- まえがき
- T 社会科の学習内容をどうスリム化するか
- ◆1 片上宗二vs北 俊夫
- 一 求めたい“ビッグバン”によるスリム化の方向 /片上 宗二
- 1 スリム化の二つの方向 / 2 総合学習は「生き方」の追究を、社会科は社会認識の育成を / 3 社会科の学習内容試案 / 4 世界の視点から始まる社会科
- 二 確立したい社会科教育のビジョン /北 俊夫
- 1 学習内容のスリム化の視点 / 2 改めて「社会科とは」を問う / 3 指導内容のスコープとシークエンス
- 三 「新しい学び」による社会科学習内容のスリム化 /片上 宗二
- 1 総合学習について / 2 新しい学びの形成をめざす社会科教育を
- ◆2 馬野範男vs北俊夫
- 四 巨視的な視野から学習内容を見直す /馬野 範雄
- 1 社会科で育てたい公民的資質 / 2 学習内容のスリム化
- 五 「スリム化」は新社会化を創ること /北 俊夫
- 1 「スリム化」の問題をどうとらえるか / 2 社会科で育てたい資質・能力 / 3 「スリム化」案の具体的検討
- 六 子どもが創りだす社会科学習の展開 /馬野 範雄
- 1 社会科学習の目標の明確化 / 2 社会科学習の活動の複線化 / 3 社会科学習の内容の総合化
- U 社会科で子どもにどんな力を育てるか
- ◆3 藤井 千春vs北 俊夫
- 一 「生きることのプロ」を育てる /藤井 千春
- 二 社会科で「生きる力」を育てるとは /北 俊夫
- 1 「生きる力」をはぐくむとは / 2 社会科の授業で身につけたい資質・能力
- 三 大人になることへの自分なりの「あこがれ」をもつこと /藤井 千春
- ◆4 西浩一vs北俊夫
- 四 「生きがいをもって、楽しく暮らせる社会」を創る学力の育成をめざして /西 浩一
- 1 新学力観に立つ社会科の学力の育成 / 2 環境教育などの充実もめざして
- 五 社会科の学力をどう考えるか /北 俊夫
- 1 「21世紀を担う子ども」を育てるとは / 2 子どもに身につけたい力 / 3 社会科でなければ学べないこと
- 六 バランスのとれた学力の育成を /西 浩一
- V 社会科で「態度形成」の問題をどう考えるか
- ◆小西正雄vs北俊夫
- 一 公民的資質の再確認を /小西 正雄
- 二 社会科の学力をどう考えるか /北 俊夫
- 1 社会科の本質は? / 2 なぜ、態度形成が問題になるのか
- 三 ふたたび「社会科教育本来の使命」について /小西 正雄
- ◆三浦和美vs北俊夫
- 四 日常性の中で「生きる力」を育てる /三浦 和美
- 1 生活科元年の子どもたち / 2 学んだことを生かす子どもたち / 3 大人になった時に / 4 教師の思いと迷い
- 五 「学ぶ・生きる」ための社会的実践力 /北 俊夫
- 1「学んだことの生かし方」を学ぶ / 2 学校での学習と現実の生活とのギャップ
- 六 「学習の生活化」「生活の学習化」は大きな指針となって /三浦 和美
- W 社会科の内容構成・どんなフレームが可能か
- ◆岩田一彦vs北俊夫
- 一 育てる子ども像から内容構成のフレームを構築する /岩田 一彦
- 1 子ども像と社会科の内容 / 2 社会がわかる / 3 社会の論争問題を考える
- 二 社会科の教材としての存在意識は? /北 俊夫
- 1 子ども像を踏まえて考える / 2 社会の何がわかることか / 3 「論争問題の学習」−小学校で可能か
- 三 認識内容が育つ子ども像を決定する /岩田 一彦
- 1 社会がわかる / 2 社会の論争問題を考える / 3 集団への帰属意識
- ◆廣嶋憲一郎vs北俊夫
- 四 「社会生活を営む人間の働き」を中心に据えて /廣嶋 憲一郎
- 1 子どもにとって、社会科とは / 2 現行社会科の内容構成の問題点 / 3 新社会科・内容構成への提案 / 4 学習方法も内容に位置づけて
- 五 何を拠り所にして内容構成するか /北 俊夫
- 1 子どもは本当に社会が嫌いか / 2 「人間の動き」を中心に捉えた社会科 / 3 社会科のスコープとシークエンス / 4 学び方・調べ方にかかわる内容
- 六 学び方が身につく社会を構築したい /廣嶋 憲一郎
- X 社会科の学習技能育成のためのカリキュラムはどうあるべきか
- ◆小原友行vs北俊夫
- 一 二一世紀の社会科授業への宿題 /小原 友行
- 1 「わかる」から「できる」への学習内容の転換 / 2 「出会いと発見」のある学習材の開発 / 3 「もっと調べてみたくなる」学習過程の組織 / 4「子どものよさを生かす」新しい学習活動の創造 / 5「ほめて育てる」学習支援
- 二 「学び方」の指導は重視されているか /北 俊夫
- 1 学習内容としての「できる」力を引き出すということ / 2 「できる」力を引き出すために / 3 学び方の指導が意図的に行われているか
- 三 「魚のとり方」より「魚の育て方」を /小原 友行
- ◆高瀬浩vs北俊夫
- 四 生涯にわたって生きてはたらく学び方 /高瀬 浩
- 1 学習技能としての学び方の発揮 / 2 社会科における学び方とその育成 / 3 学び方を示したカリキュラム作り
- 五 「学び方」の指導をどう体系化するか /北 俊夫
- 1 社会科において「学び方」を身につけるとは / 2 「学び方」指導の体系化
- 六 学習技能のカリキュラムは弾力的なものに /高瀬 浩
- 1 生きてはたらく「学ぶ力」の育成は、どの学級でも意図的・計画的にすすめよう / 2 「学び方」の指導は系統的に、ただし個に応じて段階的に積み上げよう
- Y 社会科教育の実践上の課題は何か
- ◆寺本潔vs北俊夫
- 一 “マスターキー”は本当にあるのでしょうか? /寺本 潔
- 二 社会的マスターキーの抽出が課題! /北 俊夫
- 1 マスターキーは社会科の基礎・基本 / 2 マスターキーを獲得させる指導 / 3 マスターキーの二つの側面
- 三 「内容のマスターキー」づくりに挑戦! /寺本 潔
- ◆田山修三vs北俊夫
- 四 「やさしく・おもしろい」社会科へ /田山 修三
- 1 むずかしく・まずい社会科 / 2 フルコースのバイキング料理 / 3 味わいのある一品料理を / 4 料理は器で食べる
- 五 楽しい社会科・なぜつくれないのか /北 俊夫
- 1 社会科・なぜ根づかないのか / 2 わかりやすい「食べ物・料理」のたとえ / 3 社会は男性中心?
- 六 「楽しい学習がつくれない」教師の責任 /田山 修三
- あとがき
まえがき
現在、中央教育審議会や教育課程審議会において、今日の教育的な課題や次期教育課程の基準の改善について審議が進められています。
教育課程審議会では、第一五期の中央教育審議会の「第一次答申」を踏まえ、
@自ら学び、自ら考える力などをはぐくみ、創造性を育てること
A一人一人の個性を生かし、豊かな人間性を育てること
B基礎・基本の指導の徹底を図ること
C社会の変化に適切に対応すること
D各学校段階を通じて調和と統一を図ること
などの観点に配慮して、完全学校週五日制の下で、各学校がゆとりのある教育活動を展開し、一人一人の子どもに「生きる力」を育成するための教育内容の在り方について、まもなく、審議の内容がまとめられる予定です。
このような時期に、社会科教育の現状と課題について整理し、二一世紀の社会科改革のマスターキーについて議論を深めることは重要なことであると考えました。
本書は、雑誌「社会科教育」に、1997年4月から1年間にわたって連載された「社会科教育再構築の新視点」と題する、「往復書簡」を中心にまとめたものです。一つのテーマについて、多面的な検討ができるよう、研究者と実践者からそれぞれご意見やご提言をいただきました。
一冊の図書としてまとめるに当たっては、各先生方から、再度ご意見などをいただき、欄外に補足をしていただきました。また、本書では、親しみをもって読めるよう、「往復書簡」の雰囲気をできるだけ残すよう配慮しました。
本書がこれからの社会科教育の一層の活性化と充実のため、お役に立てれば、望外の喜びとするところです。
十二人の先生方には、大変お忙しいなかを、たびたびご意見をまとめていただき、本当にありがとうございました。お陰で、二一世紀の社会改革に向けて、貴重な提言をまとめることができたと思っています。重ねて感謝とお礼を申しあげます。
また、本書の企画と編集に当たりましては、明治図書編集長の樋口雅子さんから、いろいろと貴重なご指導をいただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。
平成10年五月 編著者 /北 俊夫
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- 明治図書