- はじめに
- 1章 教育課程の仕事術
- 教育課程を作成する方法
- 年間指導計画を作成する方法
- 「個別の指導計画」を作成する方法
- 「個別の教育支援計画」を作成する方法
- クラス編制・グループ編成をする方法
- 教科書を選定する方法
- 通常の学級の授業に参加する方法
- Column ネーミングから見る特別支援教育
- 仕事術
- 01 教育課程は,学級としての方針を明確にする/02 教育課程では,教育目標,年間行事予定,授業時数をチェックする/03 「個別の指導計画」の前に,「年間指導計画」を作成する/04 「年間指導計画」は,もともと存在するものをアレンジしながら作成する/05 これまでの「個別の指導計画」を根本的にチェンジする/06 年間指導計画をもとに,学習の「方法」と「内容」を調整・変更する/07 「個別の教育支援計画」の主語は「教師」にする/08 「個別の教育支援計画」は,自立活動の視点を取り入れる/09 クラス編制は,学年がなるべくそろうようにする/10 グループ編成は,場に応じていろいろつくる/11 教科書選定に正解を求めない/12 授業用に「学級図書」として数冊購入する/13 通常の学級の教師と「個別の指導計画」を共有する/14 子どもの安全管理について検討する
- 2章 教科指導の仕事術
- 国語科の授業づくりの方法
- 算数科の授業づくりの方法
- 理科の授業づくりの方法
- 社会科の授業づくりの方法
- 体育科の授業づくりの方法
- 音楽科の授業づくりの方法
- 図画工作科の授業づくりの方法
- 家庭科の授業づくりの方法
- 道徳科の授業づくりの方法
- 外国語活動・外国語科の授業づくりの方法
- 生活単元学習・総合的な学習の時間の授業づくりの方法
- 特別活動の授業づくりの方法
- Column 知識や技能が断片的になりやすい
- 仕事術
- 15 国語科は,言葉や視点が広がるようにする/16 国語科は,「文章の読みやすさ」と「発問のわかりやすさ」を工夫する/17 算数科は,多様な学習の「方法」を用意する/18 算数科は,「合理的配慮」と「特別支援教育」の両方の視点をもつ/19 理科は,既存のまとめ方にこだわらない/20 理科は,対象物を見やすくすることを考える/21 地理的分野は,子どもがよく知っている「身近なもの」について「問い」を重ねる/22 歴史的分野は,「昔と今の変化」に着目する/23 体育科は,同じ運動でも,バリエーションを増やしながら行う/24 体育科は,ゲームのルールを弾力化・簡素化する/25 音楽科は,楽器や楽譜を子どもが使いやすいものにする/26 音楽科は,子どもの優位な特性を生かした「リズム」の指導をする/27 図画工作科は,発達段階に応じた合理的配慮をする/28 図画工作科は,「手順」と「動線」を構造化する/29 家庭科は,5・6年生を対象に個別の学習課題を設定する/30 家庭科は,既存の製作活動の目標を調整・変更する/31 道徳科は,「日常的によく使われる」道徳的価値のある言葉を学ぶ/32 道徳科は,子どもの実態に応じたワークシートを用意する/33 外国語活動・外国語科は,「good!」をたくさん言えるようにする/34 外国語活動・外国語科は,いろいろな教材を作成する/35 生活単元学習・総合的な学習の時間は,その違いをもとに授業づくりをする/36 総合的な学習の時間は,「教育課題」との関連を図る/37 係活動は,様々なバリエーションを用意する/38 学級会は,教師が話し合いを促進させる
- 3章 教科指導以外の仕事術
- 自立活動を行う方法
- 交流及び共同学習を行う方法
- 毎日の活動(朝の会・帰りの会,給食,清掃)を行う方法
- 日常生活の指導を行う方法
- Column 宴会から見る特別な支援
- 仕事術
- 39 自立活動は,個々の子どものアセスメントに使用する/40 自立活動は,どのような授業でも行っていく/41 交流及び共同学習は,必要な支援体制を確認する/42 交流及び共同学習は,既存の活動からできるものを増やしていく/43 毎日の活動だからこそ,子どもたちの意欲を高める/44 毎日の活動は,自立活動や教科等の学習と関連させる/45 日常生活の指導は,そのスキル獲得に応じた支援を考える/46 日常生活の指導は,特設する場合,様々な条件をクリアする
- 4章 授業づくりの仕事術
- プリント教材を作成する方法
- 授業を構造化する方法
- 小集団の授業で一人一人に応じる方法
- トラブルに対応する方法
- 宿題を作成する方法
- Column 切符を買えないと
- 仕事術
- 47 プリント教材は,子どもの実態に応じて,ひと工夫する/48 プリント教材は,古くからある技法を駆使する/49 授業前の「準備」をわかりやすくする/50 授業中の「方法」をわかりやすくする/51 3ステップで,一人一人に応じた計画を立てる/52 小集団の授業では,発問計画を立てる/53 想定外の事態は,できる限り事前に「回避」する/54 トラブルを起こしていない子どもに配慮する/55 宿題は,ノートを活用できるようにする/56 宿題は,般化と見通しの視点をもつ
- 5章 特別活動の仕事術
- 学校行事に参加する方法
- 学級行事を開催する方法
- 校外学習を行う方法
- 宿泊活動を行う方法
- Column リーダーシップ特別支援学級論
- 仕事術
- 57 参加しやすくするために段階的・計画的な指導を考える/58 状況によって柔軟な対応を行う/59 学級行事は,子どもが活躍できる場を設定する/60 合同行事は,地域とのネットワーク構築を図る/61 目的地への移動も,学習の機会にする/62 事前に確認しておくべきポイントをおさえる/63 宿泊活動は,多様な配慮を想定しておく/64 時代に応じた宿泊活動の目的を再確認する
- 6章 子ども理解の仕事術
- 知的障害の子どもを指導・支援する方法
- 社会性の困難がある子どもを指導・支援する方法
- 行動面で課題のある子どもを指導・支援する方法
- 学習面での困難が見られる子どもを指導・支援する方法
- 過敏・鈍感な子どもを指導・支援する方法
- Column 面談3時間から学ぶ
- 仕事術
- 65 知的障害の子どもには,基本的に年齢相応のかかわりをする/66 知的障害の子どもには,「言葉」を具体化していく/67 社会性の指導は,具体的な解決方法を導いていく/68 子どものこだわりには,先生自身がこだわらないようにする/69 行動面の指導は,「事前に確認する」ことを基本とする/70 感情面の指導は,まず気持ちを受け止める/71 学習面の指導は,子どもの特性に応じた方法を考える/72 高次脳機能障害の子どもには,気持ちと結びつけた方法を考える/73 過敏さのある子どもと,乗り越えるためのアイデアを一緒に考える/74 鈍感さのある子どもには,いろいろな感覚を総合的に活用できるようにする
- 7章 学級経営の仕事術
- 教室環境を整備する方法
- スタッフ間で情報共有する方法
- 保護者とつながる方法
- おたよりを作成する方法
- 転学に対応する方法
- 関係諸機関とつながる方法
- SC・SSWとよりよい関係をつくる方法
- 子どもの情報を管理する方法
- 入学・卒業に対応する方法
- Column 教育は先生のオモチャではない!
- 仕事術
- 75 教育環境は「この教室で勉強したい!」と思えるようにする/76 学習が進みやすい机の配置にする/77 スタッフ間の情報共有のために「学級運営マニュアル」を作成する/78 スタッフ間の情報共有のために,打ち合わせの時間設定を工夫する/79 学年はじめの保護者会は,前向きなあいさつをする/80 保護者とつながるために,連絡帳を工夫する/81 学級だよりは,家庭が見通しをもてるようにする/82 保護者向け「学級ガイド」を作成する/83 転学対応は,子ども,保護者,これまでの担任,それぞれを支援する/84 転学対応は,保護者の気持ちに寄り添う/85 関係諸機関とつながり,子どもの情報を収集して,指導や支援の質を高める/86 関係諸機関には,先方が動きやすくなるような正確な情報を提供する/87 スクールカウンセラー(SC)には,気軽に学級に立ち寄ってもらう/88 スクールソーシャルワーカー(SSW)とは家庭の情報交換を綿密にする/89 子どもの情報を,一覧にしてまとめる/90 情報管理の方法を適切に定める/91 入学対応は,必要であれば保護者と面談をする/92 卒業対応は,卒業学年に手厚く対応できる体制を整える
- 8章 特別支援学級ならではの仕事術
- 特別支援学級が忘れられないための方法
- 地域にある他の特別支援学級とつながる方法
- 特別支援学級の理解を進める方法
- 研究会に参加する方法
- Column 高校に特別支援学級はできるのか
- 仕事術
- 93 忘れられる「あるある」に負けない!/94 特別支援学級側から,「聖域」をつくらない/95 地域にある他の特別支援学級と,お互いに授業参観の機会をつくる/96 地域にある他の特別支援学級の初任者教師,主任級教師とのネットワークを構築する/97 特別支援学級の理解は,子どもにとって楽しい交流体験をもとに進める/98 大人への特別支援学級の理解は,「見てもらうこと」プラス「説明をする」/99 校内研究会は,特別支援学級も参加できる方法を探っていく/100 特別支援教育の研究に積極的に取り組んでいく
- 終章 令和時代の特別支援学級
- 特別支援学級のカリキュラム・マネジメント
- 特別支援学級の子どもたちの資質・能力の育成
- 特別支援学級のインクルーシブデザイン
- 特別支援学級の組織マネジメント
- おわりに
- 参考文献
はじめに
本書は,特別支援学級担任の「仕事術」にターゲットを絞りました。特別支援学級の理想や理念,あるいは「きれいごと」だけを語るのではなく,実務的に困っている先生方が問題解決を図りやすいように,100の「仕事術」を示しました。
さて,ひとくくりに「特別支援学級」といわれますが,その実態は多様であり,どの学級も個性的な存在です。
その多様性をつくり上げている要因は何でしょうか?
ひとつは,特別支援学級に在籍する子どもたちの多様性です。特別支援学級というと,障害の特性だけがクローズアップされがちですが,子どもの年齢や学年,性別,学級の人数,お互いの人間関係などの多様性も含めて,「どのような教育活動をしていくのか」を考えていくのが特別支援学級担任の仕事です。
特別支援学級担任の先生方の多様性も見逃してはなりません。長く特別支援学級担任を務められている先生もいれば,初めて特別支援学級担任になった先生もいることでしょう。情熱的に指導するタイプの先生,子どもとの関係性を重視するタイプの先生など,指導のスタイルも異なります。
多様な子どもや先生の相互作用によって特別支援学級は構成されます。だから,他の学校の実践をそのまま導入してもうまくいかないことが多いのです。
しかし,最善の解にたどりつくための「仕事術」は存在します。特別支援学級担任の「仕事術」が明らかになれば,より特別支援学級がパワーアップするのではないか。そう願い,本書を構成いたしました。
なお,終章には,「令和時代の特別支援学級」として,これらの「仕事術」の背景となる考え方についてもまとめました。
【特別支援学級の多様性を踏まえて】
○校種
地域の小学校または中学校に併設されています。そこが,特別支援学校との大きな違いです。
○対象となる子どもの障害
「知的障害」「肢体不自由」「病弱・身体虚弱」「弱視」「難聴」「言語障害」「自閉症・情緒障害」といった障害ごとに,特別支援学級は設置されています。
例えば,知的障害者を対象とする特別支援学級は「知的障害特別支援学級」「特別支援学級(知的)」などと表記されます。
○学籍の有無
ここが「通級による指導」との大きな違いです。「通級による指導」を受けている子どもたちは,在籍する学校に学籍があります。
特別支援学級の子どもは,その設置されている学校に学籍があります。つまり,その学校の子どもです。
ちなみに「通級による指導」との区別をするために「固定学級」などといわれることがあります。
この3つの組み合わせが,特別支援学級の基本的な性格を決定します。
本書では,校種は「小学校」,対象となる子どもの障害は「知的障害」,学籍は「固定学級」。すなわち「小学校特別支援学級(知的固定)」の「仕事術」について事例を交えながら解説していきます。
しかし,解説する事例は異なっても,「仕事術」そのものは,この組み合わせ以外の特別支援学級においても参考になると思います。
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