- はじめに
- Chapter1 教科書教材別ですぐに使える!各領域の指導アイデア&ガイド
- 指導アイデア&ガイドの使い方・6の視点
- 話すこと・聞くこと
- 1 知りたいことを質問し,文章にする
- ともだちのこと,しらせよう(1年生)
- 2 相手の発言を受けて話をつなぐ
- そうだんにのってください(2年生)
- 3 共通点・相違点を見つけて対話する
- 山小屋で三日間すごすなら(3年生)
- 4 自分の役割を意識しながら話し合う
- クラスみんなで決めるには★(4年生)
- 5 話の意図を考えてきき合い理解し合う
- きいて,きいて,きいてみよう(5年生)
- 6 資料を使って,効果的なスピーチをする
- 今,私は,ぼくは(6年生)
- 書くこと
- 1 観察したことを詳しく書く
- しらせたいな,見せたいな(1年生)
- 2 事実を分かりやすく報告する
- 新聞を作ろう(4年生)
- 3 具体的な事実や考えをもとに,提案する文章を書く
- 私たちにできること★(6年生)
- 読むこと
- 1 事柄の順序を考えながら読む
- じどう車くらべ(1年生)
- 2 台詞や動作化を加えながら物語を楽しむ
- おおきなかぶ(1年生)
- 3 順序を考えながら内容を捉える
- たんぽぽのちえ(2年生)
- 4 文中の言葉から人物の気持ちを想像する
- スイミー(2年生)
- 5 文章を読んで感想を持ち,自分の考えを伝え合う
- ありの行列(3年生)
- 6 場面を比較しながら読み,感想や考えをまとめる
- ちいちゃんのかげおくり(3年生)
- 7 文章の関係を考えながら筆者の考えを捉える
- アップとルーズで伝える(4年生)
- 8 登場人物の気持ちの変化を読み,話し合う
- ごんぎつね(4年生)
- 9 要旨を捉え,考えを伝える
- 言葉の意味が分かること(5年生)
- 10 優れた表現に着目して読む
- 大造じいさんとガン(5年生)
- 11 文章構成を捉え自分の意見を表現する
- 時計の時間と心の時間(6年生)
- 12 登場人物の関係性を理解し,その生き方を話し合う
- 海の命(6年生)
- Chapter2 Q&Aでよく分かる!国語科の授業づくり&指導のポイント
- Q01 音読はどのように指導したらいいの?
- Q02 初発の感想をどのように書かせたり,授業で生かしたりしたらいいの?
- Q03 書くことが苦手な子どもにどのような指導をしたらいいの?
- Q04 メモを効果的にとらせるためには,どのようにしたらいいの?
- Q05 インタビューを成功させるためには,どのようにしたらいいの?
- Q06 話を受けてつなげるとはどんなこと?
- Q07 授業の中で,どのように意見を交流させたらいいの?
- Q08 交流型のスピーチをさせるためには,どのようにしたらいいの?
- Q09 「話し合い」を整理させるにはどのようにしたらいいの?
- Q10 発言を簡潔にさせるためには,どのように指導したらいいの?
- Q11 「話し合い」の評価はどのようにしたらいいの?
- Q12 発問はどのようにしたらいいの?
- Q13 授業中における見取りと支援をどのようにしたらいいの?
- Q14 国語科の指導案(展開案)はどのように書いたらいいの?
- Q15 付けたい言葉の力を身に付けさせるための授業をするにはどうしたらいいの?
- Q16 国語科の宿題はどのように出したらいいの?
- Chapter3 主体的・対話的で深い学びの実現と教材研究
- 1 国語科における「主体的・対話的で深い学び」とは
- 1 国語科における「主体的な学び」
- 2 国語科における「対話的な学び」
- 3 国語科における「深い学び」
- 2 国語科の教材研究
- 1 「話し合い」教材における教材研究の仕方
- 2 「物語文」教材における教材研究の仕方
- 3 「説明文」教材における教材研究の仕方
- おわりに
- ★は,ICT機器活用プランを示しています
はじめに
令和2(2020)年,世界中がコロナ禍となり,政治・経済・教育等の在り方が前人未踏の領域に突入しました。それと併せ「新しい生活様式」の提案がなされました。学校教育現場では「新しい学習様式」という考え方が登場し,それに応じた指導の在り方が全国各地の教育現場では模索されています。
このような状況下で子どもたちが,今まで以上に自律し,たくましく生き抜いていくために教師には,想定外・未知の事象に対して,これまで学習してきた力を総動員させ,自分事として主体的に事象を解決しようとする力の育成が,一層求められます。
そのことは教育だけには留まりません。現状は,どの分野においても先行き不透明であり誰しもが明確に今後のビジョンを描くことができません。しかし,どのような状況下に置かれても立場,国籍,研究分野等を越え,それぞれの持てる力を結集しながら議論し,方向性を定めることが重要です。状況如何によっては,軌道修正を加えたり新たな考えを生み出したりするといった「他者と協働しながら解決しようとする力,生み出す力」が早急に求められます。このことを教師である私たちがこれまで以上に意識し,子どもたちに責任を持って教え導くことが必須となり,大きな重責を担うことは明らかです。
また令和2年度は,小学校において「主体的・対話的で深い学び」を授業改善の柱とした学習指導要領が完全実施となりました。さらにそれを具現化した小学校国語教科書教材の内容も新しくなりました。そこには「QRコード」の記載が見られたり,「情報の扱い方」を指導する頁が設けられたりしています。デジタル教科書の内容もこれまで以上に充実したものとなっています。
指導者である教師には,思考力・判断力・表現力を網羅した「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」領域等で上記に示した内容を加え「主体的・対話的で深い学び」をキーワードとした授業づくりを行うことが求められます。それらを勘案するとこれまで以上に,授業展開について綿密な計画を立て,「付けたい力」を見極め,それに迫るための言語活動を設定しなければなりません。さらにそれらを確実に見取るための評価を行い,それをもとに授業の軌道修正を図らなければなりません。
例えば「対話的な学び」の基盤となる「話すこと・聞くこと」領域に着目すると以下@〜Cのような力の育成が一層求められます。
@ 目的や解決したい事柄について何度も思考・判断を繰り返す(議論の対象となる意見の構築を行う)。そこで,相手に理解してもらえるよう言葉の選定,構成の工夫等に配慮しながら音声で表現する力を育成すること。
A 音声の保存は,多領域と比べると困難な面がある。だからこそ子どものインプットメモリや感覚だけに頼らない指導の工夫が必要となる。例えば,必要な情報を聞き取ったり,聞き抜いたりした情報を整理するといった力を育成すること。
B @Aを踏まえ誠意をもって,粘り強く,相手とやりとりをくり返し問題解決に向かい話し合うための力を育成すること。
C @ABを基盤に問題解決を目的とした話し合うことの意義を理解し,学びに向かう力を養うこと。
以上のことを踏まえ本書は,とりわけ小学校教育現場で指導者として教師を目指そうと勉学に励んでいる学生,教師としての経験年数が浅い指導者を対象としています。そこで本書はChapter1「教科書教材別ですぐに使える!各領域の指導アイデア&ガイド」,Chapter2「Q&Aでよく分かる!国語科の授業づくり&指導のポイント」,Chapter3「主体的・対話的で深い学びの実現と教材研究」で構成しました。読者の方がどのChapterから読んでいただいてもすぐに実践できたり,日々の授業づくりの中で出てくるだろう疑問点に対応できたりするよう構成しています。各Chapterの構成は以下の通りです。
Chapter1 教科書教材別ですぐに使える!各領域の指導アイデア&ガイド
○目指す子どもの姿 ○具体的な活動 ○単元計画 ○指導のポイント ○そのまま使える!活動の流れ ○プラスα
Chapter2 Q&Aでよく分かる!国語科の授業づくり&指導のポイント
○国語科の授業づくり,日々の授業実践の中で出てくるであろう内容を網羅したQuestion ○具体的な事例を踏まえたAnswer
Chapter3 主体的・対話的で深い学びの実現と教材研究
○国語科における「主体的・対話的で深い学び」とは ○「話し合い」「物語文」「説明文」教材それぞれにおける教材研究の手順
Chapter1においては,子どもに対して付けるべき「付けたい力」の提示とそれを受けた単元計画と指導のポイント,そして,本書を手に取った方ができるだけすぐに授業で活用したり授業展開のアイデアとなったりするよう,子どものやりとり例,発問例,板書例,ワークシート例等を記載し,授業内容について具体的なイメージが持てるようにしています。Chapter2では,読者の方々が日々の国語科の授業の中で曖昧になっていたり,もう少し知りたいと思われていたりする内容を「Q&A方式」で示し,疑問解消等の一助となるようにしました。さらにChapter3では,授業する上で欠かせない教材研究について述べています。
本書を手に取ってくださった読者の方が,本書を契機に国語科の学習指導について理解を深め,少しでも自信を持って授業に臨んでもらえることを心から願っております。
2021年6月
編著者 /長谷 浩也・重内 俊介・清瀬 真太郎
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- 明治図書
- 教材別で掲載されているので、本当にすぐに使えるところが良かったです。2022/1/440代・小学校教員
- 教職歴の浅い先生、教員を目指す学生、国語科の指導に自信がない先生等、どの方が見られても分かりやすい内容になっています。実践してみようと思わせてくれる一冊です。2021/6/2740代・小学校教員