- はじめに
- 序章 教師に必要な授業エンジン
- 子どもの知と意を劇的に伸ばす基幹の技
- 1 授業エンジンとは
- 2 子どもの知と意を劇的に高める授業エンジン12
- 第1章 スタートエンジン
- 子どもは早く学びたい
- 1 十秒でエンジン全開
- 2 強烈な最初の十秒
- 3 一調二機三声
- 4 授業スタートのシステム
- 5 いきなり教材with一調二機三声
- 第2章 指さしエンジン
- 子どもは適切な指さしを求めている
- 1 「指さし」のない授業はない
- 2 「指さし」行為としての発問・指示
- 3 発問・指示の組み立て方
- 4 指示で授業が成立
- 5 深い学びの成立に向けて―発問内容10&発問方法5&指示10―
- 第3章 かくしエンジン
- 子どもはかくされたところを知りたい
- 1 「かくし」で生まれる知と意と喜
- 2 「かくし」エンジンの駆動
- 3 「かくせないもの」をかくす
- 4 一問一答的展開も「かくし」で面白くなる
- 5 「かくれ」たものを知る喜び
- 第4章 制約&型エンジン
- 子どもは制約を使って自由を手に入れる
- 1 制約というヒント?
- 2 制約を逆手にとる
- 3 制約から生まれた自学エンジン
- 4 作文が書けるようになるための制約と型
- 第5章 音読エンジン
- 子どもは表現したがっている
- 1 子どもは表現したがり屋
- 2 いつでも音読
- 3 言葉の「声だし」法―言葉を粒立てる―
- 4 読点一拍休みはなぜだめ?
- 5 「意味句読み」でエンジンが動く
- 6 話し方のエンジンにも
- 第6章 数エンジン
- 子どもは数に敏感である
- 1 数でエンジンが駆動
- 2 数を駆使する
- 3 Bの言葉のチャンピオン
- 4 困ったときは数を出せ
- 第7章 対比エンジン
- 子どもは比べて考える
- 1 こまったら対比エンジン
- 2 言葉を対比せよ
- 3 場面と場面を対比する
- 4 作品を貫く対比を探す
- 5 作品と作品を対比する
- 6 詩歌の授業は「仲間はずれ」を探す
- 7 作文も対比で筆記エンジンが駆動する
- 8 思考・知覚のための根源的エンジン
- 第8章 映像喚起エンジン
- 子どもの頭に浮かんだ映像は一生残る
- 1 読解に必要な映像喚起エンジン
- 2 物語に画像は要注意
- 3 劇化・音読も要注意
- 4 すぐれた表現の映像喚起力
- 5 発問で映像喚起
- 6 俳句の対比で映像喚起
- 7 作中人物同士の手紙筆記で映像喚起
- 第9章 まなざしエンジン
- 子どもはまなざしをかたむけてほしい
- 1 まなざしの共有
- 2 一人の子をまなざす
- 3 しゃがんでまなざす
- 4 四分六でまなざす
- 5 最後にまなざす
- 第10章 律動エンジン
- 子どもはリズムを求めている
- 1 リズムとテンポはどうちがうか
- 2 最初の十秒で律動
- 3 発問・指示で律動
- 4 一問一答的な発問・指示で律動
- 5 音読で律動
- 6 指名と反応で律動
- 7 最後の「しめ」で律動
- 8 指導とフォローで律動
- 9 不思議と発見の連続で律動を
- 第11章 居方エンジン
- 子どもは動くものが気になる
- 1 居方エンジン
- 2 四分六の構え
- 3 巡視エンジン
- 4 居方エンジンの発動
- 5 居方エンジンを鍛える
- 第12章 フォローエンジン
- 子どもは認められたい
- 1 「フォロー」という授業エンジン
- 2 言葉でフォローする
- 3 聴いてフォローする
- 4 まなざし・居方でフォローする
- 5 子どもたち全員のフォロワー
- おわりに
はじめに
明日の授業を何とかしたい。常々思うことである。
良い授業ができる教師になりたい。一生をかけての夢である。
良い授業者になるために何が必要か。何を意識して鍛えたらよいか。
それを本書で明らかにしたい。
授業を構成するさまざまな技の中で、確実に力を持つものがある。
使えば使うほど、授業力がアップし、教師として成長できる技である。
そのような教師に必要な基幹の技を「授業エンジン」と呼ぶことにする。
そのエンジンは、次の三つの条件を満たす必要がある。
1 子ども達全員の心が動き知と意と喜を喚起する
2 知の交流が生まれ、深い学びのある授業が生まれる
3 エンジンを使う教師自身に知が喚起し、教える喜びが生まれる
1の「子ども達全員の心が動き知と意と喜を喚起する」授業は、私が常に指標にしてきたものだ。向山洋一氏の「全員の知的空白禁止の原則」につながるものだ。「授業の前はゼロの状態だったのに、一時間の授業で、知と意と喜が大量に発生した!」こんな瞬間があるから、教師の仕事は止められないということになる。
2の条件も欠かせない。すぐれた授業エンジンは、子ども達の主体を浮上させ、対話が必要となる。今流に言えば、「主体的で対話的な深い学びが発生する」授業を成立させる。
3の条件は、教師にも、知と意と喜が生まれるエンジンであるということである。授業エンジンは、人間を高めるエンジンとしても機能して欲しい。エンジンの使用で、人としての可能性が閉ざされるのでは困る。
AIの時代、これから必要なのは、人間的な知と意と喜あふれるエンジンを持った子である。そのためには、まず、教師こそが授業エンジンを持たねばならない。
さまざまな知見に学びながら、エンジンの内容と、エンジン獲得法、そしてエンジン駆動法について、精一杯言語化していきたい。
二〇二〇年三月 /岩下 修
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- 明治図書
- 授業をする上で意識するとうまくいくことがたくさんあり、とても役だった2020/8/520代・中学校教員
- 教師生活四十年の岩下先生が、子どもたちにとって、知的で発見の多い授業をするために、今もなお作戦を立てられていること。また、先生ご自身がさらに日々進化される姿に、大きな刺激を頂きました。岩下先生の授業エンジンを、明日の授業の中で、一つでも、早速マネをさせて頂きたいと思います。数エンジン、かくしエンジンから、押させて頂きます。2020/7/20京都T子