- はじめに
- 第1章 国語好きな子どもを育てる授業づくり3つのしかけ
- ―課題・対話・学習シート―
- 1 国語が大好きな子どもを育てる意欲と学びのつなぎ方
- (1)意欲と学びをつなぐ「はしご」をつくろう
- (2)はしごを上りたくさせるおいしい「課題」
- (3)上ることを楽しませる「対話」
- (4)一段一段を上りやすくする「学習シート」
- (5)課題解決に必要な「アイテム」
- 2 しかけ1 主体的に読むための課題づくり
- (1)低学年の課題
- (2)中・高学年の課題
- 3 しかけ2 対話する力を育てる指導
- (1)子どもが話したくなる「問いかけ」
- (2)聞く力を育てる「教師の聞き方」
- (3)「受けて話す」指導のアイデア
- @スピーチタイム
- A授業中の意見のやり取りの仕方の指導
- 4 しかけ3 考えの形成を促す学習シート
- (1)低学年の学習シート例
- (2)高学年の学習シート例
- 第2章 学年別 国語好きな子どもを育てる説明文・物語文の授業モデル&学習シート
- 1年 入門期の言葉の学習
- ―つくってあそぶ「かるた」・「ものの名まえ」ゲーム・「くちばし」クイズ―
- 1年 入門期の文学教材の学習
- ―「おむすびころりん」「おおきなかぶ」「くじらぐも」―
- 2年 たんぽぽのちえ
- 2年 お手紙
- 3年 すがたをかえる大豆
- 3年 ちいちゃんのかげおくり
- 4年 ウナギのなぞを追って
- 4年 ごんぎつね
- 5年 固有種が教えてくれること
- 5年 大造じいさんとガン
- 6年 『鳥獣戯画』を読む
- 6年 やまなし
はじめに
この本がめざすもの
ある学校で、研究主任をしていたときのことである。
「国語を教えるのは、難しいね。」
「そうそう。第一に、子どもが、国語を好きじゃないから、嫌々文章に向かっているのを、どう指導したらいいのか、こっちも困ってしまう。」
職員室での、先生たちの何気ない会話だから、なおさら現実味があり、私は内心、これは困ったことだと早速、「国語が嫌な理由」アンケートを行った。その結果は、予想通り、惨憺たるものであった。
理由の主な内容は、
「自分自身が国語が苦手である。」
「子どもがほとんど発言しないので、指導がしにくい。」
「何に重きを置いて、どのように(子どもが意欲的に学習に向かうように)教えていいのかがわからない。」
先生自身が、苦手感をもっているため、当然、子どもたちも、苦手になる。苦手なので学力も低くなりがちである。テストに出そうな内容だけを叱咤激励してドリル的に勉強させれば、テスト結果は上がるかもしれないが、同時に、国語嫌いの子どもたちを多く生む結果となる。
私は、国語科ほど深くて面白みのある教科はないと思っている。学習材が、一番身近な「言葉」であり、普段から伝達や思考の道具として使用するのはもちろん、昔から遊びにも使っている。また、教材として取り上げられている作品世界で、語り合ったり、表現したりもできる。そして、そのことが、人生の指針になったり、生きていく力として、将来にわたって心の中に存在し続けたりもする。そんな教科だからこそ、大切に思い、先生自身がまず、文章を読み味わうことを「好き」になってほしい。そして、子どもたちが文章をめぐって「自分はどう考え、どう表現するか。」また「友達はどうだろうか。」と、国語の時間が待ち遠しくなるように、仕組んでもらいたいと思う。
この本は、私自身のつくってきた教室で、実際に行われた楽しい学びの時間を、思い返して書いたものである。「先生、給食の時間少し短くなってもいいから、続けさせて。」と、図工や体育に負けないほどに、子どもたちが楽しみに思ってくれた授業の一コマを綴った。だから、この書は私と教室の子どもたちの共著だと思う。卒業していった子どもたちが大人になって再会し、「あの授業、覚えてるよ。」と語ってくれる。作品について友達と語り合ったひととき、深く考えた自分自身の姿が、その子の人生を密かに支えてくれているのではないかと思う。
私にとっても宝物の、この学びのひとときを書き記し、「国語の指導が苦手だ。」と思っている先生方の一助になればと心から思う。
教材について
本書は、全教材が「光村図書」によるものである。私が勤務した学校は、すべてこの教科書を使用していたということもあるが、私が光村図書の教科書を好きな理由は、次の2つによる。
1つ目は、教材になっている作品に「力」があるということである。文章を読むだけで、子どもたちに興味・関心を引き起こし、考えさせることができる「力」である。だから、子どもたちの初発の感想は、ほぼ想定内に収まる。つまり、指導者が子どもたちと同じ心で、読み味わって生まれた感想とほぼ同じということである。これをどう教えようかといった教師としての読み方ではないことを強調しておこう。
2つ目は、指導者の裁量に任せられている部分が大きいので、教室の子どもたちに合わせた形での指導が可能ということである。いわゆる、ハウツーものだと、書かれている通りに、教師があまり考えたり悩んだりせずにそのままの形で教えることができるが、子どもたちが、自分に引きつけて考えて読むという姿にはなりづらいのではないかと思う。
私を支えてくださった方々
まずは、今まで私と一緒に国語の時間をつくってきた子どもたちに、感謝の意をささげたいと思う。いつも子どもたちの一生懸命な姿に支えられ、「先生、もっと考えて。私たちに負けないように。」と背中を押されていた。
それから、「本を書く」という指針を示してくださった三好修一郎先生。福井大学の名誉教授でいらっしゃるのに、フレンドリーで楽しい。大学の研究室で、学生も入れて教材について語り合った時間も、「教材研究はみんなで楽しくやるもんだ」と暗に教えていただいたと感じている。また、執筆についても大変貴重なご意見を多々いただいた。先生の著書の『小学校 文学教材を深く読むための国語授業デザイン』(明治図書)からも、多くのヒントを得て本書を書くことができた。私の本を読まれる先生方は、同時にこの本も読まれることをお薦めする。
して、「福井実践国語の会」の先生方。この会に参加するたびに、指導の視点が広がるだけでなく、国語科教育を推進していこうという勇気とやる気が湧いてきた。本書を書く原動力になったという点でも、大変感謝している。
/稲葉 久子
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- 明治図書