- はじめに
- 序章 子どもの感性を揺さぶり励ます説話
- 道徳学習材として期待される説話の役割
- 説話の特質を踏まえた多様な素材の発掘
- 説話で引き出す個別最適な学びと協働的な学び
- 1章 教材別説話大全
- 低学年
- ほんとうにドキドキしたよ
- (教材:ぽんたとかんた)
- 正直者は得をする
- (教材:きんのおの)
- きっと明日はいい天気
- (教材:お月さまとコロ)
- もしも世界がこの教室だったら
- (教材:かぼちゃのつる)
- しんせつのちから
- (教材:はしのうえのおおかみ)
- 相手のことを思って
- (教材:ぐみの木と小鳥)
- 思いやる心で自分もHAPPY,人もHAPPY
- (教材:くりのみ)
- 「ありがとう」の気持ちを声に出して
- (教材:きつねとぶどう)
- いつから友達?
- (教材:二わのことり)
- みんなのものを大切に使いたい
- (教材:きいろいベンチ)
- 仲間はずれがなくなった思い出
- (教材:およげないりすさん)
- 成長していく大切なあなたへ
- (教材:ハムスターのあかちゃん)
- 「美しい心」を見つけることができる心
- (教材:七つぼし)
- 中学年
- 善いこと,悪いことは,心の中の声を聞いて判断しよう
- (教材:よわむし太郎)
- 過ぎたるはなお及ばざるがごとし
- (教材:金色の魚)
- 早起きは三文の徳
- (教材:目覚まし時計)
- それが本当に親切なことか相手の立場に立って考えよう
- (教材:心と心のあくしゅ)
- 詩人まど・みちお
- (教材:朝がくると)
- 自分にとってのよい友達とは
- (教材:絵はがきと切手)
- 友達のためなら
- (教材:いのりの手)
- 目に見えないきまり
- (教材:雨のバスていりゅう所で)
- 「名もなき家事」ってなんだろう
- (教材:ブラッドレーのせいきゅう書)
- 親の子に対する思いが命をつなぐ
- (教材:ヌチヌグスージ)
- 命あるものを大切に
- (教材:ヒキガエルとロバ)
- 美しく優しい心
- (教材:しあわせの王子)
- 美しいものは心で感じる
- (教材:花さき山)
- 高学年
- みんなが幸せになる「本当の自由」とは
- (教材:うばわれた自由)
- 「約束を守る」ということ
- (教材:手品師)
- 衣服はその人を表す
- (教材:流行おくれ)
- 利他の心が満ち足りた幸せな生活をつくる
- (教材:最後のおくり物)
- 「友」という漢字について
- (教材:泣いた赤おに)
- 本当の友達
- (教材:友のしょうぞう画)
- 信頼は自分から信用しないと生まれない
- (教材:ロレンゾの友達)
- SNSでの捉え違いから
- (教材:すれちがい)
- 憎しみを越える愛
- (教材:ブランコ乗りとピエロ)
- 憎しみを横に置いて「アハメドくんのいのちのリレー」
- (教材:銀のしょく台)
- 子どもたちの未来は,世界に開かれている
- (教材:ペルーは泣いている)
- 一人ひとりが自然を守るために
- (教材:一ふみ十年)
- 永遠に語り継がれる生き方
- (教材:青の洞門)
- 2章 内容項目別・説話大全
- 是々非々とはどんなこと
- (内容項目:善悪の判断,自律,自由と責任)
- 「みんながしているから」より「心にブレーキを」
- (内容項目:善悪の判断,自律,自由と責任)
- 自由とわがままの境界線
- (内容項目:善悪の判断,自律,自由と責任)
- 心の綱引き
- (内容項目:正直,誠実)
- 正直の頭に神宿る
- (内容項目:正直,誠実)
- 誠実であるためにここにいる
- (内容項目:正直,誠実)
- 「よくばりな犬」の話
- (内容項目:節度,節制)
- 早寝早起き病知らず
- (内容項目:節度,節制)
- 大谷翔平の言葉
- (内容項目:節度,節制)
- 自分のよいところ
- (内容項目:個性の伸長)
- 自分のよいところを伸ばす
- (内容項目:個性の伸長)
- 自分をみがいて
- (内容項目:個性の伸長)
- 好奇心はいつだって新しい道を教えてくれる
- (内容項目:真理の探究)
- 好奇心は道草でもある
- (内容項目:真理の探究)
- 失敗や挫折をすることの意味
- (内容項目:真理の探究)
- お手伝い続けるよ
- (内容項目:希望と勇気,努力と強い意志)
- 好きだからこそがんばれる
- (内容項目:希望と勇気,努力と強い意志)
- 続けることのよさ
- (内容項目:希望と勇気,努力と強い意志)
- 優しいの考え方
- (内容項目:親切,思いやり)
- 「どうぞ」を広げよう
- (内容項目:親切,思いやり)
- おもいやり算を生かす
- (内容項目:親切,思いやり)
- 「ありがとう」の言葉の由来
- (内容項目:感謝)
- 「敬老の日」を通して先人の努力に思いを馳せる
- (内容項目:感謝)
- 災害ボランティアの現場での「ありがとう」
- (内容項目:感謝)
- 気持ちのよい挨拶は元気のもと
- (内容項目:礼儀)
- 字はこころの顔
- (内容項目:礼儀)
- 礼儀の心を表す行為
- (内容項目:礼儀)
- 「4つの言葉」で友達づくり
- (内容項目:友情,信頼)
- クラスの友達,無二の親友,どちらも大切
- (内容項目:友情,信頼)
- 切磋琢磨し,互いに高め合う友達をつくろう
- (内容項目:友情,信頼)
- 「私と小鳥と鈴と」
- (内容項目:相互理解,寛容)
- こども基本法が大切にしている考え方
- (内容項目:相互理解,寛容)
- セトモノとセトモノと
- (内容項目:相互理解,寛容)
- 身近な人はどのように約束やきまりを守っているのかな
- (内容項目:規則の尊重)
- 1年間の中で交通事故が多いのは
- (内容項目:規則の尊重)
- 「きまりやマナー」は時代や場所で変化する
- (内容項目:規則の尊重)
- 正義を貫く
- (内容項目:公正,公平,社会正義)
- 非公正,不平等の現実には疑問をもち,断固として立ち向かう
- (内容項目:公正,公平,社会正義)
- 思い込みは真実を見えなくする
- (内容項目:公正,公平,社会正義)
- 傍(はた)を楽にする働く
- (内容項目:勤労,公共の精神)
- 係活動の3つのよさ
- (内容項目:勤労,公共の精神)
- ひとつ拾えば,ひとつだけきれいになる
- (内容項目:勤労,公共の精神)
- 「おうちのにおい」ってどんなにおい
- (内容項目:家族愛,家庭生活の充実)
- みんなとつながっているんだ
- (内容項目:家族愛,家庭生活の充実)
- 橘曙覧の短歌
- (内容項目:家族愛,家庭生活の充実)
- 楽しい学校生活
- (内容項目:よりよい学校生活,集団生活の充実)
- 協力し合って楽しい学校,学級を
- (内容項目:よりよい学校生活,集団生活の充実)
- 集団の中の自分の役割
- (内容項目:よりよい学校生活,集団生活の充実)
- 公園を守るわけ
- (内容項目:伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度)
- 代々続く御神輿
- (内容項目:伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度)
- 日本の伝統を守る
- (内容項目:伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度)
- 効果があらわれるとき
- (内容項目:国際理解,国際親善)
- 同じでつながる
- (内容項目:国際理解,国際親善)
- 身近なものが外国のものだった!
- (内容項目:国際理解,国際親善)
- 心臓の働き
- (内容項目:生命の尊さ)
- 寿命をくらべると
- (内容項目:生命の尊さ)
- 「生命」を守る責任
- (内容項目:生命の尊さ)
- 人も昆虫もみんな仲良し
- (内容項目:自然愛護)
- 自然と共に生きる
- (内容項目:自然愛護)
- 人は自然に生かされている
- (内容項目:自然愛護)
- 命の誕生はまさに神秘
- (内容項目:感動,畏敬の念)
- 自然の偉大な力
- (内容項目:感動,畏敬の念)
- 感動は心のエネルギー
- (内容項目:感動,畏敬の念)
- 失敗は成功のもと,成功は…
- (内容項目:よりよく生きる喜び)
- レジリエンスを発揮して,しなやかな心を
- (内容項目:よりよく生きる喜び)
- 人間の弱さと進化
- (内容項目:よりよく生きる喜び)
はじめに
平成27(2015)年3月の学校教育法施行規則等の改正によって,長らくわが国の道徳教育の「要」であった「道徳の時間」が時代的要請を受けて「特別の教科 道徳」=道徳科(以下道徳科と記す)へと移行転換しました。その主たる理由は,いじめ問題への充実対応や子どもたちの発達の段階をより一層踏まえた体系的な道徳学習にすることでした。
そんな道徳教育の「要の時間」となる道徳科改革も,今日では当たり前の日常的一風景となって全国の学校,すべての教室で実践が積み重ねられています。でも,少し気になることもあります。それは「道徳科教科書至上主義」となってしまっている現実です。道徳科を教科教育学的に教育内容構成学と教育方法学の視点から俯瞰すると,ただ検定教科書教材を順次指導していくだけで本当に「考え,議論する道徳」が実現できるのか,検定教科書教材は個性ある子ども一人ひとりの道徳学習を成立させるだけの十分な魅力と確かな教導力を満たしているのだろうかと,つい気になってしまいます。
道徳科授業を成立させる上で,検定教科書は大きな役割を果たしますが,十人十色の子どもたちの道徳学習を思い描くと,そんな授業を成立させていくには道徳科教育学という学問的背景を意識しつつ,道徳科教育内容構成学的な視点や道徳科教育方法学的な視点からの「道徳科学習材そのものの問い直し」や「道徳科学習材活用のための工夫」がますます必要な段階に至っていると考えます。従前から積極的に活用されてきた「説話」等,あれこれと子ども一人ひとりに働きかける学習促進機能としての多様な「道徳学習材」を,新たな時代の授業づくりのために問い直してみようと意図して企画されたのが本書です。その有効活用を決定するのは,皆様です。
令和6(2024)年初夏 /田沼 茂紀
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- 明治図書