを伝える文章を書く
- (23) いつ・どこで・だれが・何をした作文――書いてつなげて…
- (24) リレー作文――一人一文ずつ書き、相談してつなげていく
- (25) あなたの気持ち代弁します――先生や友達になりきって書く
- 3 「記録」 ――記録で書く ▼12レシピ
- (26) 視写――見て(視て)書き写す
- (27) 聴写――聞いて(聴いて)書く
- (28) 個条書きの鬼――番号をつけて個条書きでたくさん書く
- (29) 資料の活用――「読み手」に効果的な配置、構成は?
- (30) メモ術――効果的にメモをとる
- (31) 宝物のノート作り――国語の授業のノート
- (32) 日記――毎日少しでも書く
- (33) 日番日誌――日番(日直)がその日一日の記録を書く
- (34) レポート(報告書)を書く――状況・結果を知らせるために書く
- (35) パワーアップカード――日録を書く
- (36) 観察記録を書こう!――観察したことを記録する
- (37) 新聞テレビ欄風○○を作れ!――テレビ欄の構成を参考に書く
- 4 「読解」 ――文章を読解するために書く ▼8レシピ
- (38) 詩の「型」を使って1――ルナールさんに挑戦!
- (39) 詩の「型」を使って2――相田みつをさんに挑戦!
- (40) 視点変更――視点を変えて書く
- (41) エピソード0――物語の「以前」を書く
- (42) エピソード2――物語の「続き」を書く
- (43) 授業中に書くいろいろなこと――何のために書かせるのか
- (44) 私は脚本家――脚本を書くことで文章を深く味わう
- (45) 説明文を書こう!――事実を正確に順序立てて書く
- 5 「技法」 ――文章のルールや表現技法を扱う ▼12レシピ
- (46) 「ゴールの言葉」にご用心!――「思い」「気持ち」を伝えるには?
- (47) 原稿用紙の使い方――原稿用紙の使い方を知る
- (48) 文体・表記――書き表し方を知る
- (49) 文章構成――文の組み立てを考える
- (50) 書き出しの達人!――「書き出し」を工夫して書く
- (51) 書き終わりの達人!――「書き終わり」を工夫して書く
- (52) レトリック――比喩、擬人法、体言止め…ほか
- (53) 題名をつけろ!――題のつけ方のアイデア
- (54) ブックレビュー集作成!――本の内容を短く書き、編集する
- (55) キーワード作文――キーワードを使って作文を書く
- (56) ナビ作文――道を教える文章を書く
- (57) 読み返し(推敲)――書いた文章を読み返し、手直しする
- 6 「言語」 ――子どもたちの「語感」を養う ▼7レシピ
- (58) 言葉のマンダラ――関連する言葉を集めてマンダラのように書く
- (59) 名刺を作ろう!――「自分」や「変わった名前」を紹介する名刺を作る
- (60) オノマトペ――音や様子を表す言葉集め
- (61) 漢字コレクション――漢字にまつわることを書く、集める
- (62) マイ言葉辞典――言葉の意味を考えて書く
- (63) 随筆(エッセー)を書こう!――気の向くままに書く
- (64) ○○歳時記・風土記を作ろう!――学校独自の歳時記を作る
- 7 「総集編」 ――「レシピ」の積み上げの上に書く ▼21レシピ
- (65) 小説家になろう!――自分で考えてお話を書く
- (66) さすらいの吟遊詩人――いつでもどこでも詩を書く
- (67) 手紙・ハガキを書こう!――目的に応じて人に書く
- (68) 企画書を書こう!――読み手を意識して「企画」を書く
- (69) パンフレットをどうぞ!――パンフレットに学び、書く
- (70) 私は評論家!――批評文を書く
- (71) 新聞を書こう!――新聞にぎっしりとまとめる
- (72) ミニ意見文を書こう!――ある「事柄」に対して意見、考えを書く
- (73) ミニ紀行文を書こう!――旅行、遠足での体験、感想を書く
- (74) スピーチ原稿を書こう!――自分の主張を相手に伝えるために書く
- (75) 絵画実況作文――絵を描きながら文を書く
- (76) ストーリーポスターを描こう!――ポスターにストーリーを持たせる
- (77) 短歌・俳句・川柳――五七調で書く
- (78) ガイドブック作成――体験活動を旅行ガイドブック風に書く
- (79) 説明書をどうぞ!――「やり方」「使い方」を書き教える
- (80) むかしむかしあるところに…――自分の生い立ちを昔話風に書く…
- (81) マンガ文章化計画――マンガを文章にする
- (82) 秘伝! ○○指南書!――学習のまとめとして書く
- (83) 発行! パーソナルマガジン――自分だけの雑誌を作る
- (84) 卒業・修了文集作り――卒業前、学年修了時に書く
- (85) 未来日記――「なりたい自分」を書く
- 8 「作文環境」 ――作文指導を支える環境を整える ▼8レシピ
- (86) 読書――書くことを支える読書
- (87) どこで書くか?――書くのは教室だけじゃない!
- (88) 何に書くか?――書くのは原稿用紙だけじゃない!
- (89) 教室環境――作文を生む教室環境
- (90) 取材――情報を集める
- (91) 分かち合い――書いた後の交流
- (92) 「辞書」と「作文」――「辞書」と「作文」の往復
- (93) どっちの文ショー(文章)――文章を見る「視点」を持つ
- 9 「教師」 ――評価と「書き手」としての教師を考える ▼7レシピ
- (94) 教師のメモ術――教師がまず書く
- (95) 教師のノート術――教師が自分のノートに書く
- (96) 教師の読書術――アイデアを生み出す読書術
- (97) 知っておくとよい、この字数――使える「字数」を知っておく
- (98) 評価〜よき「読み手」であれ〜――作品の「評価」「評定」
- (99) 教室での配慮――教室は褒めるところ
- (100) 学級便りの発行――教師が書くということ
- あとがき
まえがき
子どもたちは「書ける自分」を知らない
この本は、子どもたちに毎日の学校生活の中で行ってきたさまざまな「書くこと」の実践を「一〇〇の作文指導レシピ」としてまとめたものです。一気にまとめたので、きちんと整理されていない荒削りな部分があるかと思いますが、「作文指導」に力を入れてきた結果、子どもたちは「作文」を好きになり、「書くこと」と隣り合わせでいることが「普通」になってきました。「先生、次何書くの?」と私に話してくれます。
子どもたちは私が想像していたよりもずっとたくましく、「言葉の世界」を創り出していきました。「書くこと」に自分を見いだしていきました。最初「作文嫌い」にほとんどの子が手を挙げていた教室が、三学期には全員「大好き」に一変するところを目の当たりにしてきました。子どもたちは「書ける自分」を知らないだけでした。それは担任する学年が変わっても同じでした。
三年生のある子は、二学期の中ごろから、白い用紙を配ると書くスペースがなくならないように最初から小さな小さな字で書くようになりました。「書きたくてたまらない」のだと言います。いつも読めないような字でぎっしりと書きました。「作文」のみならず、体育、図工、算数、社会と、さまざまなことに意欲を持って取り組むようになっていきました。この子だけではありません。クラスの子たち全員が「書くこと」を通して「がんばる自分」を見つけていきました。「一生懸命になるということは素晴らしいこと」だと発見していきました。子どもたちの姿は、「書けることが集中力を生み、何事にも根気よく取り組めるようになる」ことを示していました。
私は毎年「作文指導」を学級づくりの柱にしました。
子どもたちは大人の想像の範囲を軽々と超えてしまうような、大きなエネルギーと可能性を秘めています。「子どもだから」は失礼です。
われわれ教師の仕事は、書き方を教えずに、「あれもいいよ」「これもいいよ」と言うことではありません。書き方を教えずに「書けなくてもいいんだよ」と言うことでもありません。教師は、「こんな書き方があるぞ」「これについて書いてみよう」「ここで書いてみよう」「こんな書き出しがあるぞ」「こんな書き方をしている仲間がいるぞ」……そのようなことを子どもたちに毎日毎日アウトプットできる存在でなければならないと思います。それは「押しつけ」とは正反対に位置します。いろいろな視点で子どもたちに「書く機会」を与えたとき、それを超えてくる子どもたちの姿に驚きます。そしてもっとこうすればよかった、と反省します。自分の力量をもっと上げなければと反省します。しかしとにかく、「まずやってみる」ことで子どもたちは動きだします。言葉で一〇〇回「子どもの目の輝きを大切にしよう」と言うよりも、「一回書かせてみる」ことだと感じています。子どもたちにとってなによりなのは、「一〇〇の愛情」よりも「一のできる」ではないでしょうか。「できる」ことは自信を生みます。
現在、どんどん思いついた「書くこと」を試しているところです。この本の「レシピ」も、改良、付け足しを行っている発展途上です。書き上げてから「ここをこうすればよかった、これを入れればよかった」ということばかりです。
作文指導は教師が手軽にできなければ長続きしません。
気軽にページをめくりながら、「今日はこれやってみようかな」という感覚で使えるよう心がけました。ご批正ください。
なお、ここに作文実践をまとめることができましたのも、これまでの多くの先輩の先生方の実践の積み上げがあってのことです。
私は教室で子どもたちのことを「夢虫っ子(むちゅうっこ)」と呼んでいます。毎年発行する学級便り『夢虫(むちゅう)』にちなんだものです。「夢虫」は、「本の虫になれ」という言葉があるように、「夢の虫になれ」という願いからつけました。クラスのどの子もが、いろいろなことに夢中になり、「夢を追いかける虫」になってほしい、そう思っています。
そして私自身、教師としての「虫」でいたいと思います。
本書が、夢を同じくする「虫」である先生方に少しでもお役に立つことがあれば幸いです。
/森川 正樹
それにしてもよくぞここまでたくさんのレシピを開発なさったと敬服しております。
文章も分かりやすいですし,あちこちにちりばめられた関西人のユーモア,思わず笑ってしまいます(^v^)
本校の職員にも紹介していきたいと思います。
さらに,イラストもとっても素敵です。
森川学級では、子供達はいかにかっこいい文章を書こうか、と考えるので、自然と文章作りが楽しくなるようです。
今回出版していただいたことで、家庭でも先生のご指導の主旨をじっくり理解する機会ができ、大変有り難いです。
文章を書くことが好きになり、更にそれをきっかけにのびのびと自己表現できる子供達が増えていくと嬉しいですね。
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