- まえがき
- 第1章 今,求められる発想の転換
- 1 新しい社会科の枠組みを考える
- (1) 沼田町の挑戦から
- (2) 新しい時代の社会科を考える
- 2 21世紀に求められる発想の転換
- 3 発想の転換を迫る社会科学習とは
- (1) 教材化における発想の転換
- @ 人間の営みの中に見られる発想の転換を教材化
- A 地球的課題の教材化
- (2) 学習展開における発想の転換
- @ ズレから問題意識の高まりへ
- A 個が生き発想が豊かになる複線化の単元構成
- B 見方や考え方を高める教師の支援
- 第2章 小学校の実践
- 〔3年〕
- 1 ヒミツ発見! 旭川家具 /坪山 則宏(旭川市立朝日小学校)
- 2 道路の真ん中にはえている1本の木から /星野 成実(札幌市立新琴似小学校)
- 3 牛乳のおいしさのヒミツ! /菅原 英司(札幌市立伏見小学校)
- 〔4年〕
- 4 似峡の町を沈めてまでダムを作った理由を探れ! /野崎 光輝(朝日町立糸魚小学校)
- 5 ポテトレーで室原を守れ /松浦 高久(釧路市立新川小学校)
- 6 「北海道がいいんでないかい」ジクソーパズルをつくろう! /附田 裕哉(札幌市立創成小学校)
- 〔5年〕
- 7 産地を運ぶ「ゆうパック」 /木田 孝也(余市町立沢町小学校) /根井 朗夫(赤井川村立赤井川小学校)
- 8 松前のマグロの一本釣りから見えるこれからの水産業 /大山 真由美(松前町立松前小学校)
- 9 たかがトイレットペーパー されどトイレットペーパー /谷川 忍(函舘市小学校社会科教育研究会5年部会)
- 〔6年〕
- 10 秋田藩「元陣屋」から幕府崩壊を探る /安田 善見(増毛町立増毛小学校)
- 11 もう一つの黒船〜ラクスマン来航〜地域からの歴史再発見 /山内 斉(別海町立中春別小学校)
- 12 にしんが江戸時代のくらしや文化を変えた? /今野 幸子(札幌市立美しが丘小学校)
- 第3章 中学校の実践
- 1 「近くて遠い国〜韓国」を最も近い隣人にしよう〈中学地理〉 /明田 靖則(旭川市立緑が丘中学校)
- 2 黒船来航と日米和親条約〈中学歴史〉 /加瀬 篤(札幌市立西岡北中学校)
- 3 日本の食料が危ない!?〈選択社会〉〜コンピュータを使ったディベートの授業〜 /兼間 昌智(札幌市立啓明中学校)
- 参考文献
- あとがき
まえがき
2001年まで,あとわずかになりました。今,私たちは,百年に1度,いえ千年に1度の大きな時代の変わり目に立っております。変化の内容も極めてラジカルで,人類の歴史上,経験したことがないようなことが確実に進行しております。
「宇宙船地球号」が日増しに狭く感じられます。環境問題や国際化の問題が新聞紙上を飾らない日はありません。日本の問題は即世界の問題であり,世界の問題は同時に私たち一人一人に重要な意味を持つ時代となっているのです。
このような歴史の転換期に,社会科も大きな変化を迫られています。「Think Globally Act Locally」という言葉がありますが,まさしく,地球的規模で考え,愛する地域から行動するという発想が必要になりました。
また,新しい価値観を創造することも大切であります。北国は「雪や寒さを宝」にし,南国は「暑さを武器」にするとか,“形がよい”“便利”から,“見かけは悪いが安全”“不便でも健康的”という考え方に変えていくことも必要です。物事を一面的にとらえず,多面的にとらえたりしてマイナス思考をプラス思考に変えて新しい価値観を生み出していきたいのです。
さらに,子ども観や発達観の転換も必要であります。子どもは大人にひけをとらない潜在的な能力を持っているのです。ささやかなことや目立たないことも,「子どものよさ」として認めることができるのです。つまり,発想の転換が大切なのです。
今,私たちは『発想の転換を迫る社会科学習』が,これからの時代に求められていると提案いたします。平成6年には『発想を生かす社会科学習』を発刊いたしました。この度の出版はその続編で,北海道各地の実践をできるだけ多く載せる内容にしました。まだまだ拙い研究ですが,全国のみなさまにご検討ご批正いただければ幸いに存じます。
北海道社会科教育連盟委員長 /鈴木 光男
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- 明治図書