- まえがき /浜本 純逸
- T 国語教育基礎論の成果と展望
- 序 基礎論の概観と課題 /浜本 純逸
- (1)国語教育論の集大成
- (2)教師教育のための国語科教育学樹立の自覚
- (3)認知科学研究の導入
- (4)「国語」という言語認識と国語科
- (5)日本語教育研究との連携
- (6)社会の構造的変化と国語教育研究
- おわりに
- 1 国語科目標論の成果と課題 /田近 洵一
- (1)戦後教育における目標論――言語用具説と人間形成の問題
- (2)言語機能主義に立つ目標観
- (3)二元的目標論批判と認識・思考を基軸とする目標論
- (4)言語主体形成の目標論
- (5)認識力の問い直し
- (6)〈母語あるいは日本語〉の教育の視点からの問い直し
- (7)今後の課題
- 2 国語教育課程論の成果と展望 /桑原 隆
- (1)昭和20年代のカリキュラム開発およびその実践に関する研究
- (2)子どもの側からのカリキュラム開発と実践
- (3)学習指導要領の改訂――国語科と「総合的な学習の時間」
- (4)諸外国のカリキュラム開発に関する研究
- 3 国語学力論の成果と課題 /浜本 純逸
- (1)国語学力論の成果
- (2)国語科学力研究の課題を展望する
- 4 国語科評価論の成果と展望 /益地 憲一
- (1)戦後国語科評価論の概観
- (2)最近20年間の国語科評価論の成果と課題
- (3)新しい評価研究の動き――まとめにかえて――
- 5 国語教育思想論の成果と展望
- 1 国語教育思想の展開 /府川 源一郎
- はじめに
- (1)「国語」は国民国家を作り出した
- (2)「文学」も国民国家を作り出した
- (3)国語教育と日本語教育
- (4)そのほか検討されるべき「国語教育の思想」のいくつか
- 2 言語教育としての国語教育と日本語教育 /甲斐 睦朗
- はじめに
- (1)国語教育界のさびしい現状
- (2)「連携」の意味
- (3)新プロ・教育チームの試み
- (4)新プロ・教育チームの研究総括
- (5)国語教育,日本語教育連携のために
- (6)国語科教育の在り方
- 3 地域から照射する言葉の教育 /村上 呂里
- はじめに
- (1)〈東北〉から――「方言詩論争」をめぐって
- (2)〈沖縄〉から――「深刻な沈黙」と「声の文化」
- (3)地域に根ざした言葉の教育研究と実践の成果
- おわりに
- 4 生活ことばから照射する言葉の教育 /白石 寿文
- はじめに
- (1)生活語と生活ことば
- (2)生活語・方言研究からの照射
- (3)外からの国語教育界への照射
- (4)生活ことばから照射する
- おわりに
- U 話すこと・聞くことの学習指導研究の成果と課題
- 序 話すこと・聞くことの教育研究史の概観と本章の課題 /吉田 裕久
- はじめに
- (1)1980年代における聞くこと・話すことの学習指導研究
- (2)1990年代における話すこと・聞くことの学習指導研究
- おわりに
- 1 話すこと・聞くことの学習指導目標設定に関する研究の成果と展望 /藤森 裕治
- (1)話すこと・聞くことの学習目標の特質
- (2)学習目標設定における三つの柱
- (3)研究の動向と成果
- (4)展望と今後への課題
- 2 話すこと・聞くことの教育課程に関する研究の成果と課題 /甲斐 雄一郎 /長田 友紀
- (1)話すこと・聞くことの学習指導をめぐる問題状況
- (2)話すこと・聞くことの「特設」カリキュラム
- (3)学校教育における話すこと・聞くことの位置づけをめぐって
- 3 話すこと・聞くことの教材・教材開発に関する研究の成果と展望 /田中 俊弥
- はじめに
- (1)〈声〉の発見にもとづく教材・教材開発
- (2)音声の科学にもとづく教材・教材開発
- (3)話し合いの方法や形態にもとづく教材・教材開発
- (4)指導の系統化にもとづく教材・教材開発
- (5)総合的な学習の時間に関わる教材・教材開発
- (6)臨床の知にもとづく教材・教材開発
- (7)教材・教材開発論の基底
- おわりに
- 4 話すこと・聞くことの学習指導方法に関する研究の成果と展望 /中村 敦雄
- はじめに
- (1)学習指導方法の普及と深化
- (2)学習指導方法に関する考究
- (3)話すこと
- (4)聞くこと
- (5)対話・討論・話し合い
- (6)音読・朗読・群読
- (7)その他の学習指導
- (8)教師の役割
- (9)音声言語を育てる学級・教室づくり
- (10)今後の展望
- 5 話すこと・聞くことの評価に関する研究の成果と展望 /高橋 俊三
- (1)1980・90年代の音声言語評価の概観
- (2)話すことの評価
- (3)聞くことの評価
- (4)話し合うことの評価
- (5)音読・朗読の評価
- (6)今後の展望
- 6 話すこと・聞くことの発達論的研究の成果と展望 /山元 悦子
- (1)これまでの話す・聞く能力の調査
- (2)発達心理学の知見から学ぶもの
- (3)新しい発達観に即した学習のあり方
- (4)カリキュラム構築へ向けて
- V 書くことの学習指導研究の成果と展望
- 序 書くこと(作文)の教育研究史の概観と本章の課題 /大内 善一
- (1)野地潤家・他による「作文教育の研究と今後の問題」に関する考察
- (2)田近洵一・飛田多喜雄らによる作文教育研究の整理と展望
- (3)大内善一による「作文教育研究の到達点と課題」に関する考察
- (4)本章の研究課題
- 1 書くこと(作文)の教育の理論・実践史に関する研究の成果と展望 /菅原 稔
- はじめに
- (1)書くこと(作文)の教育の理論・実践史把握の視点と方法
- (2)書くこと(作文)の教育の理論・実践史に関する研究の成果と展望
- (3)全国大学国語教育学会紀要『国語科教育』誌所収論文を中心とした書くこと(作文)教育の理論・実践史に関する研究の成果と展望
- (4)その他の書くこと(作文)教育の理論・実践史に関する研究の成果と展望
- 2 書くこと(作文)の学習指導の目的,目標と内容に関する研究の成果と展望 /高野 保夫
- (1)書くこと(作文)の学習指導の目的
- (2)書くこと(作文)の目標と内容
- (3)書くこと(作文)指導の内容充実の視点
- 3 書くこと(作文)の学習指導過程・方法に関する研究の成果と展望 /桑原 哲朗
- (1)技 能
- (2)認 識
- (3)言語生活
- (4)基礎研究
- (5)内的交渉と外的交渉
- 4 書くこと(作文)の学習指導の指導計画・教材・評価に関する研究の成果と展望 /大熊 徹
- はじめに
- (1)指導計画・教材・評価に関する研究の成果
- (2)計画・教材・評価に関する研究の展望
- 5 書くこと(作文)の教育の発達論的研究の成果と展望 /牧戸 章
- (1)論述の目的と方法
- (2)書くことの調査研究
- (3)書くことの教育の系統案
- (4)パラダイムシフト
- (5)今後の研究の課題
- 6 書くこと(作文)の教育について比較教育学的研究の成果と展望 /入部 明子
- はじめに
- (1)アメリカの書くことの研究
- (2)中国の書くことの研究
- (3)ドイツの書くことの研究
- (4)フランスの書くことの研究
- (5)イギリスの書くことの研究
- (6)ロシア(ソ連)の書くことの研究
- 7 書くこと(作文)の教育と関連諸科学とを関わらせた研究の成果と展望
- 1 新しいレトリック理論・文体論・文章心理学・文章論と関わらせた書くこと(作文)の研究の成果と展望 /大西 道雄
- (1)新しいレトリック理論と書くこととを関わらせた書くこと(作文)の研究の状況
- (2)文体論・文章心理学と関わらせた書くこと(作文)の研究の状況
- (3)文章論と関わらせた書くこと(作文)の研究の状況
- (4)研究成果の集約と展望
- 2 教育心理学・認知科学との関わりに関する成果と展望 /村井 万里子
- (1)論述の立場と目的
- (2)心理学・認知科学の方法を用いた研究
- (3)過去の研究にどう学ぶか
- (4)作文学習の目的と方法
- (5)高校生の「構想と展開力」の自覚
- W 読むことの学習指導の成果と展望
- 序 読むことの学習指導の研究史的展望 /小田 迪夫
- (1)本章の構成について
- (2)読むことの学習指導研究の概観
- 1 読むことの教育課程に関する研究の成果と展望
- 1 読むことの指導内容論の成果と展望 /高木 まさき
- (1)はじめに
- (2)読むことの教育への反省
- (3)文学教育論の展開
- (4)説明的文章指導の展開
- (5)おわりに
- 2 読むことの指導過程論の成果と展望 /竹長 吉正
- (1)「指導過程」と「実践のマンネリズム」
- (2)作品重視か,読み手重視か
- (3)「表現を意識した読み」の指導過程
- (4)補遺と結語
- 2 読むことの教材論研究の成果と展望
- 1 読むことの教材論研究の成果と展望 /渋谷 孝
- (1)類型的な教材論研究からの脱皮の動向
- (2)説明文の教材づくりを歪めた状況
- (3)説明文教材の評価を歪めた状況
- (4)説明文の教材論の昨今の状況
- (5)文学教材の研究の深化
- (6)文学の教材論の現在
- 2 教科書教材史研究の成果と展望 /橋本 暢夫
- (1)はじめに
- (2)基礎調査資料の充実
- (3)教科書教材史研究の成果
- (4)古典教材史研究の成果
- (5)教科書教材史研究の展望と課題
- 3 読むことの学習指導の実践に関する研究の成果と展望
- 1 読むことの学習指導実践史研究の成果と展望 /寺井 正憲
- (1)課題の設定と研究対象
- (2)実践研究文献目録
- (3)実践研究文献解題
- (4)実践研究文献レビュー
- (5)読むことの領域における実践研究文献レビューの意義と課題
- 2 文学的文章の領域における実践研究の成果と展望 /足立 悦男
- (1)歴史研究の方法
- (2)実践研究の方法
- (3)新しい研究分野
- 3 説明的文章の領域における実践研究の成果と展望 /植山 俊宏
- (1)本稿の前提及び背景
- (2)研究者・実践者・研究団体
- (3)主要な論点における議論
- (4)結 語
- 4 古典領域における実践研究の成果と展望 /世羅 博昭
- (1)古典(古文)領域の実践研究の成果
- (2)古典(漢文)領域における実践研究の成果
- (3)古典領域における実践研究の展望
- 4 読むことの研究におけるパラダイム論的検討
- 1 学習者論的アプローチの現状と課題 /山元 隆春
- (1)「学習者論的アプローチ」とはいかなるアプローチか
- (2)教師側の学習者像を立ち上げる研究
- (3)学習者をとらえる研究
- (4)学習者論的アプローチの可能性と課題
- 2 発達論的アプローチの成果と展望 /岩永 正史
- (1)認知科学の登場と読みにおける発達研究
- (2)読みにはたらくスキーマの発達
- (3)読者反応から見る発達
- (4)発達研究の成果と課題
- 5 読書研究の成果と展望
- 1 読書心理学の成果と展望 /塚田 泰彦
- (1)はじめに
- (2)読書心理学研究の概観――「読書科学」誌にみる1960年代から現在までの動向――
- (3)研究の課題と展望
- (4)むすびにかえて
- 2 読書指導の理論・実践研究の成果と展望 /増田 信一
- (1)43年版学習指導要領の読書指導重視
- (2)52年版学習指導要領の読書指導後退
- (3)学会機関誌や雑誌の読書特集号
- (4)『読書科学』の「特集・学校図書館の活性化」
- (5)最近の読書教育の主要著書
- (6)東京杉並区の「情報活用能力を育成するための読書指導」
- (7)日本学校図書館学会の活動
- X 言語事項の学習指導研究の成果と展望
- 序 言語事項の学習指導の内容及び研究の歴史的展望 /中洌 正堯
- (1)用語の規定
- (2)「学習指導要領」の言語指導
- (3)取り上げた課題と考察の目標
- 1 発声・発音の学習指導に関する研究の成果と展望 /余郷 裕次
- (1)発声・発音の基礎的能力の体系と系統
- (2)発声・発音の学習指導
- 2 文字・表記の学習指導に関する研究の成果と展望
- 1 仮名文字・表記の学習 /千々岩 弘一
- (1)仮名文字の学習指導に関する成果
- (2)表記の学習指導の成果
- (3)展 望
- 2 漢字の学習指導 /小林 一仁
- (1)漢字の学習指導,枠組みに関する研究
- (2)漢字の学習指導,実践上の具体的な方法に関する研究
- 3 書写の学習指導に関する研究への成果と展望 /松本 仁志
- (1)書写教育における研究体制の整備
- (2)書写教育の理論に関する研究の成果と展望
- (3)書写教育の実践に関する研究の成果と展望
- (4)書写教育史研究の成果と展望
- (5)書写教育と周辺諸科学との関連に関する研究の成果と展望
- 4 語句・語彙の学習指導に関する研究の成果と展望
- 1 体系的指導の内容と方法 /松川 利広
- (1)体系的指導とは
- (2)「取り立て」指導
- (3)成果と課題
- 2 理解学習・表現学習の中での指導の内容と方法 /井上 一郎
- (1)語彙指導の特質と研究の構造
- (2)学問的体系から見る語彙指導の内容と方法
- (3)学習指導要領の変遷に応じて考える
- (4)時代の推移によって考える
- (5)指導領域によって考える
- (6)研究者・実践者によって考える
- (7)語彙指導の可能性
- 3 国語科学習基本語彙研究の成果 /甲斐 睦朗
- (1)はじめに
- (2)「学習基本語彙」の規定
- (3)基本語彙選定のための語彙資料
- (4)学習基本語彙の提案
- (5)今後の課題
- 5 文法論・文章論・談話論の学習指導に関する研究の成果と展望 /安藤 修平
- (1)形態論・統辞論の学習指導
- (2)文章論・談話論の学習指導
- 6 言葉遣いの学習指導に関する研究の成果と展望 /北川 茂治
- (1)話し言葉と書き言葉の使い分けに関する学習指導
- (2)敬語の学習指導
- (3)方言と共通語の学習指導
- 7 言語感覚の育成に関する学習指導研究の成果と展望 /浅田 孝紀
- (1)言語感覚論の歴史と到達点
- (2)言語感覚論の学習指導
- Y メディアの利用と教育
- 序 メディアの利用と教育の研究史 /市川 真文
- (1)国語科教育におけるメディア
- (2)通史的概観
- (3)メディアの利用と教育への課題
- 1 放送・通信の利用と教育 /古賀 勝利
- (1)はじめに
- (2)学習指導要領における変遷
- (3)研究史について
- (4)実践の検討
- (5)展望――電子メディア時代の「放送・通信」――
- 2 教育機器の利用と教育 /木 展郎
- (1)「教育機器」と「視聴覚教育」
- (2)国語科教育における「教育機器」の活用
- (3)授業のシステム化と教育機器
- (4)これからの時代における「教育機器」と国語科教育
- 3 コンピュータの利用と教育 /荻野 勝
- (1)2001年8月,教育パソコン事情
- (2)BASIC・MS-DOSの時代
- (3)MSウインドウズの登場
- (4)LANとインターネット時代の到来
- (5)国語教育におけるコンピュータ利用
- (6)実 践 例
- 4 教育工学的研究の展開 /上田 祐二
- (1)1970〜80年代の授業設計におけるメディアの位置
- (2)コンピュータの進化とその教育利用のあり方
- (3)メディアを活用する授業論の展開
- (4)メディアを活用した国語科の授業設計における今後の課題
- Z 国語科教育学研究方法論
- 1 国語科教育学研究における研究方法論の位置 /望月 善次
- (1)はじめに:本節考察の範囲
- (2)国語科教育学研究におけ全国大学国語教育学会の位置と本節の具体的考察方法
- (3)「方法」を掲げた全国大学国語教育学会シンポジウム,課題研究等
- (4)「研究方法論」考察遅滞の原因
- (5)結節点としての卒業・修士論文指導
- (6)おわりに
- 2 国語科教育学研究の諸相
- 1 理論的研究の方法論 /松崎 正治
- (1)理論的研究の方法論の転換
- (2)パラダイム転換と国語科教育研究の変化
- (3)国民国家論と国語,カノン,ジェンダー
- (4)構築主義
- (5)ポストコロニアル批評
- (6)おわりに
- 2 歴史的研究の方法論 /有沢 俊太郎
- (1)方法論の重要性
- (2)代表的な方法論と事例
- (3)展望(文献学的方法の創造性)
- 3 比較国語教育学的研究の方法論 /藤原 和好
- (1)方 法 論
- (2)研 究 史
- (3)記述・解釈
- (4)摂取・交渉研究
- (5)対照研究
- (6)比較研究
- (7)今後の課題
- 4 実践的・実証的研究の方法論
- (1)調査研究の方法論 /島村 直己
- 1.調査研究をする上で必要なこと
- 2.言語能力調査
- 3.語彙調査
- 4.言語生活調査
- (2)国語科授業研究の方法論 /藤原 顕
- 1.問題設定
- 2.研究対象の拡張
- 3.対象に迫る研究方法の多様化
- 4.研究結果のもつ二つの実践的意味
- 5.展 望
- 3 国語科教育学研究の新展開
- ――関連諸科学との関連を中心に――
- 1 ナラトロジーと国語教育学研究 /松本 修
- (1)ナラトロジーの射程
- (2)ナラトロジーの導入
- (3)ナラトロジーの導入における問題点
- (4)語りの分析の例
- (5)語りの分析の枠組み
- (6)学習活動への展開
- (7)教育研究への展開
- 2 コミュニケーション論と国語教育学研究 /村松 賢一
- (1)コミュニケーション論の現在
- (2)国語科教育とコミュニケーション論
- (3)国語教育学研究とコミュニケーション論
- (4)まとめと今後の課題
- 3 新しい言語学と国語教育学研究 /難波 博孝
- (1)はじめに
- (2)全体の動向
- (3)語用論研究
- (4)認知言語学研究
- (5)談話研究
- (6)記 号 論
- (7)国語教育と関わらせた「げんご研究」の理論的展開
- (8)新しい「げんご研究」の動き
- 4 読者反応批評論と国語科教育学研究 /上谷 順三郎
- はじめに
- (1)1980年代の成果
- (2)1990年代以降の展開
- (3)今後の課題
- 4 国語科教育学研究方法論の教育
- 1 国内の教育─卒業論文の指導を中心に─ /鶴田 清司
- (1)なぜ卒業論文に注目するか
- (2)私の基本的な立場と方法
- (3)他大学における卒論指導の実態
- (4)ま と め
- 2 外国における教育――アメリカ・イリノイ大学大学院の場合―― /佐渡島 紗織
- (1)研究方法についての基本的な考え方
- (2)研究方法の分類
- (3)研究方法の教育課程
- (4)研究方法に関する専門家の育成
- (5)博士論文の書き方の指導
- (6)研究方法から見る大学院の発展
- あとがき /大槻 和夫
まえがき
戦前戦後を通じて,実に多くの人々が国語科教育学研究に取り組み,膨大な研究の成果を積み上げてきております。しかしながら,先行研究を踏まえ,それとの関連を明らかにしながら研究を進めるという点では,なお不十分であるとの指摘もあります。その一因は,問題意識の希薄さとともに,研究物があまりにも多く,個人の力でその成果と残された課題を十分に整理することが極めて困難であることにあると思われます。
この問題を克服するため,文献目録の作成,年鑑の出版,論集の編纂,個人別著作集の編集・刊行,著書・論文などによる研究史的研究成果の公表などが,これまでにも行われてきました。全国大学国語教育学会でも,1980年,「創立30年にして到りえた総力をあげて,戦後今日に至るまでの国語科教育の歩みを回顧し整理し,さらにその視点に立って80年代の国語科教育への展望を試み,その成果を『講座 国語科教育の探究』(全3巻,明治図書)として集成」(まえがき)するなどの努力が続けられてきました。
爾来20年,国語科教育学研究には次々に新風が吹き込まれ,新たな展開も生まれてきました。時あたかも,本学会は創立50周年を迎えました。新しい世紀の始まりとともに,本学会も次の段階へと進みたいと思います。そのためには,戦後国語科教育学研究の歩みを,特に最近20年間に重点を置きつつ確かめ,その成果を整理するとともに,これからの国語科教育学研究への展望を切り開く仕事に,学会の総力を挙げて取り組む必要があると考えました。
1999年3月の常任理事会において,本学会創立50周年記念事業を行うことを決定し,同年10月の総会で記念事業実行委員会を発足させることが承認されました。記念事業実行委員会は,上記の仕事を記念事業の最重要課題として提案し,常任理事会,理事会,総会でそれぞれ承認されました。それを受けて,2000年度の2回にわたる大会では,統一主題「国語科教育研究の歴史と展望」のもと,六つの分科会を設け,課題研究発表を行いました。
さらに,この課題研究のコーディネーター全員による編集委員会を設置し,課題研究の成果を踏まえつつ,構想を練り直し,『国語科教育学研究の成果と展望』を,学会創立50周年を記念して出版する企画を立て,多くの会員に執筆をお願いしました。
本書によって,これまでの研究ではどのような問題が取り上げられ,どのような方法で研究が進められ,どこまで解明されていてどのような課題が残されているかを明確に知ることができます。現在研究を進めている方にとっては自分の研究の位置がわかり,これから研究を進める方にとっては何をどのような方向に向けて研究していくべきかが示唆されています。21世紀が開かれた今,このように豊饒な可能性をはらんだ『成果と展望』が刊行できることは,全会員の大きな喜びです。
本書が,これから国語科教育の実践・研究に取り組もうとする人々に広く活用され,国語科教育の実践・研究の向上・発展に寄与することができれば,こんなにうれしいことはありません。
大槻和夫編集長をはじめ編集委員ならびに執筆者の皆様に敬意と感謝の意を表します。
最後になりましたが,本書の出版をお引き受けくださいました明治図書出版,とりわけ種々のご助言・ご協力を賜りました江部満氏に厚く御礼を申し上げます。
平成14年(2002年)2月
全国大学国語教育学会理事長 /浜本 純逸
是非復刊してください。
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