- まえがき
- 1章 歴史リテラシーの観点からリ・デザインする近現代史授業改革12カ条
- 1.<説明対話型学習>
- @ 子どもの興味あるネタで
- A 視覚や聴覚にうったえる教材を
- B 多様な授業形態を導入する
- C 暗記強要を授業時間にする
- 2.<思考・判断型学習>
- D 思考・判断力を培う授業方法の工夫
- E 歴史的論争課題での紙上討論
- F さまざまな単元で歴史リテラシーを育てる
- 3.<合意形成型学習>
- G 歴史選択を追体験する
- H 現代的課題に対する合理的意思決定能力をつける
- 4.<生き方探求型学習>
- I 生き方を揺さぶる学習を
- 5.<発信型学習・評価>
- J 発信は楽しくかつ大胆に
- K テストの工夫と評価
- 2章 これならわかる近現代史「ウソッ」「ホント」授業&面白ネタ
- T 坂本龍馬が倒幕に果たした役割
- [面白ネタ] ききんは本当にあったのか?
- U 「モノ」「コト」から文明開化の謎を解く
- [面白ネタ] 「学制」を「富国強兵」から授業する〜福沢諭吉のもうひとつのとらえかた〜
- V 近代日本の進路を問う航海
- [面白ネタ] ローマ字表記:名前が先,苗字があとはいつから?
- W 日露戦争は自衛戦争だったのか
- [面白ネタ] インタビュー形式で多角的多面的な見方を育てる〜板垣退助と伊藤博文〜
- X 普通選挙法を実現させた力
- [面白ネタ] レーニン,漢字で書くと?〜ロシア革命の歴史的位置付けを考える〜
- Y 日本はなぜアメリカと戦争したのか?
- [面白ネタ] まぼろしの東京オリンピック
- Z 原爆投下の是非を問う
- [面白ネタ] たばこから考える近代史
- [ 「占領」と日本の民主化
- [面白ネタ] 変えられた「蝶々」の歌詞
- \ 東京オリンピックと高度経済成長
- [面白ネタ] カレーライスから考える戦後社会史
- ] 歴史学習としての領土問題
- [面白ネタ] わたしはタイムトラベラー
- あとがき
まえがき
授業中,少し退屈すると私語をはじめ,注意されると眠り出す。そして解説する教師の声だけが一方通行でひびいているということになりかねない教室。これならまだましなほうで,子どもの罵声と紙飛行機が飛び交う教室(恐室?)。こわおもての顔をもっているとか,気の利いたジョークを連発できる才能でももっていれば,なんとかこの危機をのりきれるが,たいていの教師はそのような技量がなく,毎日ためいきをつきながら教室へ足を運んでいる現状がある。
しかし,子どもたちは元来,知的好奇心が旺盛なのであって真剣な眼差しや楽しそうな笑顔をこちらに向ける時がある。これをくすぐるのは私たち教師の技量である。こわおもての顔やジョークの才能がなければ,授業の技量をつけるしかない。私は30年間,子どもたちとの格闘(?)の中で,子どもの視点にたった教材発掘と授業方法の技量を磨いてきた。これは膨大な時間とお金のかかる作業であったが,コツコツした積み重ね以外,近道はないと思っている。
本書においては,その中から「近現代史」の授業の一端を紹介する。近現代史学習は,子どもの興味とのリンクが難しいだけでなく,立場や考え方によって,さまざまな歴史観があり意見が対立する内容が少なからずある。また,子ども抜きの,政治問題化している現状もある。本書は,近現代史にかかわる歴史学習を政治から教育の舞台へと転換し,演出者としての教師の役割を明確にした上で,「子どもを主役にした教室」の復権にむけた私の問題提起である。
平成19年8月 /河原 和之
これなら子どもの反応も期待できそうです。
近現代史は自分の中で手薄な部分なので、本書を参考に取り組んでみようと思います。
この本、「オススメ」です。