- あいさつ 西之表市長 /長野 力
- あいさつ 西之表市教育委員会教育長 /有島 正之
- 序章 「教育立国」の新教育時代を拓く種子島西之表教育の創造
- ――学校と家庭・地域との連携で「人間力育成」の基盤「活用型学力」を獲得―― 中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志
- (1) 自然を愛し伝統文化を継承する西之表教育
- (2) 教育改革期に教育新時代を拓く西之表教育
- (3) 人間力育成の基盤「思索する人間」育成をめざす西之表教育
- (4) 実社会に活用できる学力を育成する西之表教育
- (5) 学校と家庭・地域との連携で活用型学力を高める西之表教育
- T 「確かな学力」を育成する学習指導の工夫・改善
- 1 思考力・判断力を育成する教師力の向上をめざして
- (1) 研究主題設定の理由
- (2) 研究主題及び研究仮説
- (3) 研究の視点
- (4) 研究組織
- (5) 国語科における実践
- (6) 国語科における思考力・判断力を育成するための共通実践事項
- (7) 「学習指導の実践力」の向上を図る研究体制の工夫
- 2 確かな国語力を育成する指導のあり方
- (1) テーマについて
- (2) 実践
- (3) 成果
- (4) 課題
- 3 規範意識を高め,人間関係を築く力を育成するための道徳の時間の指導
- (1) 研究テーマ
- (2) 研究テーマの設定理由
- (3) 研究の仮説
- (4) 研究の実際
- (5) 研究の成果と課題
- 4 思いやりや親切な心を育てる道徳の時間の指導
- (1) 研究テーマ設定の理由
- (2) 研究の仮説
- (3) 研究の実際
- (4) 研究の成果と今後の課題
- 5 郷土への愛着を深め,心豊かで思いやりのある子どもを育てる
- ――道徳教育の充実を図るための教頭としての取組――
- (1) はじめに
- (2) テーマ設定の理由
- (3) 研究の方向
- (4) 研究の実際
- 6 ICT(情報通信技術)活用による学習指導法の工夫
- (1) はじめに
- (2) 研究のねらい
- (3) 研究の内容
- (4) 研究の実際
- (5) 成果
- (6) 課題
- U 小中連携を密にした学力向上の取組
- 1 小中連携のあり方
- (1) 榕城校区児童生徒の特色
- (2) 課題解決の方策
- (3) 実践例
- (4) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践例
- (5) 成果
- (6) 課題
- 2 個に応じた指導,家庭学習を核に確かな学力を育む
- (1) 小中連携のあり方
- (2) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践事例
- (3) 成果
- (4) 課題
- 3 基本的生活習慣,学習習慣の確立を図る
- (1) 小中連携のあり方
- (2) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践例
- (3) 成果
- (4) 課題
- 4 「小テスト」で「基礎・基本」の定着を図る
- (1) 小中連携のあり方
- (2) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践例
- (3) 成果
- (4) 課題
- 5 「9年間の義務教育」で確かな学力を身につけさせる
- (1) 小中連携のあり方
- (2) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践事例
- (3) 成果
- (4) 課題
- 6 読書活動を推進し,「読む力」を身につけさせる
- (1) 小中連携のあり方
- (2) 確かな学力をめざす授業改善の共通実践例
- (3) 成果
- (4) 課題
- V 地域の「よさ」を生かした特色ある教育活動の実践
- 1 郷土の「よさ」を生かして人間性豊かな子どもを育てる
- (1) 総合的な学習の時間のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 取組の実際
- (4) 取組の成果と課題
- 2 地域の農業に触れ,郷土の「よさ」に気づく心を育てる
- (1) 総合的な学習の時間のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 取組の実際
- 3 地域の素材を生かして「郷土を愛する心」を育てる
- (1) 総合的な学習の時間のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 取組の実際
- 4 地域に根ざした体験活動で「生きる力」を育てる
- (1) 総合的な学習の時間のねらい
- (2) 推進計画
- (3) 取組の実際
- W 地域の人材を生かした教育実践
- 1 地域芸能の伝承活動で,郷土を大切にする心を育てる
- (1) 人材活用のねらい
- (2) 推進計画
- (3) 取組の実際
- 2 「認め合い・支え合い・共に伸びようとする心」を育てる
- (1) 人権教育目標
- (2) 人権教育における人材活用のねらい
- (3) 人権教育年間指導計画
- (4) 主な取組の実際
- 3 「船上体験」を通して種子島の漁業を考える
- (1) 人材活用のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 実際の活動
- (4) 生徒の感想より
- (5) 成果と課題
- 4 郷土芸能の継承・発展活動で郷土愛を育む
- (1) 人材活用のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 取組の実際
- 5 地域のひと・もの・こととのふれあいに学ぶ
- (1) 人材活用のねらい
- (2) 指導計画
- (3) 取組の実際
- (4) 成果と課題
- (5) おわりに
- 6 命の尊厳や自他を慈しむ心を育てる
- (1) 人材活用のねらい(「いのちの指導」のねらい)
- (2) 取組の実際
- (3) 成果と課題
- X 教職員の資質向上を求めて
- 1 「確かな指導力」をもった教員を育てる 西之表市小・中学校長協会長 /平 幸二
- (1) はじめに
- (2) これまでの教育を顧みて
- (3) 指導力不足等教員を作らないための基本的な考え方
- (4) 管理職の役割を十分に果たす
- あとがき 西之表市小・中学校長協会長 /平 幸二
あいさつ
西之表市長 /長野 力
わが西之表市は,美しい自然に恵まれた歴史と文化の島「種子島」の中心都市として,市民の連帯と協調により大きく成長してまいりました。
本年は,昭和33年10月1日の市制施行からちょうど50年の節目の年にあたります。
この半世紀は,激動の時代ともいうべきめまぐるしい環境変化がありました。戦後の高度経済成長から,量から質への成熟時代へと移行し,特に近年は地域の特性を生かした自立した地域づくり,共生・共同の地域づくりが求められる時代となっています。
本市においても,この50年で,自然環境や産業形態,人々の暮らしは大きく変わってきました。全国的にも,少子高齢化が深刻な問題となっていますが,離島である本市においては若者の流出が人口減少に拍車をかけ,市制施行当時約33,600人であった人口も約17,600人(平成20年9月現在)と半分近くまで減少しています。
こうした厳しい現状において,本市は「力強い西之表市」の創造を目標に,市民の交流と絆を活力源に地域振興に取り組んでまいりました。中でも教育においては,「あしたをひらく心豊かで創造性に富む人づくり」を基本目標として,生涯教育の観点に立ち,主体性,創造性,国際性を備え,人間性豊かでたくましく生きる市民の育成をめざして,活力ある教育・文化・スポーツの振興を図ってまいりました。
その実現のために有島正之教育長を中心に、郷土種子島を愛する心など時代を超えても変わらない価値あるものを大切にするとともに,社会の変化にも的確にかつ柔軟に対応する教育の推進をお願いしてきたところです。
市政施行50周年のこの年に,住吉小学校時代の我が恩師でもある中京女子大学名誉教授・瀬川榮志先生のご指導のもと,我がふるさとの伝統文化を大切にした学校と地域の連携教育の実践を出版できることを心から喜ぶとともに感謝しております。
これを契機に,先人の築いてきた西之表市の歴史を再確認し,未来に向けて西之表市が自立するための第一歩を踏み出し,市民,地域,行政が一体となって皆で支え合う「西之表市の教育づくり」がさらに充実できればと考えております。
最後になりましたが,本市教育の充実振興に尽力されている各学校の先生方や,各関係機関・団体等の皆様,また本市の教育を支えてくださる市民の皆様一人一人に心より感謝申し上げますとともに,さらなる西之表市の発展のために今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
西之表市教育委員会教育長 /有島 正之
西之表市市制施行50周年を迎えた今年,教育においても教育基本法の改正や,新学習指導要領が公示されました。ここでは,現代の子どもたちが,基礎基本の確実な定着,主体的に判断し行動する能力,よりよく問題を解決する資質や能力,豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」が十分に備わっていないことが指摘されています。そして,その「生きる力」を学校だけではなく,家庭や地域と連携していかに育むかが,今日の課題でもあると考えております。
教育委員会でも,長野力市長の施策方針を受け,子どもたちの教育の充実に向け,学校,家庭や地域の密接な連携が図れるように取り組んでいるところです。
そこで,本市教育委員会の基本目標を「あしたをひらく心豊かで創造性に富む人づくり」とし,郷土種子島を愛する心など時代を超えても変わらない価値のあるものを大切にするとともに,社会の変化にも的確かつ柔軟に対応する教育を推進しているところです。
特に,青少年の育成においては「ひとりだちの教育」を基本理念とし,「波濤を越え」全国どこでもたくましく生き抜くことのできる力を備えた人間育成及び,郷土振興に情熱を燃やし郷土興しの原動力になりうる人間育成をめざしております。その基盤づくりとして学習指導方法や指導技術等の工夫改善に努め,学校教育の充実を図るとともに,学校・家庭・地域の実態を生かした特色ある開かれた学校づくりを進めています。
特に平成17年度から平成19年度の3か年,文部科学省指定の学力向上拠点形成事業では,榕城小学校を拠点として市内の各小・中学校の連携を密にした中心とした学習指導方法の改善を6中学校区で積極的に進め,「ひとりだち」の最も基盤となる学力の向上をめざしてまいりました。そして,地域との積極的な連携と人材活用等を行う教育活動を展開しながら,地域の伝統文化を尊重する心を育んできました。さらには,それらを支えるための「確かな教師力」の向上にも尽力してまいりました。今後はこれまでの教育活動を踏まえ,より一層地域に根ざした本市教育の充実をめざし,「地域に根ざした特色のある教育活動」に取り組んでくれるものと期待しております。
こうした西之表市の教育の取り組みにこのたび中京女子大学名誉教授の瀬川榮志先生のご指導ご教示を賜り,教育実践編として発刊できることを大変うれしく感じております。
これを契機に,学校・家庭・地域が一体となって「生きる力」をもった子どもの育成に努めてまいりたいと思います。
最後になりましたが,本市教育の推進に深いご理解とご協力をいただきました自治体及び各関係機関・団体,地域の皆様に心より感謝申し上げます。今後とも西之表市の教育がさらに充実発展するよう,皆様方のご指導・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
-
- 明治図書