- まえがき―本書のねらいと使い方
- 1 「習得型」スキルの提案
- 2 国語の授業も「履修型」から「習得型」へ
- 3 スキルの活用方法
- 文 法
- 1 指示する語句
- 2 接続する語句(順接・逆接・説明・転換)
- 3 接続する語句(並立・累加・対比・選択)
- 4 言葉の単位(文章・段落・文)
- 5 言葉の単位(文節・単語)
- 6 文の成分(述語・主語・主語述語の関係)
- 7 文の成分(修飾・被修飾の関係 修飾語)
- 8 文の成分(接続語・独立語)
- 9 文の成分(主部・述部)
- 10 文の成分(修飾部・接続部・独立部)
- 11 文の成分(連文節・並立の関係・補助の関係)
- 12 単語の種類(自立語・付属語・品詞)
- 13 単語の単位(用言 形容詞・形容動詞・動詞)
- 14 単語の単位(体言 名詞・代名詞)
- 15 文の成分(連用修飾語・連体修飾語)
- 16 単語の種類(副詞)
- 17 単語の種類(接続詞・感動詞・連体詞)
- 18 単語の活用(活用・活用形)
- 19 単語の活用(語幹・活用語尾・五段活用)
- 20 単語の活用(上一段活用・下一段活用)
- 21 単語の活用(サ行変格活用・カ行変格活用)
- 22 単語の活用(形容詞・形容動詞の活用)
- 23 単語の種類(助詞・助動詞)
- 24 助動詞
- 25 助詞の種類(終助詞・接続助詞・副助詞・格助詞)
- 26 敬語の種類(尊敬語・謙譲語)
- 27 敬語の種類(丁寧語)・敬語のまとめ
- 28 語句のまとめ
- 29 言葉の単位のまとめ
- 30 文の成分のまとめ
- 31 文の成分(連文節)のまとめ
- 32 自立語のまとめ@
- 33 自立語のまとめA
- 34 活用・活用形・五段活用のまとめ
- 35 上一段活用・下一段活用のまとめ
- 36 カ変・サ変・形容詞・形容動詞の活用のまとめ
- 37 助詞・助動詞の習熟
- 38 敬語のまとめ
- 39 文節の習熟
- 40 単語の習熟
- 41 主語述語の習熟
- 42 修飾語の習熟@
- 43 修飾語の習熟A
- 44 自立語の習熟@
- 45 自立語の習熟A
- 46 活用の習熟
- 47 五段活用の習熟
- 48 上一段活用の習熟
- 49 下一段活用の習熟
- 50 サ変・カ変の習熟
- 解 答
まえがき―本書のねらいと使い方
1 「習得型」スキルの提案
本スキルは、「履修型」から「習得型」への変換に対応したスキルである。スキルがあると、その授業の内容を理解したか否かチェックするシステムができる。また、スキルで点を取ることで、生徒は達成感を得ることができる。
なぜ生徒がスキルで点を取れるのか、その理由は以下のものがあげられる。
ア 一枚につき一事項を学ぶようになっている。
イ 定義問題・練習問題・確かめ問題の流れで一枚のプリントが作成されており、無理なく学習できるようになっている。
ウ 定義問題では、「なぞる」作業を入れることで、生徒が間違えずに学習できるようになっている。また定義の言葉を教える前に、生徒がそれまでにもっている知識で答えられる問題が入っている。
エ 練習問題では、二〜三択の問題を出すことで定義問題の習熟を図っている。
オ 確かめ問題では、定義問題・練習問題と類似した問題を出すことで、それまでに学習した内容を再度復習できるようになっている。
このスキルを活用して授業をすると、プリント左下のスキル(確かめ問題)でほとんどの生徒が一〇〇点を取ることができる。そして生徒の満足した表情を見ることができる。
2 国語の授業も「履修型」から「習得型」へ
@ 指導しっぱなしの授業
かつて私の国語の授業には、その授業で習ったことを生徒がわかったのかわからなかったのかをチェックするシステムがなかった。つまり指導しっぱなしの履修型の授業であった。説明で終わるか、何か作業をさせて授業を終了する。そして定期試験においてはじめて、生徒の学習成果の評価を行っていた。
これは、日本中どこの学校でもみられる状況であると思う。
A ワークを使った指導の害悪
多数の会社が作成している「ワーク」を使って指導をしたことはあった。しかし、学習内容を習得したかどうかチェックするための方法としてワークは次の点で適していない。
ア 授業で指導した内容に即しているとは限らない。
イ 指導必須事項が絞られていない。
ウ その教材文を理解するための発問で組み立てられている。何か特定の知識や技術に絞って作られていないので、他の文章に出会ったときに応用がきかない。
しかし、複数の教師で同一学年を受けもつ場合、ワークを活用することが多い。理由は、ワークがあると複数の教師で同一学年を担当していても指導内容の統一が容易にはかれるからである。
たとえば、テスト問題を出すときもワークの問題からテスト問題を出せば「あのクラスでは教えたのに、このクラスでは教わっていない」ということをさけることができるのである。
そのため、授業の内容にかかわらずワークによって評価がなされるという状況が生まれる。つまり、「ある技術・知識が身についたか」ではなく、「そのワークが解けるようになったか」のチェックのみが行われているのである。だから、現在日本の多くの地域では、子どもたちが「自分たちにはどんな国語の力がついたのか」まったくわからない状況が蔓延してしまっている。
B 本スキルの登場
そこで、作成したのが本スキルである。
本スキルは「技術・知識の習得」を目的としている。
一つの教材に対して、ある特定の「技術・知識」に絞って発問を組み立てている。
ワークのように一つの教材を提示し、表現技法や、登場人物について聞くなどの、バラバラな発問構成にはなっていない。
そのページをやり終えると、生徒はその技術を習得できるようになっている。以下にその活用方法について簡単に述べる。
3 スキルの活用方法
私は以下の場面でスキルを活用してきた。
@ 授業の確かめとして活用する
授業でたとえば表現技法を指導したとする。その確かめとして、授業の最後に「表現技法」のスキルを配布して取り組ませる。
流れは以下のものである。
ア 事前に「表現技法」のスキルをB4の紙両面に印刷しておく。
イ 授業の最後に(ア)を生徒に配布する。
ウ 問題に取り組ませている間に、黒板に問題の番号だけ書いておき、後で生徒が黒板に答えを書き込めるようにしておく。
エ 問題を解き終えた生徒からプリントを教師に見せに来させる。
オ 合格した生徒から黒板に答えを書き込ませていく。
カ 黒板にすべての答えが書き込まれたら答え合わせをする。
キ 手をつけていない裏面は、テスト前に活用して学習するように生徒に話す。
おおよそ七分〜一〇分程度で答え合わせまで終えることができる。
A 入試対策として活用する
授業の一つのパーツとしてこのスキルを活用する。
たとえば私は、三年生二学期の授業を、
@漢字学習 Aスキル学習 B暗唱 C教科書を活用した授業
という流れで授業することがある。毎時間スキルの学習時間を確保し既習事項を復習することで生徒に力がつけられるのではないかと考えている。
スキル学習の進め方は、@の方法と同じである。
B 選択授業の流れの中で活用する
週一時間ある三年生の選択国語の時間で本スキルを活用した。
流れは以下のものである。
ア 授業の開始とともに作文の題を提示し、一五分間作文に取り組ませる。
イ 一五分後、作文ノートを回収しノートに添削や評価を書き込んでいく。
ウ 私が添削をしている間、生徒には事前に配布しておいたスキル@〜Qに取り組ませる(解答用紙も配布しておき、各自で答え合わせができるようにしておく)。
エ 授業終了五分前に作文を返却し、評価を伝える。
私が作文を添削している間、生徒はしーんとしてスキルに取り組んでいる。定義・練習・確かめというように、問題が易から難の流れで配列されており、生徒のみで学習を進めていくことができるからこそ、このような状況をつくれる。授業以外にも家庭学習用、夏休みの宿題、放課後学習プランなどでも活用できるはずだ。
さまざまな場面でこのスキルが活用され、より多くの子どもたちに「国語の力がついた」「勉強ができるようになった」と思ってもらえるようにしたい。
/渡辺 大祐
保健室登校の生徒にやらせたところ、全部やりきることができました。
エラーレスになっているので、全員ができました。
しかも全員の答えにマルをつけてあげられるので、成功体験を積ませることができます。
とてもお薦めです。