- 監修のことば /瀬川 榮志
- 伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」ワークの特長
- T 伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」の必要性
- 1 伝え合う力を支える「対話」
- 2 「対話」を可能にするための場面設定とその特徴
- 3 対話集団の指導に最適なステップワークの学習法
- U 「対話」の基礎技能ワーク
- 1 どんなふうに話せばいいかな?
- 2 ねえ、ねえ、聞いて!
- 3 好きなことわざを説明しよう
- 4 絵送りテレパシー
- ※発表のしかた(教室掲示用)
- V 自然に話したくなる、楽しい「対話」ワーク
- 1 私の好きな人や物は、これ!
- 2 ショウカイしまショウ!
- 3 あの人にインタビュー
- 4 対話劇をしよう
- W 「対話集団」の基礎・基本ワーク
- 1 どんな話し方で話そうかな?
- 2 ぼくのわたしのベスト5
- 3 プラス思考ゲーム
- 4 ぬり絵でGO!
- X 自然に話し合いたくなる、楽しい「対話集団」ワーク
- 1 サイコロDEスピーチ
- 2 応えんします! あなたの夢
- 3 ぼくもわたしもカウンセラー
- 4 こんな学校になったらいいな
- 5 お話リレー
- 6 大ぼら大会をしよう
- 7 本物はだれだ?
- 8 どっちのトークショー!
- 9 1年をふり返ってHAPPYグラフ
- Y 自分と対話しよう
- 1 それぞれの立場になって
- 2 こんなとき、どうする?
- 3 どちらがいい?
監修のことば
――「伝え合う力」を高めるためにステップワークで『対話力』を鍛える――
中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志
新しい時代に生きていく子供には、豊かな心と強い意志力と逞しい行動力が必要です。
加えて、人間が人間として充実した生き方をするためには、友達と励まし合い、磨き合い、助け合いながら共に向上していこうとする望ましい相互の協力・協調の関係が重要であると思います。
いろいろな情報が氾濫し、価値観が大きく揺れ動いている現代の社会においては、大人の世界でも「生きる力」に連動する「人間関係力」はもちろん必要です。さらには、平和を希求し人類愛に基づく対話が成立できないような情況にある国際社会においても高い理念や哲学・思想・文化を根底にし、客観性・普遍性を基調とした高度な「人間関係力」が必要であると信じています。
このように考えていくと、世界の中の日本人として国際社会に伍して行く国民を育成するには、国際人として生き抜くための条件としての「人間力」を支える「人間関係力」を育むことが重要な課題であると考えています。
新しい学習指導要領の目標には「伝え合う力」を高めることを位置づけ強調しています。変動の激しい今日の世相に対応した適切な問題提起であり、日々子供と共にある私たち教師は、その理念や意義を深く思索し真の日本人育成につながる「伝え合う力」指導の原理・原則を追究し具体策を講じることが大切です。
21世紀の教育を拓く重要課題である「人間関係力」教育の究極のねらいは、価値ある情報を収集・構成・発信する能力とコミュニケーション能力との両者の統合力の獲得であると考えます。従って、「話す・聞く」活動や「読む・書く」場面での伝え合う活動を通して内容的価値へ接近し高揚しなくてはならないのです。
にぎにぎしく話し合いをしても人間形成に寄与したり、伝え合う技能・能力が定着したりしなければ、言語の教育としての立場を明確にした国語科における「人間関係力」の指導とは言えないと思います。しかも具体的な言語行為で学び方を学びその行為が学習活動や日常の言語生活に価値ある行動として生きて働くことが必須条件です。
ワークシートによる学習は、以上のような理念や原理・原則に基づく実践が必要であると思います。つまり、価値ある言語行動に連動する行動学習としてのステップワークの開発が重要な課題です。
本書『伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」ワーク』の第一の特徴は、低・中・高学年の言語能力の発達段階に即して、対話法が「わかる⇒かわる⇒できる」という向上的変容課程を重視し、確実に「伝え合う力」が定着するように仕組んでいることです。しかも、その力が他教科や総合的学習、さらには日常生活に波及・応用できるように構想しています。第二の特徴は、対話力を獲得する過程に対話活動をレベルアップし的確にステップを踏みながら技能能力を定着していくようにシステム化していることです。つまり、いきいきと楽しく対話活動を展開するプロセスで、対話スキルが身に付くように工夫されているのです。
このスペシャルステップワークは、「埼玉21世紀の国語教育を創る会」代表の山本直子先生をはじめ、武市幸子・草村久美子・藤田恵子の諸先生が具体的な実践を重ね理論的に実証して作成しました。常時「子供を愛し研究に徹する」精神で一貫した研究体制と価値生産研究の所産です。ほんとうにご苦労さまでした。
明治図書の教育図書企画室代表の江部満様には本書の企画から刊行まで温かいご支援をいただきました。心からお礼を申し上げます。
本書の活用によって、一人一人の子供があるときは優しくある場面では厳しく助け合い励まし合いながら対話活動を展開し人間関係力が育っていくことに役立つようにと願っております。
平成15年5月29日
-
- 明治図書