- はじめに
- 1章 校長講話と「三方よし」
- 1 校長講話にかける私の思い
- 2 校長講話の理論的展望
- 3 「三方よし」の考え方
- 4 「三方よし」を目指した3つの校長講話
- 5 校長講話の自由記述のアンケート調査
- 6 児童の自由記述の結果
- 7 自校とD校における自由記述の各段階の文章例
- 8 校長講話の実践を振り返って
- 2章 心が温まる校長講話集
- 行事
- 講話1 入学式@おはようございます
- 講話2 入学式A決意
- 講話3 入学式B人生は,出発の連続(中学生向け)
- 講話4 始業式@日本一の学校
- 講話5 始業式A「三方よし」を目指す
- 講話6 始業式B校長先生は,くまモン好き
- 講話7 運動会@開会式
- 講話8 運動会A閉会式
- 講話9 運動会B開会式
- 講話10 運動会C閉会式
- 講話11 学芸会@学芸会に向けて
- 講話12 学芸会A学芸会を終えて
- 講話13 避難訓練@自分で判断し,行動する
- 講話14 避難訓練A判断力は,未来を予想する力
- 講話15 避難訓練Bすべての人のいのちを守る
- 講話16 卒業式@勇気
- 講話17 卒業式A大器晩成
- 講話18 卒業式B素晴らしい卒業生
- 講話19 修了式@「三方よし」の日本一の学校
- 講話20 修了式A散る桜 残る桜も 散る桜
- 4月
- 講話21 4月@素晴らしい挨拶のできる児童
- 講話22 4月A挨拶は,形と心が一致した美しさ
- 講話23 4月B自分から挨拶してみよう
- 講話24 4月C挨拶の習慣
- 講話25 4月D挨拶の試合
- 講話26 4月Eあ・い・さ・つ
- 講話27 4月Fオ・ア・シ・ス
- 5月
- 講話28 5月@返事の大切さ
- 講話29 5月A自分で判断し,行動し,責任をとる
- 講話30 5月Bよい習慣を身につけよう
- 講話31 5月C匠と言われる人
- 講話32 5月Dぞうさんの歌
- 講話33 5月E金子みすゞさんの詩
- 講話34 5月F松尾芭蕉の俳句
- 6月
- 講話35 6月@記録を破るということ
- 講話36 6月A見せたいもの
- 講話37 6月B「学ぶ」という字
- 講話38 6月C「困」という字
- 講話39 6月D「礼」という字
- 講話40 6月E家での復習
- 講話41 6月F勉強の仕方,やり方を学ぶ
- 7月
- 講話42 7月@道徳の勉強
- 講話43 7月Aいざというときには
- 講話44 7月B心の柔らかさ
- 講話45 7月C省略しては,いけないこと
- 講話46 7月Dハンマーでは錠前は開かない
- 講話47 7月E「酔生夢死」の生き方
- 講話48 7月Fコツコツ
- 講話49 7月G時はいのちなり
- 講話50 7月H臨海学校の思い出
- 講話51 7月I浦島太郎の話その1
- 講話52 7月J浦島太郎の話その2
- 9月
- 講話53 9月@一生懸命,一所懸命
- 講話54 9月Aかけがえのないいのち
- 講話55 9月Bいのちの大切さ
- 講話56 9月Cいじめの構造
- 講話57 9月D「いじり」はいけないこと?
- 講話58 9月Eいじめの授業
- 講話59 9月Fいじめの調査
- 講話60 9月Gいじめ防止標語コンテスト
- 講話61 9月Hあかり
- 講話62 9月I赤毛のロッソ
- 10月
- 講話63 10月@人生二度なし
- 講話64 10月Aマジックをみんなで楽しむ
- 講話65 10月B通り沿いの花壇
- 講話66 10月Cアジフライを食べるまで
- 講話67 10月Dタクシーでみんな「よし」
- 講話68 10月E伊能忠敬から学ぶ
- 講話69 10月F中江藤樹のお母さん
- 11月
- 講話70 11月@二宮金次郎
- 講話71 11月A孔子の言葉
- 講話72 11月B晴耕雨読
- 講話73 11月C校長先生のお友達
- 講話74 11月D見えない何かに導かれて
- 講話75 11月E明かりの下の燭台
- 講話76 11月Fゴミのハロウィン
- 12月
- 講話77 12月@心をこめて
- 講話78 12月A自分たちは何ができるか
- 講話79 12月B口はひとつ眼はふたつ耳はふたつ
- 講話80 12月Cダメな人間は,一人もいない
- 講話81 12月Dサンタクロース
- 講話82 12月E長い歴史のある学校
- 講話83 12月Fお帰り 寅さん
- 1月
- 講話84 1月@昭和の歌謡曲
- 講話85 1月A思いやりのある人は魅力的
- 講話86 1月B正直でいること
- 講話87 1月C自分は何のために生まれてきたのか
- 講話88 1月D感動する映画やテレビの条件
- 講話89 1月E結果の出せる人,出せない人その1
- 講話90 1月F結果の出せる人,出せない人その2
- 2月
- 講話91 2月@立派な社会人とは
- 講話92 2月A遅刻をするということ
- 講話93 2月B何事も自分次第その1
- 講話94 2月C何事も自分次第その2
- 講話95 2月D友達を勇気づける
- 講話96 2月E相手にとってよい友達
- 講話97 2月F本当の友達
- 3月
- 講話98 3月@反省する仕方を反省する
- 講話99 3月A幸せと不幸せ
- 講話100 3月Bよい習慣と悪い習慣
- 講話101 3月C困っている人を助けてあげて
- 講話102 3月D10年,20年,50年後の自分
- 講話103 3月E一期一会
- 講話104 3月F終わりよければすべてよし
- 講話105 3月G本当の喜び
- あとがき
はじめに
私は,毎朝,自校の南門で児童を出迎えています。南門の正面の交差点には車道があり,横断歩道がありません。車道の向こう側から登校してきた児童は,左右にある横断歩道まで迂回しなければなりません。しかし,車道には,車がほとんど通りません。そのまま交差点を渡れば南門に入れますが,どの児童も横断歩道まで迂回して登校します。
ある日,私は2年生の児童に声をかけました。
「毎日,横断歩道まで遠回りして偉いね。でも,もし,校長先生が,ここに立っていなかったら,横断歩道まで遠回りしていますか?」
私がそう尋ねると,その児童は何のためらいもなく答えました。
「はい,そのまま車道を渡ります」
その児童は,「規則の尊重」「生命の尊さ」などの道徳的諸価値の理解によって,横断歩道を渡ってきたのではありませんでした。私がそこに立っているか,いないかという状況を判断して,横断歩道を渡ってきたのです。これは,その児童に限ったことではありません。大人だって,その場の状況を判断して行動することがあります。
道徳性を育成することを目標としている道徳教育にとって,これは避けては通れない重要な課題であると考えます。かりに毎週行われる道徳科の授業で,児童がねらいとする道徳的諸価値を理解したとしても,はたして,道徳性を養うことはできるのでしょうか。
校長は,このような課題を抱える中で,道徳教育を充実させるためにリーダーシップを発揮しなければなりません。道徳教育の全体計画,年間指導計画,別葉を作成しても,それだけでリーダーシップを発揮したことにはなりません。児童の道徳性を,どのように養っていけばよいかを教師に具体的に指導しなければならないと思います。そんな思いから,私は,校長講話の充実を考えたのです。
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- 明治図書
- もう少し量があるとよい2021/3/20イチゴ