- まえがき
- 1 教師のためのChatGPT入門 はじめの一歩
- 1 ChatGPTとは何か
- @対話のできる人工知能
- AGoogleがコードレッドを宣言
- BChatGPTの5つの特徴
- C勉強もできるChatGPT
- D試験に挑むChatGPT
- 2 学校でのChatGPTの利用:禁止か許可か
- @教育業界に巻き起こる議論
- A議論の根幹にある問題
- B学生の実態調査
- CまずはChatGPTを使ってみよう
- 3 ChatGPTの登録手順
- @ユーザー登録の流れ
- A登録手順の紹介
- Bログイン方法
- 4 ChatGPTの著作権とセキュリティ
- @人工知能に著作権は発生するか
- A人工知能を利用した創作物の著作権
- BChatGPT生成文章の著作権とOpenAI
- C著作権問題への留意点
- Dオプトアウト申請の検討
- Eオプトアウトの申請方法
- Fシークレットモードの使用方法
- 5 人工知能の年齢制限
- @年齢制限が必要な理由
- AChatGPTの年齢制限
- B生徒に人工知能を使わせる際の留意点
- Q&A ChatGPTで作った作文やレポートを見抜く方法はありますか?
- 2 教師のためのChatGPT入門 使い方ガイド編
- 1 ChatGPTの基本的な使い方
- @ChatGPTのUI解説
- A便利機能の紹介
- BChatGPTを使ってみよう
- 2 ChatGPTは検索が苦手
- @ChatGPTの5つの弱点
- A「検索ツール」ではなく「優秀な秘書」
- 3 AIの仕組みを理解する
- @大規模言語モデル
- A文章の続きを予測するAI
- BChatGPTが嘘をつく理由
- 4 ChatGPTを効果的に使う方法
- @プロンプト作成の5つのコツ
- Aおすすめの定型文:深津式プロンプト
- BChatGPTのChrome拡張機能
- 5 有料版ChatGPTの紹介
- @最新AIが搭載されたChatGPT Plus
- AChatGPT Plusの特徴
- BChatGPT Plusがおすすめの人
- 6 Bing AI Chatとの比較
- @Microsoftの「Bing AI Chat」
- AChatGPTとBing AI Chatの比較
- BChatGPTとBing AI Chatの使い分け
- Q&A 作文やレポート指導は,今後どのようになるのでしょうか?
- 3 教師のためのChatGPT入門 授業づくり活用・働き方改革編
- 1 授業計画と教材の作成
- @「授業計画作成」のポイント
- A「教材作成」のポイント
- 2 教え方のアドバイス
- ○「教え方のアドバイス」のポイント
- 3 例文作成
- ○「例文作成」のポイント
- 4 問題作成
- @「問題作成」のポイント
- A知識を問う問題を作る時のポイント
- B解答と解説の作り方
- C数学の問題作成におけるChatGPTの課題
- 5 ルーブリックの作成
- ○「ルーブリック作成」のポイント
- 6 アクティビティの作成
- ○「アクティビティ作成」のポイント
- 7 スピーチ原稿の作成
- ○「スピーチ原稿作成」のポイント
- 8 メール・書類の作成
- ○「メール・書類作成」のポイント
- 9 通知表の所見作成
- ○「通知表の所見作成」のポイント
- 10 生徒指導・保護者対応の支援
- ○「生徒指導・保護者対応支援」のポイント
- 11 生徒が人工知能を使う授業アイデア
- @人工知能を使わせる際の留意点
- A人工知能との付き合い方を考えさせる授業
- B人工知能への質問力を学ぶ授業
- C人工知能が書いた作文を探せ
- D人工知能の作文コンテスト
- E人工知能の嘘を見つける授業
- Fプログラミング学習の個別アドバイザー
- G探究学習の個別アドバイザー
- H英語学習の練習相手
- Iディベートの練習相手
- Q&A 授業でChatGPTを使用することで,生徒がChatGPTを悪用してしまうリスクが増えませんか?
- 4 教師のためのChatGPT入門 AI×教育の未来編
- 1 AI社会のイメージ
- @AIが3億人の仕事を奪う可能性
- AAIやロボットが日本の未来を支える
- B「ミライ」の物語
- 2 人類がルビコン川を渡る瞬間
- @ChatGPTの世論調査
- Aキャズムを超えたChatGPT
- BOffice製品にAIが搭載
- Cルビコン川を渡ってしまったのかもしれない
- 3 AI格差と新しい教育観
- @AIによる新しい格差問題
- A新しい教育観へのシフト
- BAIは副操縦士(Copilot)
- 4 ICT教育からAI教育への展開
- @AI活用を決断する学校
- AICT教育からAI教育へ
- BAI教育の波及効果
- CChatGPTはAI教育の入り口
- DAI活用を検討するためのステップ
- Q&A ChatGPTはプログラミングも得意だと聞きました。プログラミング教育は,今後どのようになるのでしょうか?
- 付録:各大学の生成系AIに対する見解・対応についてのリンク集
まえがき
教育関係者の皆様,小学校・中学校・高校の先生方,はじめまして。教育・ICTコンサルタントの福原です。本書『教師のためのChatGPT入門』を手に取っていただき,ありがとうございます。
初めてChatGPTに触れた時の衝撃は今でも鮮明に覚えております。ChatGPTが読書感想文を書いたり,プログラミングを教えたり,男女の友情物語を綴ったりなど,その進化に驚かされました。そして,やがてChatGPTが教師の仕事を大いに助けてくれることに気付きました。様々な文書作成やアイデア出しに長けており,教師とChatGPTの相性は抜群です。そこで私は,教師向けのChatGPT研修を企画し,サポート校で研修を開催することにしました。研修を受講した先生方は,次第にChatGPTを業務に活用しはじめ,その有用性を再確認しました。
ところが,SNSで教育関係者の投稿を目にし,ChatGPTの真の性能と可能性が一般的に十分に理解されていないことに気付きました。ChatGPTの誤った回答や珍回答が投稿されており,多くの方々が「ChatGPTはそれほどでもない」「自分たちの仕事には関係ない」と誤解してしまっていました。
実は,誤った回答や珍回答が出てくる原因は,ChatGPTとの対話の仕方を知らないことが大きいのです。平凡な質問には平凡な答えしか返ってこないのがChatGPTの特徴で,「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら,ゴミが出てくる)」という格言が当てはまります。それにもかかわらず,多くの教育関係者がChatGPTの本当の性能と可能性を知らないまま,教育業界全体で「ChatGPTを学校で活用するか,禁止するか」といった議論がはじまってしまいました。
そこで,本書『教師のためのChatGPT入門』を出版し,先生方にChatGPTの本当の性能と可能性を広くお伝えすることにいたしました。ChatGPTを全く使ったことがない人でも,本書を読めばChatGPTの基礎知識を身につけ,業務で活用できるレベルになれることを意識して執筆しました。
本書の構成は次の通りです。1章「教師のためのChatGPT入門 はじめの一歩」ではChatGPTの基礎知識と,教育業界で今まさに巻き起こっている議論について紹介します。そしてChatGPTを使う人のためにChatGPTのアカウント登録手順をわかりやすく紹介しています。2章「教師のためのChatGPT入門 使い方ガイド編」では,ChatGPTの基本的な使い方を紹介します。ChatGPTには得意なこと,不得意なことがあります。ChatGPTのAIの仕組みを理解することで,それらをより深く理解でき,さらにChatGPTを効果的に使う方法やコツをここで学びます。3章「教師のためのChatGPT入門 授業づくり活用・働き方改革編」では,先生方がすぐにChatGPTを業務で活用できるように10種類のケーススタディを用意しました。授業準備に役立つものから文書作成まで,様々なケースを用意しています。また,ChatGPTを授業で活用するアイデアも紹介しています。最後の4章「教師のためのChatGPT入門 AI×教育の未来編」では,AIの発展により教育がどう変化していくかについて解説しています。これからの社会の未来予測と,AIによって生まれる新しい格差問題,そしてこれから訪れるAI教育について紹介しています。これらの情報を踏まえて,学校や教師は,ChatGPTに対してどのように対応すべきか,ぜひ考えてみてください。
今後,ChatGPTをはじめとするAI技術は,MicrosoftのBingやGoogleのBardといった新たなものが次々と開発され,社会に広まっていくでしょう。本書では,主にChatGPTの活用法に焦点をあてて執筆していますが,ここで紹介する内容は,これからのAI活用における基本的な知識やスキルを身につけるためのものです。新しいAIが登場しても,本書で習得した知識を活かし,AIを効果的に利用できるようになることでしょう。
なお,ChatGPTを含む多くのAIは,その開発と進化の速度が非常に速いという特徴があります。ChatGPTに重要な機能が追加されたり,大きな変更が生じたりした場合,あるいはAIの著作権問題における新たな進展があった際には,私のホームページ(以下のサポートページ)に最新の情報を提供します。ぜひ定期的にアクセスしていただき,最新の動向を把握いただければと思います。
本書が多くの先生方を助け,子どもたちの未来を明るく照らすことを心より願っています。
/福原 将之
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