- はじめに
- 第1章 知的障害のある子への「プログラミング教育」の意義
- 1 「プログラミング教育」時代のはじまり
- 2 新しい教育活動様式とDX(デジタル・トランスフォーメーション)
- 3 特別支援学校におけるプログラミング教育
- 第2章 知的障害のある子への「プログラミング教育」の進め方
- 1 知的発達と論理的思考との関係
- 2 子どもの発達・学習とプログラミング教育
- 3 特別支援教育で培う「プログラミング的思考」
- 4 プログラミング教育の教育課程への位置付け
- 5 日常の生活や教育活動に寄り添うカリキュラム
- 6 プログラミング的思考の客観的評価
- 7 子どもの「学びの過程」の可視化
- 8 自立活動「プログラミングタイム」の実践とその効果
- 第3章 知的障害のある子への「プログラミング教育」実践事例
- 【自立活動】
- 実践1 ダンスをプログラミングしよう
- 実践2 ピラーをプログラミングしてごちそうをあげよう
- 実践3 海・山・動物園の生き物をプログラミングで作ろう
- 実践4 生活をプログラミングしよう
- 実践5 GLICODEでプログラミングしよう
- 実践6 Minecraftで建物を造ろう
- 実践7 ロボットとダンスを踊ろう
- 【算数】
- 実践8 新しい計算を考えよう
- 【国語】
- 実践9 スイミーの気持ちになって考えよう
- 【職業・家庭】
- 実践10 micro:bitで残飯量を知らせよう
- 【生活単元学習】
- 実践11 ラジコンカーでGO!
- 第4章 知的障害のある子への「プログラミング教育」の未来
- 1 【対談】特別支援学校の未来の学び・未来への学び
- 2 時代の変化にシンクロする特別支援教育
はじめに
誰しもが通る道、それはカップ焼きそばで湯切りをする前にソースをかけてしまうこと…。今日はカップ麺が食べたいな、というところから、完食に至るまで、そこには、実はドラマがあります。そしてそこには、順次、条件分岐、繰り返しというプログラミングの要素が入っています。このようにして学習した知識は、経験とともに長期記憶として保存され、きっとカップ焼きそばがソース味のカップ麺と化することはなくなるのではないでしょうか。ふたがゆるくて湯切りの際に麺をシンクに流してしまうというリアルな痛い経験からバグをとる作業(デバッグ)も重要です。
小学校の国語の教科書にも取り上げられている『おおきなかぶ』。かぶをおじいさんがひっぱって、おじいさんをおばあさんがひっぱって…、最後はねずみまで駆り出されて、とうとうかぶは抜けます。それでは、最終的に全員で結集した体力(かぶ抜き力?)を100とした時、登場人物(動物?)それぞれに、体力を適当に割り振ってみましょう。おじいさんは30ぐらい?、孫は20、いやいや孫こそ40ぐらい?なんて考えながら、それこそScratchの得意とする「プログラミング絵本」を作成してみるといいかもしれません。たかがねずみ、されどねずみの存在に今更ながらに気づくかもしれませんね。
このように、実は身近に活用しているプログラミング的思考。それは知的障害のある子どもたちにとっても同じです。筆者らはこれまでの実践を通じ、プログラミング教育による発達や学習の恩恵は大きいと感じています。本書はそうした実践を、できるだけたくさんの図や写真とともに採録し、読者の皆さんにイメージしてもらえるよう努めました。本書を読んだ先生方によって、知的障害のある子どもの今とこれからのために必要な生きる力を育むプログラミング教育の実践が全国で取り組まれることを楽しみにしています。
/水内 豊和
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- 明治図書
- 分かりやすかったです。支援教育でのプログラミング的思考とは何かなどが理解できます。2022/7/1140、支援学校教諭