- はしがき
- T 今なぜ論説の手法を教える必要があるのか
- 一 なぜ「論説の手法」か
- 1 「書き方がわからない!」
- 2 伝達技術を教えよ
- 3 「論説の手法」とは
- (1) 構造的な「読み方」=「分析批評」的読み
- (2) 構造的な「書き方」=「起・承・転・結」で書く
- 二 説明文で論説の手法を教える
- 1 「説明文」とは、どのような文章か
- 2 「説明文」の授業は、一つの目的で
- 3 論説の手法を教える――「論説教材」とは――
- U 論説の手法を教える指導方法
- 一 第一段階 全文通読
- 1 音読
- 2 「キーワード」を選ぶ
- 二 第ニ段階 発問による内容理解
- 1 構造をとらえさせる
- 2 「いくつ」と問う
- 3 「まとめの文」を問う
- 4 ずばりと一言で言わせる「まとめ」
- 5 「結び」(結論)を言わせる
- 6 要旨を書かせる
- 三 第三段階 小論文を書かせる
- 1 基本形式で書かせる
- 2 指導の手順
- 3 指導上の留意点
- 4 小論文(作文)の評価
- V 論説教材別指導事例
- 一 「西之島新島」(五年・光村)
- 1 教材について
- 2 指導目標
- 3 指導計画
- 4 授業の実際
- 二 「大陸は動く」(五年・光村)
- 1 教材について
- 2 指導目標
- 3 指導計画
- 4 授業の実際
- 三 「自然を守る」(六年・光村)
- 1 教材について
- 2 指導目標
- 3 指導計画
- 4 授業の実際
- 5 市毛勝雄氏の「教材研究を読んでの感想」
- W 論説の手法を生かした小論文の書き方指導
- 一 五年・小論文を書かせる
- 1 小論文(作文)を書かせるねらい
- 2 指導の計画
- 3 書かせ方の実際
- 4 子どもの作品
- 二 六年・小論文を書かせる
- 1 小論文(作文)を書かせるねらい
- 2 指導の計画
- 3 書かせ方の実際
- 4 子どもの作品
- あとがき
はしがき
「説明文」は、何のためにある教材か?
「説明文の授業」では、何をどのように教えればよいのか?
この問に答えようというのが本書である。
かつて、なぜ教材として「説明文」があるのか、理解できなかった。また、どのような授業がよい授業なのか、わからなかった。「説明文」の授業論・実践が多く発表されても、それらはまるで私を納得させようなどとは考えてもいないかのように受けとめられた。
ところが、教育技術の法則化運動という歴史的な出会いによって、私の授業は変わった。
一九八八年八月、法則化神奈川合宿で、市毛勝雄氏の講座を受けた。「説明文」の講座であった。この内容は、私の抱いていた問の大筋に答えるものであった。
やがて、九月から十二月まで四回にわたる市毛氏の連続講座が、美園座ぶどう塾(阿部肇代表、阿部光江事務局)の主催で開かれた。市毛氏の模擬授業・授業が行われたのである。私は、四回のうち三回分のテープ起こしをした。こうして、市毛氏の国語の授業のエッセンスを学ぶことができた(この講座内容は、『国語科授業の常識を疑う』シリーズとして明治図書より刊行された)
このような学びを経て、私は、次の主張を持つようになった。
1 「説明文」は、国語の基礎運用能力をつけるための教材である。
2 基礎運用能力をつけるためには、言語の伝達技術を教える必要がある。
3 伝達技術の中核は、文章を構造的に読む技術であり、文章を構造的に書く技術である。
「説明文」教材には、意見・主張・論説を内容とする文章がある。これを市毛氏は「論説教材」とよぶ。一方に、記録・報告・説明を内容とする「情報教材」がある。氏は「説明文」をこの二つの特質に応じて指導すべきだという。つまり、「一つの文章では、一つの目的で教えよ」というのが氏の主張である。
私は、右の1・2・3を実証するために、「論説教材」を取り上げて指導した。「説明文」では、「論説の手法を教える」ことが授業の核心になると考え、この目的で一貫した授業を行った。
これは、かなり有効であったと考えるが、まだまだ問題点もある。多くの方々にご批判をいただければ幸いである。
一九九〇年三月三日 母の誕生日に /駒井 隆治
-
- 明治図書
- 説明文の授業をどのようにしたらよいのか?その疑問から出発した授業の理論と実践を問題提起した著書。説明文の構造を学び、「はじめ・なか・まとめ・むすび」という構造化した小作文の指導が学べる。2011/10/16
- 「読む」活動から「書く」活動へのスムーズな指導の理論と実践を学べる書である。今読み直すと、第1章の理論と第2章の方法論がなお問題提起として有効である。2011/4/16TOSS東京教え方研究会