- はじめに
- 第1章 1人1台端末の効果的な活用方法
- 端末は何のために活用するのか
- 端末を活用した「数学的活動を通した学び」の充実
- @「観察や操作,実験などを通して,問題を見いだす場面」での活用
- ア 解決すべき問題を見いだすこと【その1】
- ア 解決すべき問題を見いだすこと【その2】
- イ 条件変更などを通して解決すべき新たな問題を見いだすこと
- A「問題を解決するために必要なデータを収集する場面」での活用
- ア データを整理し,分析すること
- イ 数量の関係について調べること
- ウ 必要な情報を収集すること
- B「数,式,図,表,グラフなどを作成して処理する場面」での活用
- ア 試行錯誤を通して数量や図形などに関する性質を見いだすこと
- イ 生徒から出された考えを可視化し表現すること
- ウ 表やグラフを作成しその読み取りを通して考察すること
- C「問題解決の過程を振り返り,評価・改善する場面」での活用
- ア 多様な考えを比較検討すること
- イ 授業や小単元の終盤で自己の学びを調整すること
- ウ 「問題の発展的取扱い」による問題づくりをすること
- D「遠隔地との意見交流をする場面」での活用
- ア 場所,距離にとらわれず意見を交流すること
- イ 時間について効率的に意見を交流すること
- 第2章 1人1台端末に生きる数学授業の「問題」
- 1年
- 【正負の数】
- 1 身の回りにある正負の数を探そう!
- 2 魔方陣の謎に迫ろう!
- 3 身長の平均を工夫して求めよう!
- 【文字の式】
- 4 積み木の本数を求めよう!
- 【方程式】
- 5 自分の間違えやすいところは?
- 【比例・反比例】
- 6 ランドルト環をつくろう!
- 7 比例のグラフをいろいろかいてみよう!
- 【平面図形】
- 8 移動して重なる三角形はどこ?
- 【空間図形】
- 9 身の回りにもあるのかな?
- 【データの分布】
- 10 60分未満の待ち時間ですむのは何時台?
- 11 どの紙吹雪が適している?
- 【統計的確率】
- 12 表と裏が出ることはどちらが起こりやすい?
- 2年
- 【式の計算】
- 13 連続する偶数の和は□になる?
- 14 式の値を簡単に求めるにはどうすればいい?
- 15 どの部分が変わり,どの部分が変わらない?
- 【連立方程式】
- 16 それぞれの定価はいくら?
- 【一次関数】
- 17 どんなグラフになる?
- 【平行と合同】
- 18 3つの角にはどんな関係がある?
- 19 凹四角形の角の大きさを求めよう!
- 【三角形と四角形】
- 20 BE=CDといえる?
- 21 等しい三角形を見つけよう!
- 【データの比較】
- 22 得点力が高いのはどの国?
- 【確率】
- 23 さいころはどの目が出やすい?
- 24 当たりやすいのはどっち?
- 3年
- 【多項式】
- 25 面積図で考えよう!
- 26 どんな条件に設定すれば成り立つ?
- 27 速算方法はどんな仕組みになっている?
- 【平方根】
- 28 平方根の大小を比べるにはどうすればいい?
- 29 どのように計算するといい?
- 【二次方程式】
- 30 よりよい解き方を見つけよう!
- 【関数y=ax^2】
- 31 ブランコのひもは,どのように求めたらいい?
- 32 写真が撮られるのは何秒後?
- 【相似な図形】
- 33 複合図に潜む相似な三角形を見つけよう!
- 【円】
- 34 どの部分が変わる,変わらない?
- 【三平方の定理】
- 35 地図上で富士山が見える範囲はどうなる?
- 【標本調査】
- 36 母集団の傾向は推測しやすくなる?
- おわりに
はじめに
1人1台端末が導入されて,約2年が経とうとしています。ところが依然として,
「どんな場面で,どのように活用すると効果的なのかわからない」
「日々の授業で活用できない」
といった声が聞こえてきます。
端末が常に生徒の手元にあり,生徒は文房具のように端末を使えるようになりましたが,残念ながらまだまだ多くの学校現場では,有効に活用できていないというのが実態のようです。
そこで本書の作成に当たり,筆者3人は中学校学習指導要領(平成29年告示)に示される数学科の目標の達成を目指して,
「端末(ICT)は生徒の資質・能力を育成するために活用する」
という考えを確認しました。
数学的に考える資質・能力を育成するためには,数学的活動の一層の充実が求められています。数学的活動とは,「事象を数理的に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決する過程を遂行すること」です。本書では,数学的活動を充実させるために「問題解決的な学習」を日常の授業の基本と押さえ,端末(ICT)を活用することで,より豊かな数学的活動が行われることを目指しています。
本書は2つの章から構成されており,上記の背景を基にして1人1台端末(ICT)を日常の授業づくりで活用していただけるようになっています。第1章は,文部科学省(2020)「教育の情報化に関する手引(追補版)」で示されている,五つの場面におけるICTの効果的な活用例を参考にしています。
@観察や操作,実験などを通して,問題を見いだす場面
A問題を解決するために必要なデータを収集する場面
B数,式,図,表,グラフなどを作成して処理する場面
C問題解決の過程を振り返り,評価・改善する場面
D遠隔地との意見交流をする場面
第1章では,これらの場面ごとに授業において端末(ICT)を活用する視点とその有効性や,端末(ICT)を効果的に活用するための授業づくりのポイントについて実践事例を用いて解説しています。
第2章では,1人1台端末に生きる36本の問題解決的な学習における「問題」と実践事例を紹介しています。こちらは,現課程の中学校1年から3年までの全単元を網羅しており,1単元1本以上の事例を紹介しています。第1章の五つの場面と第2章の実践事例を紐付けながら,これらの全ての事例で提示する「問題」を配置し,その解決過程において端末(ICT)をどの場面で,どのタイミングで活用すべきかについてまとめています。
端末(ICT)を活用することを通して,多くの生徒の資質・能力がよりよく育成されることに寄与できれば幸いです。
2023年1月 /赤本 純基・浅賀 亮史・菅原 大
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- 明治図書
- 具体的な内容でわかりやすい。2024/2/2650代・中学校管理職
- 日常の授業に生かせる書籍であると思いました。授業の流れ、板書、端末の活用が全て記載されているというところが非常に素晴らしく、活用しやすく思います。2023/3/1730代・中学校教員
- 理論のみならず、実際のツール、板書、授業の様子が惜しみなく記載されています。本書を真似ることは明日からできます。本書を参考に教材研究にも改めて取り組むきっかけにもなります。勉強になる1冊です。2023/3/1730代 教員
- 必須になっているICT活用が各単元で分かりやすくまとめられており、とても参考になりました。2023/2/530代・中学校教員