- はじめに
- 第1章 生徒の視点で授業づくりを見直そう
- 理科教育の歴史
- 生徒の素朴な疑問を引き出すには
- 生徒の素朴な疑問に寄り添う学習計画づくり
- 望ましい1クラスの人数と学習班づくり
- 第2章 生徒の素朴な疑問から始まる授業
- 素朴な疑問別 授業の実践例
- 中学1年
- [化学領域][物質のすがた] 炭酸飲料を冷やして飲むのはなぜ?
- [物理領域][光と音] ダイヤモンドは透明なのにどうしてあんなに光輝くの?
- [物理領域][力と圧力] ヒトは浮くの? 沈むの?
- [物理領域][力と圧力] 大きなかぶが抜けるときみんなが吹っ飛ぶのはなぜ?
- [地学領域][火山と地震] 火山灰が降るとどんな被害が出るの?
- 中学2年
- [生物領域][生物と細胞] 植物も呼吸をしているの?
- [生物領域][動物の体のつくりと働き] 鳥はどうして高い空を長時間飛べるの?
- [化学領域][化学変化] 実験の薬品の量はどうやって決めているの?
- [化学領域][化学変化] 物質が結びつくとき何が起きているの?
- [物理領域][電流] 電流と電圧って何が違うの?
- [物理領域][電流] 送電線に使われる金属は?
- [地学領域][気象観測] 冬は乾燥しているはずなのになぜ窓ガラスや壁に水滴がつくの?
- [地学領域][気象観測] 100℃でなくても水が蒸発するのはなぜ?
- [地学領域][日本の気象] 飛行機が着陸する向きはどう決まるの?
- [地学領域][日本の気象] どういうときに雪になるの?
- 中学3年
- [生物領域][遺伝の規則性と遺伝子] 赤と白の花からピンクの花はできないの?
- [生物領域][生物と環境] いろいろな形の葉があるのはなぜ?
- [生物領域][生物と環境] 人類はどうして増え続けられるのかな?
- [化学領域][水溶液とイオン] イオン飲料って何?
- [化学領域][酸・アルカリとイオン] pHってどうして中性が7なの?
- [化学領域][酸・アルカリとイオン] 胃の検査で飲むバリウムって何?
- [物理領域][力学的エネルギー] ケーブルカーはどうして2台あって真ん中ですれ違うの?
- [物理領域][エネルギー] みんなが自由に電気を使ったり止めたりしているけど大丈夫なの?
- [物理領域][科学技術の発展] 原子力発電は安全なの?
- [物理領域][科学技術の発展] 飛行機の後ろの翼って何のためにあるの?
- [地学領域][天体の動きと地球の自転・公転] 自分の星座はいつ見ることができるの?
- [地学領域][太陽系と恒星] 月の満ち欠けの周期とカレンダーは関係あるの?
- [地学領域][太陽系と恒星] 熱帯地方で夕日を見るなら何時?
- [地学領域][太陽系と恒星] どうして潮の満ち引きが起きるの?
- おわりに
はじめに
〜生徒の素朴な疑問に寄り添う理想の理科の授業を求めて〜
本書は,中学校の理科の先生方に授業の参考にお読みいただくのを前提にしています。私たち理科の教員は,子供のころから自然科学に興味があったはずです。自然科学の研究者を目指しておられた方もいらっしゃると思います。しかし,教員をしている以上は,生徒との関わりを大切にしているはずです。私たちは,「理科ぎらいをなくそう」とか「基礎基本の定着」ということについ気をとられがちですが,もっと大切なことがあると思います。それは,自然科学に興味がある生徒との関わりです。放課後,理科室の片づけをしていると何人かの生徒がやってきていろいろ聞いてきます。「じゃあやってみるか」といってちょっとした実験をすることもあります。こういう時間はとても楽しいひとときです。私は,このような関わりが理科の授業の理想ではないかと思っています。
これまで,理科の授業について様々な提案がなされてきました。本書で述べていることは,現状の中学校で実施するのは簡単ではないかもしれません。しかし,私たちもそうだったし,自然科学に興味があり素朴な疑問を先生としゃべりたいと思う生徒たちがいるはずです。ですから,生徒の素朴な疑問から始まる理科の授業があってもよいと思います。そもそも,自然科学が成立したのは,人々の自然への素朴な疑問と夢の実現の欲求ではないでしょうか。理科の授業の参考にお読みいただくと冒頭に述べましたが,まずは,生徒との楽しいおしゃべりを想定しながらお読みいただきたいです。
2023年8月 /大久保 秀樹
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- 明治図書
- 理科の先生ならぜひ手にとってください!2024/5/630代・中学校教員